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      柏山(1267.9m)

1/25000地形図  「雄柏山」

今年もさまざまな顔ぶれが集まる (出発前)

藪尾根を登る
1188ピーク付近から見る幹線林道をズーム
オシラネップ川側からは険しい山容を見せる

夏山がオフシーズンとなるこの時期、斜里岳・清岳荘管理人の任を終えて山を下りる熊ぷ〜さんことYo氏の慰労を名目に焚き火を囲んで大いに交流を深めようと、年に一度の藪山一山の山行を開催している。例年多くの顔ぶれが集まるが、今年はメインの熊ぷ〜さん&エル嬢@山の旅人〜 Wandererさんほか、一人歩きの北海道百名山のSakagu氏(いつのまにか藪山愛好家メンバー)、山の時計のEIZI@名寄氏、甘藷岳山荘のあまいものこさん等、Web上で藪山の山行記録を賑わしている面々。道内1000m以上のピークを完全踏破してしまったHa氏と婦人、知床ならすべてお任せの網走・I氏の両出版組。その他、虎視眈々と800、900m以上の全山を目指すKo玉氏や自身のHPは未だ作っていないが藪漕ぎ界のプリンス・Ogi@旭川氏、Ha山岳会からはAke氏はじめ藪漕ぎ派メンバー2名、小柄ながら藪漕ぎセンス抜群・Yo@美唄さん、そして我が「地図がガイドチーム」からは4名が参加、オシラネップ川上流の広い空き地で一同に集う。集合場所・テント設営地のすぐ横にはヒグマの糞も見られ、雰囲気設定は完璧である。

雄柏山頂上に到着

雄柏山「三等三角点・熊の沢中」

 近頃では今回の参加メンバーの興味が、地形図上に山名が載っている山から三角点名がある“名峰”探しへと移行しつつあるが、この状況下で参加者の誰もが未踏であるピークを探し出すことは至難の業といえるだろう。今回の雄柏山は未踏率が77.1%(13.5/17.5人)と圧倒的に未登頂者が多く、よい山域選択だったといえる。 その雄柏山、命名の由来がオシラネップのオシラの当て字(網走・I氏)だったという当掲示板の書き込みを見て、その意外さに驚かされる。測量が盛んに行われた明治・大正期当時としては無理に和名の山名を考え出したのであろうが、点名「熊ノ沢中」から熊ノ沢岳、もしくはオシラネップ山などの山名が地形図上に載っていても決して不思議ではなかったと思われる。雄柏山という現山名は安定感があり、逞しい感じがして私は好きである。しかし、山容としては、滝上町・オシラネップ川から見る姿は険しく感じられるが、頂上が平坦なためか、山全体としてはあまり特徴のないさえない感じの山である。特に隣のチトカニウシ山や北見富士が特徴ある姿であるため、かなり見劣りしてしまうが、1000mを越える標高や多くの地図に山名が載っていることなどを考えると、無視することのできない一山ではある。

当初は緑資源幹線林道・滝雄・厚和線の白滝側から入って黒曜石の産出地を通過、頂上へ向う予定であったが、自衛隊の訓練が当地で行われるとの急な話によって、急遽入林許可は取り消しとなる。ルート的には頂上近くまで歩道記号が描かれており、登山と言うには少々もの足りない感じのルートではあった。一方、今回取った道道オシラネップ原野濁川停車場線から続く、同幹線林道の滝上町側からのルートは地形的には険しそうであり、この時期としては沢詰めを前提としたルート選択は避けたいところである。そこで考えたのが、510m標高点から1188m標高点に向う痩せ尾根を忠実にトレースしてのアプローチである。藪尾根であれば岩稜でも現れぬ限り、どうにでもなりそうだ。

同幹線林道はこの雄柏山付近が未だ未開通であり、現在も工事が行われている。地形図上の道路からオシラネップ川へは一度下らなければならないが、幸運にも河原近くには工事事務所であるスーパーハウスが置かれており、辺りは広い駐車場となっている。休工日であるために工事車両はなく、ここに車を停めさせてもらう。ここから200〜300mほど河原沿いに続く作業道を歩くと、取り付き地点の510m二股である。見るとさらにラッキーなことに目指す尾根上には歩道が続いている。この歩道、倒木も処理されていて、地元の山岳会が登山道でも開削しているのかと勘違いするほどである。下山後に確認したところ、この尾根を突っ切るように前述の幹線林道のトンネルが掘られていて、工事のための測量か何かのために開削されたようだ。

歩道終点からも鬱蒼とした針葉樹林帯が続き、下草が育たないためか、かなり歩きやすい登りである。両側が切れ落ちている箇所も何箇所か見られるが、地形図から想像していた岩稜や岩峰は現れず、高度感があるわりには簡単に標高を稼ぐことができる。潅木や木々の下枝を綺麗に掃い、要所々に道標でも設置すれば、最小限の労力で立派に雄柏山・オシラネップコースとなりうる。この山域(北大雪や北見山地南部)は森林資源が豊かであり、道北や海岸部に見られるような根曲がり竹などが育ちにくい環境なのかもしれない。

下山途中に見えた天塩岳をズーム 雄柏山頂上直下から見る北見富士をズーム

1188m標高点のあるピークは頂上の雰囲気があるが、慾を言えばもう少し樹林が少なければ山域の素晴らしい展望台となっていることだろう。頂上へは緩い斜面の藪漕ぎとなる。潅木帯を登り詰め、さほどの労力もいらずに雄柏山頂上部の一角に飛び出す。ここからは根曲がり竹の軽い藪漕ぎである。三角点は崖側にあり…とのKo玉氏のアドバイス通り崖側の踏み跡を辿ると、刈りわけられた一角に三等三角点「熊の沢中」が顔を出していた。頂上部全体で考えれば皆が最初に探し始めた地点の方が明らかに高く、三角点探しの定石といえる。あまいものこさんは夕張・丸山での体験からか、真っ先にこの地点に目を付けたようであったが、一瞬私の方を見てしまったために一呼吸遅れてしまった。“虎の巻”を頼りのずるい一番乗りであった。 (2005.10.16)

 

「一人歩きの北海道山紀行」Sakagu氏の山行記へ   「山の時計」EIZI@名寄氏の山行記

【参考コースタイム】スーパーハウス・工事事務所前 7:30 → 1188m標高点 9:55 → 雄柏山頂上 10:40 、〃発 11:20 → 1188m標高点 11:50 → スーパーハウス・工事事務所前 7:35

メンバー】熊ぷ〜さん、あまいものこさん、Ake氏、Sakaさん、Ogi氏 、EIZI@名寄氏、網走・I氏、sakag氏、Naka氏、Yo@美唄さん、エル嬢、saijyo、チロロ2、チロロ5・藪漕ぎ男氏

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