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       ゼロの山(743m)

かなやま湖森林公園を見下ろすゼロの山

 1/25000地形図「山 部」

ゼロの山頂上に到着
三角点ではない小さな標石
尾根コース登山口には駐車スペースが用意されている
少し被り気味の登山道
途中にはベンチも用意されている

南富良野町には以前から一ノ山、二ノ山、三ノ山とあり、樹海峠から順に三、二、一と高くなる。高いとはいっても標高差にしてせいぜい300〜400mといったところで、標高858mの最高峰・一ノ山であってもここ南富良野では低山であることに違いはない。ゼロの山はそのさらに先にある743mピークのことで、近年付けられた山名である。地形図には現在も過去も載っていないので国土地理院公認ではないが、上川総合振興局南部森林室(旧上川南部森づくりセンター)が主体となってこの山に登山道を開削したようだ。「かなやま湖森林公園」は人気のキャンプ地でもあり、地元第三セクターが運営するホテルも建っている。アウトドアの拠点としてのステータスを考えた場合、やはり気軽に登れる展望の良い山が欲しかったのだろう。そんなことでこの山に白羽の矢が立ち、既存の一、二、三の語呂合わせから位置的な関係で“ゼロの山”と命名したと想像する。

そもそもこの日は山に登る予定などなかった。仲間内で恒例としている“薮山の会”の会場探しで樺戸、幌内山地と点々と回り、Ko玉氏のアドバイスでももらおうかと電話したところ、たった今ゼロの山から下りてきたところとのこと。時計を見ればまだ9時前である。我々もちょうど富良野から金山へと向かっている途中だったので、JR金山駅で彼と待ち合わせることにした。聞くところによれば、30分もかからなかったとのこと。これも何かの縁、地形図とsakag氏(一人歩きの北海道山紀行・管理人)の記録のコピーを譲り受けてゼロの山へと向かうことにした。

ゼロの山の名は聞いて知っていたが、その山に登ることになるとは思ってもいなかった。位置も含めてまるで判らず、方向音痴のチロロ2さんが運転しているので、そのナビの傍らsakag氏の記録をテキストににわか学習することにする。氏の記録では森林コースは廃道化していて酷い目に遭ったとのこと。先人の苦労に感謝しつつ当然のことながら整備されている方の尾根コース登山口へと向かう。ただ、Ko玉氏との別れ際、氏は何も言わなかったが、彼に同行したキンチャヤマイグチさんから「ダニが多いので要注意」とのアドバイスをもらったのが、妙に気になるところだ。

登山口までのアプローチは、Ko玉氏の情報とsakag氏のGPSトラックログで難なくクリア、図にある駐車帯に車を停める。この頃から雨がポツリポツリ。しかし、30分もかからないとのKo玉氏の言葉を信じ登山道へと足を踏み入れる。少々被ってはいるが登山道を見落とすことはない。天候を考えての急ぎ足での登りが続き、ふと一息入れてズボンを見るとマダニだらけである。後続のチロロ2さんにはそんなにダニは付いていないようだ。どうせ先頭を行くことを嫌がるKo玉氏のことだから、キンチャヤマイグチさんが終始先頭に立つ破目になったのだろう。それにしても最もダニの活動が盛んな時期なのか、その多さには辟易させられる。

雨脚が強まり急いで下山する 社満射岳にも雨雲がかかる

頂上が近づき笹原となるとかなやま湖と社満射岳が見える。笹の丈が胸の高さくらいなので、快適とはいえないがそれなりの展望は得られそうだ。笹原に入ってすぐに、なぜか脚のないベンチが置かれているところに出るが、以前はここで快適に休憩していたのだろうか。このダニの多さではとても座る気にもなれない。笹原から樺類の雑木林へ入ると稜線となりすぐに頂上となる。三角点であれば細すぎる標石が一本埋められているが三角点のないピークであり何のものかは判らない。林班界を示すものとも違うようだ。雨脚も強まり、「展望はいいですよ」とは聞いて来たがすっかりガスって視界は利かない。すぐに下山とする。

 ゼロの山の登山道が開削されたのはラミネートされた案内図の傷み具合から考えても、そう遠い過去のことではなさそうだ。にも関わらず整備されている側の尾根コースでさえ被り気味で、ましてやダニの多さを考えればこの山のリピーターはまずいないだろう。どのコースもわずか数百メートル、かなやま湖周辺の素晴らしい展望を考えれば、もう少し整備をしても良いように思う。笹刈り機をシーズン始めに一度繰り出すだけでもぜんぜん違うだろう。また、整備せずに自然のままとするのであれば紛らわしい森林コースの看板はすぐに外すべきである。下山後、ダニ探しには四苦八苦させられた。ひょっとしたら登山時間よりもダニ退治の時間の方が長かったかもしれない。(2011.7.10)

【参考コースタイム】 尾根コース登山口 P 11:13 → ゼロの山頂上 11:30  → 尾根コース登山口 P 11:46  (登り 17分、下り 16分 ※小休止時間を含む)

メンバーsaijyo、チロロ2

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