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     1415m夕張マッターホルン(1415.6m)

2014年2月 夕張マッターホルン(Ikkoさん提供)

/25000地形図「芦別岳」「夕張岳」「幾春別岳」「滝ノ沢岳」

初めて目にする、1415m峰頂上岩峰
彼も5回目で一緒に登頂
車止め、橋付近(545m)まで車で入れることはめずらしい
730m二股へ向かう途中のスノーブリッジ
730m二股手前のゴルジュ
振り返ると左;シューパロ岳や右;芦別岳が見える

 私が“夕張マッターホルン”という、1415m峰の愛称をはじめて知ったのは 昭和56年の頃で、「札幌から見える山」 (北大図書刊行会)という本を書店で立ち読みした時だった。芦別岳と夕張岳のほぼ中間に映る鋭く尖った姿には、いやが上にも興味をそそられたが、夏道の無いこの山を登ることなど、当時の私にはとても考えられなかった。

 夕張方面の鋭く尖った山はみんな “芦別岳”にされてしまう傾向がある。この1415m峰と通称「中岳」が特に間違われるようで、理由として@この山域でガイドブックに載っている一般的な山は芦別岳・夕張岳の2山くらいであること。Aよく写真でみる芦別岳は旧道からのものが多く、その姿は鋭く尖っていることなどが挙げられる。

  1415m峰を最初に目指したのは7〜8年前で、奥深いこの山へのアプローチを調べるため、北海道営林局に林道地図を買いに行った。それ以後この山を目指し何度も足を運んだが、その都度悪天候や林道の崩壊などにより追い返され続けた。地質上の問題なのか、あまり整備されなかったためなのか、特に日陰ノ沢林道分岐(ここには何年間もスーパーハウスがあり、我々は此処の分岐を「スーパーハウス」と呼んでいた)より先は状況が読めず、とても車を走らせる気にはなれなかった。年によっては林道の大きな崩壊のため、スーパーハウスまででさえ届かないこともあった。

  今回、「スーパーハウス」から先の林道は歩くつもりで計画を立てたが、幸運にもブルで林道を均した直後だったのか、危うい所はあったものの車底を引っ掛けることも少なく、目指す夕張川に掛かる橋(標高545m)まで車を乗り入れることが出来た。この付近は以前、林道に流れ出た土砂のため、車を傾斜させながら恐る恐る通過したところでもある。

  橋から夕張川へ入渓する。580m二股までは約30分の河原歩きである。580m二股から左股(シューパロ川)へ進むと1457m峰「シューパロ岳」である。ただし、この川は地図上では函の連続となっており、単にこの山のピークを目指すのであれば別ルートの方が登頂出来る可能性が高い。二股からさらに10分も進むと、最初の三段の滝(78)が出て来る。この滝は左岸を低く巻くことも考えたが、安全を第一に考え、左岸を大きく高巻くことにする。この後、林道跡を利用して640m二股まで進む。(後で解ったが、1/25000地形図に載っている林道は現在では枝道となっていて、天狗沢林道をそのまま進むと640m二股まで難なく行くことが出来た)右股へ入り、テン場を探しながら進んで行くと、スノーブリッジが二箇所ほど出て来るが、崩壊するとは思えなかったので中を素早く通過する。ここを過ぎるとすぐの左岸によいテン場が見つかり、ここを整地してC1とする。

 両岸が迫ってくるとゴルジュとなっていて、すぐに730m二股である。ここはゴルジュ手前から左岸を高巻くのが一般的なのか、沢に戻るあたりは踏み跡らしき状態になっている。この先は水量も減り平凡な沢相となるが、ぐんぐん高度を上げて行く。800m付近で水は枯れる。1000mくらいまでは岩石も安定していて歩きやすいが、1000mを越えると傾斜も増してきて、岩石が不安定となり、後続への落石に対する注意が必要である。1100m付近からは小滝(水流はない)の連続となり気が抜けない。振り返るとシューパロ岳が雲間に見え隠れし、正に水墨画の世界そのものである。1190m付近で乗り越え困難な小滝(岩盤)が現れる。この頃から雨も降り出す。C1にハンマーを置いてきたため支点も作れない状況で、これ以上進み続けることは危険と判断、この日はここまでとする。C1に戻った頃には雨脚もかなり強まり、林道の状態が心配になる。リーダーの判断でテントを撤収、車止めまで戻り一晩様子を見ることを決定する。翌日は橋(545)からの再スタートとなる。

1415峰(夕張マッターホルン)頂上にて 1415m峰頂上の二等三角点「天狗岩」とサッポロ黒ラベル

  翌日(8/4)は雨が止んだため、曇り空のなか5時発で行動を開始する。1100m付近からは尾根に逃げるが、強烈な藪漕ぎとなる。帰路のルートファインディングの難しさを考え、要所々に赤布を結び進んで行く。この辺りの地形は、下降ルートを間違えると当日中に下山出来なくなる危険性が考えられる。山容が急峻であるため尾根上には所々岩壁が現れるが、樹木を利用して何とか攀じ登る(下りはすべて懸垂下降)

  藪突入から約2時間で頂上の肩(1380m)に飛び出す。ここの稜線上の藪中にはナタの跡が残っていた。初めて頂上岩峰を目にするが、進行方向には頂上まで途切れることなく樹木が密生しており、自分にとっての初登頂を確信する。約30分、最後の急斜面を攀じ登ると、意外に広く平坦な頂上に飛び出した。進行方向左手の足元には憧れの1415m峰三角点があり、5度目の挑戦で「夕張マッターホルン」ピークを落とした喜びがこみ上げてくる。最初の計画からずっと共にこのピークを目指してきた仲間が、三角点を触りながら喜んでいる姿が特に印象的だった。(2002.8.4)

【参考コースタイム】(8/3) 夕張川545mの橋 (ゲートより16km) 9:10 C1予定地 11:10 、〃発 12:30 → 730二股 13:10 標高1190m地点(引き返し)14:45 C1着 16:25、テント撤収後C1発 17:00 夕張川545mの橋 18:10     (8/4)夕張川545mの橋 4:50  → 最初のC1通過 6:00 → 標高1000m 8:00 → 1415m峰頂上 10:35、〃発 11:15 →  標高1000m 14:25 → 最初のC1通過 15:35 → 夕張川545mの橋 16:33

メンバー】L.hachiya、SL.saijyo、m.hachiyaチロロ2、isido

五年後の1415m「夕張マッターホルン」の山行へ

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