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      大黒山(725.3m) 

赤井川村から望む大黒山

/25000地形図  「仁 木」

出発地点の林道ゲート付近
沢の水量は少なく、沢から既に藪漕ぎの様相である
少し進むと水流はなくなり、本格的な藪漕ぎの始まりとなる
台風18号の影響は大きく、障害物は横たわる
笹薮でもピークには変わらず、頂上ビールは美味しい

最近、書店で宇宙からの北海道の写真を見た。その中で印象的だったのが、赤井川村のカルデラ地形である。現在のところ確たる火山噴出物の証拠は見つかっていないようだが、宇宙からの写真ではそのカルデラの形ははっきりと確認でき、現在見つかっている火砕流が本物だとすれば、150200万年前に大規模な火山活動があったということである。当時の様子を想像するだけでも胸躍らせるものがある。

今回、赤井川村を取り巻く外輪山の最高峰である、大黒山を目指すことにする。稲穂峠から小樽方面へ下ってくる時に正面に大きな姿で望むことができる山であり、HPのリンク仲間「アソビホロケール山(管理人/サトマサ氏)によれば展望抜群(3月)の山とのことである。赤井川村側からでは急傾斜の藪漕ぎのみの山行となり、あまり面白くなさそうなので、仁木町側の大黒沢川からのアプローチとする。大黒川林道のゲートに車を止めて約1q歩くと入渓地点である。水量は少なく、両岸から藪が被っていて歩きづらい。10月も中旬ともなれば水温も低く、出来るだけ水流は避けたいところである。コンタ380m付近になると水流がほとんど消えてしまい、藪のみとなる。地形図上、沢形がしっかりしているにも関わらず、水流が通るべき藪の薄い部分が全くないのには困ったものである。背丈以上の根曲がり竹に行く手を阻まれ、それを無理やり進んだところで時間的にはかなり厳しく、どちらが楽とも言えないが、ルートを尾根上の藪漕ぎに切り替えてみることにする。

尾根上の藪は意外に薄く、思ったほどの時間は掛からないようにも感じられ、諦めムードが一転して攻めの空気に変わる。途中、現在は使われていない集材路を幾つも横断するが、頂上へ向かうような感じのものは一つもない。登れども登れども頂上へは到着せず、藪は一番恐れていた“背丈を越える根曲がり竹”に変わってくる。さらに進むと地面が平らになり、何となく頂上部に到着したように感じられる。ふと見ると藪の中に三角点が見えている。なんだここが頂上か!…背丈を越える藪の中である。嬉しさとガッカリ気分が交錯する。赤井川カルデラの最高峰の登頂と銘打って期待をかけていただけに、裏切られた思いは否めない。このような藪山の頂上はガイドブックや山行記録ではあまり紹介されていないことが多く、ある種の宝探しゲームでもある。自分だけの理想の頂上を見つけることは藪山を目指す者にとっては一つのロマンとも言える。このようにHPで答えを発表してしまうことについては少なからず罪悪感は感じるが、この辺も受け取る側それぞれだろう。この山に関して言えば、やはりサトマサさんが登った笹薮が完全に埋まっている3月あたりがベストのようであった。ともあれ、目的貫徹については満足できる。

頂上からは往路ではなく、北東へ下っている尾根を利用、大黒沢林道へ飛び出すルートを考える。安易に考えていたが、緩斜面の藪漕ぎ下降ほど効率の悪いものはない。平地の藪漕ぎとあまり変わらず、重力の追い風は全く期待できない。時間は飛ぶように経過し、日は西に傾いている。さらに悪いことに、先日の台風18号の影響で横たわる大木が行く手を阻み、正に障害物競走の状態である。ヘッドランプの電池やツェルト、ガスコンロ等の有無が脳裏を掠める。最悪の場合は仁木の街の灯を目指し夜間飛行の状態も考える。

背丈を越す笹薮の中に三角点はある
背丈を越す笹薮の中に三角点はある 出発時間がもう少し早ければ・・・

 進むこと一時間半、やっと何処へ下っても大黒沢林道に降りられると思える沢地形の上部に到達する。残り少ない持ち時間、あとは重力の恩恵をいっぱいに享受して、一気の下降を残すばかりである。途中、草木の生い茂った集材路を何本か横断するが、何れも現在は使われていないようである。さらに下降して最後は転がるような斜面を下って、なんとか大黒沢林道へ到着する。

 この山は仁木町と赤井川村の境界線上に位置し、町と町とに挟まれた山域であるため、ヒグマについてはほとんど意識してはいなかった。ところが帰路の林道上で見た糞は小動物のものではなく、ヒグマのものとしか考えられない様相と量であった。ヒグマは思っているよりも身近な存在なのかもしれない。

 入渓から林道到着まで、沢や頂上をも含め藪だらけの山行であった。帰りの車中、出てくる言葉は「ひっとかったな…」ばかりである。それにしても日の短いこの時期、出発時間が一番の問題であったような気がする。(2004.10.17)  

2006.4 菅原@倶知安さんの積雪期の記録へ

【参考コースタイム】 大黒沢林道ゲート 9:50 → コンタ380m 11:05 → 大黒山頂上 12:45、〃発 13:05 → 大黒沢林道 15:30 → 大黒沢林道ゲート 16:25 

メンバーsaijyo、チロロ2

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