<戻る

      夕張マッターホルン(1415.6m) 〜再び

夕張マッターホルン頂上に立つメンバ

/25000地形図「芦別岳」「夕張岳」「幾春別岳」「滝ノ沢岳」

 5年前、五度目の正直でやっと踏んだ1415m(夕張マッターホルン)であるが、藪山仲間の間で話題となっていたこともあり、再び訪れることになる。以前の記録では10時間以上かかっており、初めて参加するメンバーの登頂を第一に考えれば、やはり勝手知った前回と同じルートが確実である。この山の大変さはアプローチにあり、既に前の週、Luckyさんとキンチャヤマイグチさんが林道偵察を終えている。背の高い四輪駆動車であれば終点までの乗り入れは十分に可能とのことで、途中からは2台のオフロード車に便乗、まずは第一関門突破とする。

林道終点までは無事乗り入れる
頂上直下を下る

やはり、知っているルートでは考える場面がほとんどない。以前と状況はあまり変わらず、前回高巻いたゴルジュ手前までは難なく到着する。記憶にはなかったが、ゴルジュ手前に釜を持った23mの滝が現れたのは意外であった。しっかりと覚えていたつもりでも、記憶というものはあてにならないというこであろう。心配していたゴルジュ手前の左岸の取り付きは前回同様に倒木を手掛かりに攀じ登る。丁度良い具合に今回も新しい倒木があるが、ここは毎年のように倒木がもたれかかる場所なのかもしれない。あまいものこさんが、少し手前にもう少し安定した取り付きを発見するが、こちらの方が確実なようである。入山者が意外に多いと思っていた尾根乗り越しの踏み跡であるが、人によるものではなく獣道のようである。確かに、前回は高巻きを終了した地点には赤布が残置されていたが、今回はそうそう人が入った形跡は感じられない。にも関わらず、踏み跡はしっかりとしており、至る所で登頂ルートとは関係ない方向へと向かっているようである。

頂上にて(Ake氏写真提供)

ゴルジュのすぐ上は二股となっているため、高巻くと自然に右股へ入る。途中、尾根上へ向かう獣道を発見、尾根上をそのまま詰めることも考えるが、水量が極端に少なくなる沢形を詰めた方がやはり効率は良さそうだ。水流は直ぐに途絶え、階段状の登りが続き斜度も徐々に増してくる。そのまま詰めるとコンタ1200m付近からは微妙な岩壁が連続してくるため、行動時間を考えれば今回も右側の尾根へ逃げた方が良さそうだ。尾根への取り付きは草付きとなっていてかなり不安定だが、スパイク地下足袋であれば全く問題はない。尾根上までの急斜面は、木々に捕まりながらの藪漕ぎである。尾根上に出ると直ぐに、前回は懸垂下降で下った岩壁が現れる。よくよく見てみると右側の木々を伝えば難なく登り降りができそうだ。これだけではなく、次にも岸壁が現れるが、こちらは全く記憶にはなかったところで、自分の記憶の曖昧さというものをさらに思い知らされる。それでも、大まかなルートは知っているためか、全体的には前回よりも遥かに短く感じられるところが、やはり二回目の登山と言える。

木登りのようなルートが続き、込み入った潅木の藪をひと漕ぎするとコンタ1370mの西の肩へ飛び出す。この辺りはハイマツがしばらく続き、登ってきた尾根への下降の際にはルートファインディングにかなり気を使った記憶があるが、ハイマツは肩の周辺のみであった。ただし、この下りはやはり難しく、ガスがかかっていた前回は赤布で事なきを得ている。肩まで上ると1415m峰頂上が姿を現す。天狗沢からのルートが無雪期のノーマルルートとなっているのか、ここから頂上までのルートは明瞭な踏み跡となっていて、枝々も人為的に所々で切られている。

最後の急斜面を登り終えると5年ぶりの頂上である。二度目でも、やはり感動的な瞬間だ。前回のメンバーの喜ぶ顔が今回のメンバーのそれとオーバーラップして感じられる。私自身は今度こそは大パノラマを…との期待感を抱いていたが、今回も残念ながら山並みはガスの中にある。かろうじてだが、主稜線上の湖沼群の向こうに吉凶岳を望むことができるが、この日の前後の好天を考えれば残念でならない。下山時、後芦別山群の名峰である中岳やシューパロ岳(いづれも通称)が姿を現すが、これも挨拶程度であった。

 全体的にはやはり登り応えのある山で、夕張マッターホルンのネーミングとその存在感で、今後はますます登山者の増加が考えられる。残り少なくなったあまり人の踏み込まない山域であり、二度登った私としては自分勝手かもしれないが、今の状況が今後も続いてくれることを祈らざるを得なかった。(2007.8.26)

■Luckyさんの山行記

  【メンバーsaijyo、Ko玉氏、Ake氏、キンチャヤマイグチさん、Luckyさん、Hori氏

<最初へ戻る