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    穂高岳〜バリエーションルート(2009.8.17〜18)

                  …米沢さんからのメール

河童橋から穂高岳と梓川


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 1/25000地形図「笠ケ岳」「穂高岳」

雪渓からトリコニー1〜3峰
奥穂高岳南稜 
南稜の頭直下から前穂北尾根 
穂高岳山荘
夕暮れ迫る前穂北尾根 
涸沢ヒュッテとテント村

 お盆明けの月〜火曜、観光客で賑わう上高地から穂高のクラシックなバリエーションルートを2つ登ってきました。大勢の観光客が乗って揺れる河童橋を出発、雪崩で倒壊した岳沢小屋跡からは滝沢出合の取付点まで雪渓が続いて楽でした。

 流石にお盆明けでシュルントの幅が大きく、陸に移るのが怖かったです。幸運にも一カ所跨げる所がありました。飛び移ってから心臓の鼓動が激しかったです。今年の夏はお天気が悪かったせいか、登った形跡が無く、緊張感たっぷりでした。 尾根通しは藪で左側の涸滝のあるルンゼを快適に登って源流の草付きを詰めて尾根に上がりましたがハイマツが厳しく、5mも漕いだら限界、切れ落ちた右側の滝沢沿いの安全な草付がトリコニー1峰まで続いていたので微かな踏跡を頼りに核心の1峰に取り付きました。

 基本的に南稜の岩は階段状で非常に登り易く、全てのピークを直登しましたが、山側は切れて降りられず、その都度クライムダウンして緩傾斜の扇沢側を巻きました。整備すれば奥穂の最短で安全な一般ルートになりそうです。流石にウェストンが初登頂したルートだけのことはあります。緩傾斜のガレを詰めると南稜の頭に飛び出して5分で奥穂高岳に到着しました。雲が湧き出して展望もイマイチ、素通りして涸沢ヒュッテに降りました。

 翌朝は憧れの北尾根、朝焼けの穂高連峰をバックに五六のコルに順調に登り詰めました。岩に腰掛けて絶景やなぁと満足感に浸っているとポケットに入れていた財布が在りません。 カード、免許証、全財産が入った大事な財布が!!泣きそうになってヒュッテに駆け下りました。幸い相談所に届いていて本当に助かりました。ヒュッテのオーナーに五六のコルで無理やったら奥又白の池に降りなさいと言われて再出発しました。

 5峰は一級国道が有り問題なし、5峰から4峰攻略の作戦考えて、奥又白側を巻いてピークに抜ける予定でしたが少し巻きすぎて三四のコルが見える所まで巻いてしまい、クライマーの踏み跡を辿ってピークを越えました。いよいよ三峰、 いよいよ核心の三峰、ルートは限定されて完全な岩登り、ヘルメット、ハーネス、スリング2本、カラビナ2枚、8ミリロープで臨みましたが残置ハーケンが少なく、ハングした岩を奥又白側に巻くあたり完全にフリーで登るシーンも有り、高度感にやられて喉はカラカラ、緊張感たっぷりのクライミングでした。下からロープ引っ張ってもらったら楽勝です。

 核心のチムニーは数年前の地震で三峰山頂部が崩落した時に大小のぎっしり詰まったチョックストーンのお陰で一番下に挟まった岩さえ乗り越えれば容易でした。チョックストーンが無ければ両手両足を突っ張ってチムニー登りを強制される所でした。隣の狭いチムニーは10mはありそうな巨岩が覆い被さって、本当に煙突みたいになっていました。チムニーの終了点は倒壊した巨岩の隙間が額縁の様になって奥又白池が絵の様に見えていました。

 チムニーの終了点からは少し登り易くなって涸沢側を巻き気味に二峰に到着しました。事実上三峰は無いに等しいです。二峰からは慎重に15mの懸垂下降、ぎこちないロープワークを山頂から見られて恥ずかしかったです。懸垂の終了点が事実上の終了点です。前穂山頂では憧れの北尾根を登れて幸福感に浸っていました。

 槍から西穂まで絶景を楽しんで、上高地に下り始めました。誰かに北尾根の事喋りたくなって前をゆくオバサン2人連れに声をかけました。なんと、「私、10年前初心者の時に登りました」と云うお返事、あのチムニーが難しかった時に。。なんかショックでガックリして意気消沈してしまいました。目前に奥穂南稜が望めたのであの岩登りましたと言ったら感心してくれました。目の錯覚で実際より困難に見えただけです。気を取り直して数十人抜きで上高地へ下りました。上高地は物凄い人出で沢渡行きのバスは満席でした。

 

行動記録
17日 9:00河童橋→11:00雪渓→15:15〜15:20奥穂高岳→17:50涸沢ヒュッテ(泊)
18日 5:30涸沢ヒュッテ→6:30五六のコル→7:20〜7:40涸沢ヒュッテ→8:40〜9:00五六のコル→10:00四峰→11:40〜12:00前穂山頂→15:20河童橋

五六のコルから朝日の奥穂〜北穂 三峰 
五峰から四峰  涸沢岳〜槍ヶ岳 前穂山頂から二峰と涸沢ヒュッテ
左からジャンダルム、ロバの耳、奥穂高岳、

涸沢岳 

奥穂〜西穂の稜線  朝焼けの涸沢岳

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バリエーションルートの記録、こちらも一緒に登っているような気がしました。「穂高よさらば」の世界ですね・・・どの写真も荒々しい山の姿が写し出されており、ぜひ実物を見たいものです。定年とはいわず、子供への仕送りが終わった折には長期休暇をとって、憧れの北アルプスへ絶対に行きたいと思っています。すがわらさんのこともあり、行ける時に行くのが良いのかな・・・と思うようになりました。北尾根とか南稜は無理としても、、一般道でも良いから一度は歩いてみたいものですね。それにしてもお財布が見つかって良かったですね。やはり、大多数の登山者は良い人だということですね。ともあれ、ご報告ありがとうございました。(管理人)

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