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      養老牛岳(846.7m)

  

  

養老牛岳は地味で平な山だった

/25000地形図 サマッケヌプリ山」「養老牛温泉」

ダムまで約1kmの地点に車を置く
尾根上は密な針葉樹林帯
広くて平らな養老牛山頂上に到着

養老牛とは、アイヌ語“エヨロシ”「川に大きな石が突き刺さっているところ」に「養老」(奈良時代の元号)と「牛」をあてたと思われる北海道らしい和名であり、秘湯・養老牛温泉が有名である。養老牛岳の山名はこの地名をそのまま山名としたようだ。標津山地の山々は俣落岳やサマッケヌプリ山を始め、山域がゆったりとした山が多いが、この養老牛岳も同様である。ただしその分、冬場のアプローチが長く、上手に計画しなければ長時間の林道歩きも覚悟しなければならない。今回は緑ダム(2002年竣工)の冬場の維持管理を期待しての計画で、斜里川の魚道工事にうまい具合に便乗させてもらった一昨年の正月山行・サマッケヌプリ山の“二匹目の鰌”狙いである。

読み間違えた部分

ラッキーなことに今年も目論み的中で、緑ダムへ続く道路はそれなりに除雪されており、普通車でも難なくダム近くまで乗り入れることができた。ダムまで約1qの表示があるが、ここは無理せずに車を置いて行く。頂上までは直線距離にして約5q、既に日帰り圏内に到達である。ダム堰堤まではオフロード車であれば十分に入るこが可能であろう。

ダム堰堤上を通って対岸へ進み、真正面の斜面に右側から取り付く。高さにして40〜50mも登ると緩い尾根上となり、長い尾根歩きの始まりである。尾根上の地形は複雑で、主尾根と枝尾根が同じ様相で広がっている。最近、使い方を覚えたGPSを使用して頂上へ向うが、主尾根と枝尾根の区別が付かず枝尾根へ入り込みそうになる。途中からはGPSを止め、以前からのスタイルである地形図読みに切り替える。頭のモードが切り替わると何となく主尾根が見えてくるから不思議である。

何本かの作業道を横切り、ほとんど標高が変わらない尾根上を進むが、徐々に標高は上がって行く。コンタ520mで尾根が狭まる特徴的な地形が現れる。地形図上からは痩せ尾根の急登を想像していたが、意外にも尾根は広く、傾斜もあまりない。再び尾根が広がり出すと、逆に傾斜が増してくる。読図上の単純な錯覚である。地形図を立体視し、実際の地形を頭の中で展開できるだけの経験は積んできたつもりではいたが、気温が低くあまり余裕のない状態では読図への集中力が欠けてしまったのであろう。多少シビアな状況であっても、もう少し正確に地形図からの情報を読み取るくらいの習慣を身につけなければならないようだ。

遠くに屈斜路湖と藻琴山が広がる 標津岳は大きく見える

広い斜面はとにかく高い方へと進んで行くことに尽きるが、下山の際は難しく、しっかりと下降地点を押えておかなければならない。傾斜が徐々に緩み、背後には緑ダムや江鳶山などの斜里岳周辺の山々が展開する。さらにひと登りで広く平らな雪原となるが、北西風は容赦なく吹きつけ、辺りはモンスターやエビのシッポだらけの世界となっている。出発時間が遅れたこともあり、11時を過ぎたこの時間帯では行動中止までのタイムリミットが気になるところである。再びGPSを取り出して、頂上までの距離との相談となる。余談ではあるが、いつもの山行では気にしていた電池対策(ホッカイロの機器への貼り付け)も私の不精癖のために怠ってしまい、デジカメもGPSも何時ものようには働いてはくれない。電池を取り出して、直接素手で暖めることもしばしばである。

半分以上埋まってはいるが、ハイマツに時折足をすくわれながらも頂上への距離を少しずつ縮めて行く。緩やかに高くなった一見頂上と思われる地点を越えるとさらに高い地点が前方に現れる。そこより先にはさらなる高みは現れず、何とか頂上に到着したようである。辛うじて電源が入るGPSの表示は“目的地に到着”となっている。期待していた秀峰・斜里岳はガスに隠れて見えず、少々がっかりさせられるが、標津岳は大きな姿を見せている。また、養老牛温泉側では双耳峰のシタバヌプリ山の特徴的な姿、さらにはそれに続く根釧原野の広がりを確認することができる。

後は顔に突き刺さるような、この地方特有の北風へ向って下山するのみである。途中から顔を出した屈斜路湖や藻琴山の広がりが印象的であった。(2006.1.1)

【参考コースタイム】ダム手前1km地点P 9:20 → 緑ダム堰堤 9:50 → 養老牛岳頂上 12:50、〃発 12:55 → 途中、30分休憩 →  緑ダム堰堤 15:00 → 緑ダム手前1km地点P 15:10

メンバーsaijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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