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      (928.6m)

桜野牧場から望む横山

桜野牧場から望む横山

1/25000地形図野田追岳」

ガロウ沢沿いの林道は直ぐに行き止まりとなる
振り返ると雪煙が美しい
沈みきらない笹薮の中を進む
目指す横山頂上が間近となる
横山頂上にて
横山頂上から見る砂蘭部岳は迫力満点である

八雲町は私の持っていた平坦なイメージとは違って、三方を山が取り囲む、山の景色が素晴らしい町である。その中で南側のスカイラインを作っているのが砂蘭部岳と横山だ。両山とも標高は1000mにも満たないが、八雲市街からは割とゆったりとした大きな感じの山に見える。道南は日本海側という印象があり、正月の積雪量は豊富ではないかとの読みでの計画であったが、十数年ぶりの雪の少ない正月とのことで、スキーは使えず仕舞いの藪山山行となる。

野田追川渓流の桜野温泉入口の除雪スペースにて、元旦の夜を過ごす。季節外れの雨のため、狭い車中の宴会となるが、藪山仲間と山を語り酒が飲める正月は何にも変えがたいものである。web上で砂蘭部岳や横山の記録がいくつか検索されるので、できればオリジナルルートからと思い、600mほど戻ったガロウ沢沿いの林道からのアプローチとする。積雪量の少ない林道は荒れ気味であり、車は直ぐに行き止りとなる。積雪量はかなり少ないが、とりあえずはスキーで行くことにする。林道はところどころで石が飛び出し、スキーの滑走面に気遣いながらも慎重に歩を進める。地形図上の林道終点から先は藪の細尾根となってしまい、期待していた作業道や集材路は見当たらない。少し戻ってから雪の全くない針葉樹林帯へルートをとることにする。ここでスキーを諦めてツボ足とするが、この先で深雪にならないとも限らず、かなり厳しい選択である。  

樹林帯から一登りで見晴らしの利く尾根上へと飛び出す。尾根上から見る横山は雪が付いているようにも見える。細い尾根上は雪面に出ている藪も薄くて歩きやすいが、442m標高点付近まで進むと埋まりきらない根曲がり竹が被るようになり、積雪量も増して来て、ラッセルのスピードも落ちてくる。頂上へは届かないのではないかといった不安な気持が頭をもたげる。この積雪状況では当初予定していた砂蘭部岳登頂は難しいとは感じていたが、下手したら横山にさえも届かないかもしれない。ただし、先頭を歩く私以外にはこの付近での微妙な心の動きは判らないということを、先頭を交代してから理解する。最後尾へ付くと時間さえあれば砂蘭部岳までもが可能に感じてくるから不思議なものである。何人かが通過して雪が踏み固まった状態では登山道となんら変わりはないし、ひょっとしたら衝撃の少ない雪面はそれよりも楽かもしれない。

徐々に傾斜が増してきて、コンタ650m付近からはこの日一番の傾斜となる。離れて見るとかなり傾斜がありそうに感じるものであるが、近づくと意外に緩いことが多い。それでも踏み込んで作ったステップが寝曲がり竹のために滑り落ちてしまうこともしばしばで、木々につかまりながら何とか上部へ抜け出す。上部の平らな雪面でほっと一息である。この先も何度か斜面は出てくるが、こまめなラッセル交代で難なく尾根上の平坦地へ抜ける。905m標高点付近で左右に尾根の広がりが感じられ、目指す横山のピークが姿を現す。感覚的にはかなり遠そうだが、こんな時の感覚はあまり当てにならないものだ。横山頂上へ向けて直進あるのみである。

奥まっていて、高く見えた頂上北側のコブを間違えて踏んでしまう。山中ではよくある錯覚であるが、905mから見た頂上が本物であり、私の見間違えであった。幸いにも視界が利いたのですぐに気が付いたが、荒天ではルートを見失しかねないミスであった。方向を変えて150mほど進むと、今度は本当に台形状となった広い横山頂上となる。頂上からの砂蘭部岳の山襞は実に見事で、思わず突き進んでみたい衝動を感じるが、山頂までは距離にして約2kmはあり、日が短いこの時期では時間的には無謀といえる。ましてやツボ足ラッセルでは遥か彼方であろう。それにしてもこの山の展望は素晴らしい。もう少し道南の山を知っていれば大パノラマと表現したいところであるが、如何せん今まで雄鉾岳以外にはどこも登っていない山域であり、辛うじて判別できる山が乙部岳、小鉾山、野田追岳くらいのものであったのが何とも残念であった。(2007.1.2)

【参考コースタイム】 ガロウ沢林道P 7:15 → 林道終点付近・スキーデポ地点 8:00 → 横山頂上 12:15 、〃発 12:30 →  林道終点付近・スキーデポ地点 14:15 → ガロウ沢林道P 14:35

  【メンバー】Ko玉氏、Yama氏、saijyoチロロ2

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