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   丸山(523.0m)湯内岳(645m)

余市町市街地から湯内岳を望む

1/25000地形図 「豊 浜」

余市ダムへの途中でストップとなる
google earthで見つけた林道を進む
林道コル付近から丸山を望む

 湯内岳は11年前の余市・天狗岳へ登った時からずっと頭の片隅にあった山だ。当時は余市・天狗岳すら一部の人間にしか登られていない山だったから、現在のようなマイナーピークの盛況ぶりなど、想像できるわけもない。その間、いつの頃からか湯内岳のような、さらにマイナーなピークにも足を伸ばす登山者が増えたようである。そんな状況の背景にはHYML(北海道山メーリングリスト)の活躍や冬山の壁を低くしたスノーシューの普及などが考えられるが、やはりWeb上での豊富な情報が登山者を新たなる山へと向かわせている主要因であることは言うまでもない。

丸山への稜線を行く
丸山頂上にて

 この湯内岳だが、地形図上では特徴的であるが、山容はいたってのっぺりとしており、朝に夕にこの山を眺めている地元・余市町の人々すら指呼することなどあまりないだろうと思われる。湯内の語源はアイヌ語のユ・ナイ(温泉・川)で、湯内川周辺のどこかに鉱泉?が流れ出ていたのだろう。Web上を見る限りでは東側から攻められることの多いこの山、今回は丸山(523m)もぜひ踏んでおきたいというIkkoさんの要望で、南側の余市ダム手前から狙うことにする。ルート選択の情報として利用しているgoogle Earthを見たところ、下二股沢付近には広範囲な伐採地があり、となれば、そこまでは重機が通ることのできる林道が入っているはず。そんな予測に乗っての登頂計画である。

  前の晩は余市道の駅「スペースアップル」にてメンバーと落合う。例によってIkkoさんとは夜更けまでの山談義が続き、同じく例によって眠さに後悔の朝を迎える。私一人であれば間違いなく止めてしまうところだが、Ikkoさんは早朝から目覚めていたようで、既に準備万端といった様子である。日頃から休みが取りづらい職場というのは山をやる上にはけっこうきついものがある。メンバーを待たせながらも予定よりは少し早い時間に道の駅を後にする。余市ダムまでは除雪されているものと記憶していたが、少し手前で通行不能となる。だが、GPSを見たところではこの日のルートとなる林道入口までは200m程度のもの。むしろ車4台を止めることが出来るスペースが確保できたのはラッキーだったと言える。

 林道入口からは広い雪面歩きとなる。朝方の冷え込みのために雪面は硬く、ラッセルなしの状況がしばらく続く。少し進んだ地点で、分岐を見落としたとの山遊人さんからの指摘。GPSを首から掛けていた私としては少し調子に乗りすぎていたようだ。GPSを持たない山遊人さんは地形図のみ、ルートファインディングに対しての真剣さに差が出た格好となる。私に付いてきた面々は皆ぞろぞろと引き返す始末。何とも情けない話しである。正しい林道は途中から右側へと下っていた。進むこと約30分、途中から尾根上へと向かう林道の分岐となる。予定では地形図上の“下二股沢”へと向かうことになっているが、丸山頂上へは早い段階で尾根上へと進んだ方が後々効率が良い。急斜面をひと登りして尾根上へと上がる。ここから350mポコまでがこの日の最大の登り。日照時間が伸びて春の気配が顕著に感じられるこの時期、とてもオーバーヤッケなど着てはいられない、登り一辺倒のきついアルバイトとなる。

 350mポコに到着。眼下には忍路海岸を正面に日本海始め小樽付近の山々が飛び込んできた。この日一番の眺望だった。これで十分という気にもなるが、目前の丸山は踏まなければならない。ここで一本休憩を入れて、稜線上に続く作業道を丸山へと向かう。広い雪面を登り詰めて行くと、疎林帯の中に真っ白い高みが現れた。丸山到着である。頂上の樹木の枝には古いテープが巻かれている。物好きな登山者に因るものだろう。Ikkoさんのような登山者が他にもいるということだ。樹林に邪魔されて、ピークからの展望がないのは残念だが、ここはピークを踏んだというだけで十分。メンバーのうち三人は引き返すとのこと。残りの4人は湯内岳へと丸山を後にする。

湯内岳標高点にて 標高点に金麦を置く
湯内岳標高点にて 標高点に金麦を置く

 斜面は意外な下り。ウロコ板なのでシールを外したが意外なブレーキに体勢を保つのがやっとといった状態。気温が上がってきたためにウロコ板が下駄のようになっていた。滑走用のワックスをmocoさんから借りるが、良かったのは最初だけで、ひと滑りするとすぐに同じ状態となる。下りが思いやられる。斜面は緩いが、いつもの倍は疲れる。我慢しつつも湯内岳の緩い斜面を登って行く。もう少しで頂上台地となる地点で堪忍袋の緒が切れた。ダメだ… 誰かシールワックスを持っていないだろうか? 再びmocoさん、持っているとの返答。何とも痒いところに手が届く人だ。そもそもがウロコ板なので、滑走用よりはシールワックスが良いのではという単純な発想だったが、これが功を奏した。以後、一度もべた雪に悩まされることなく頂上台地上の一角へと出る。

 あとは広い雪原の一地点を目指すのみである。広い雪原を一気に進んで行く。先行していたIkkoさんが立ち止まってこちらを見ている。雪原の中でも辛うじて一番高いと感じられる地点だった。実質上の頂上である。だが、三角点のないこの山で、どこを頂上とするかとなれば、やはり標高点が解かりやすい。GPSを思いっきり拡大して・645と表記されている・の位置へと移動、若干低くなった感はあるが、ここで頂上到着とする。こんな場所では当然眺望などは期待できず、見えるのは疎林と雪原のみ。わずかに北東側には海が見えている。これが湯内岳の頂上、とりあえず登頂計画は成功である。どんな頂上であろうと頂上は頂上、この達成感こそが藪山愛好家にとっては納得のひと時と言える。

 17時から札幌駅のステラプレイスで行われる作家のサイン会に申し込んでいるというmocoさん、帰りの温泉を考えれば時間的には微妙で、我々のようにゆっくりとはしていられない。下山は丸山を省いて下二股沢へと下ることにする。下二股沢へは直接下る尾根を利用、末端付近で一部急傾斜とはなったが、総じて順調に往路のトレースへと合流する。さあ、急いでmocoさん! さてさて、間に合うのかな?… (2015.3.8)

参考コースタイム】 車止め P 7:40  丸山頂上 9:40、〃 発 9:55 → 湯内岳頂上 11:20、〃 発 11:35 → 車止め P 13:00   (登山時間 丸山まで2時間、丸山〜湯内岳 1時間25分、湯内岳からの下り 1時間25分)

メンバー】山遊人さん、Toyamaさん、mocoさん、Ikkoさん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

 

350mポコからはこの日最高の眺望

八内岳付近の山々を望む

ニセコアンヌプリも薄っすら見える

丸山頂上に到着

湯内岳から余市市街(Ikkoさん提供)

湯内岳から望む忍路・小樽海岸

湯内岳の最高地点に立つIkkoさん

湯内岳を下る@

 

湯内岳を下るA(Ikkoさん提供)

 

 

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