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   余別・丸山(572.0m) ・・・ あれっ!スノーブリッヂがない?

 

ゲート付近から見た余別・丸山

   

1/25000地形図 余 別  

渡渉を無事終えて丸山への途中から
頂上と思えた高みも頂上台地の一角であった
「河川管理展望施設」前はきれいに除雪されていた。
「河川管理展望施設」前はきれいに除雪されていた。
スノーブリッヂが無い余別川 (mocoさん提供)

  余別川の渡渉が今回の核心部だった。丸山は余別岳から北側へと向かう派生尾根上の低山で、地味な山容と1000mに遥かに及ばない標高、意外な奥深さ等で、あまり登られることのない山となっている。昨年の秋、「岬の湯」付近から伸びている林道をgoogleの航空写真で見つけてチャレンジしたが、ゲートに阻まれて敢えなく敗退している。であればと、籔が埋まるこの時期に、今度は余別川沿いの林道からの再チャレンジとした。余別からサクラマス・サンクチュアリーセンターへと向かう町道へと入る。同施設を右に見ながらそのまま進むと「河川管理展望施設」の小さな看板があるパーキングで除雪終点となる。ここまではきれいに除雪されており、広い駐車スペースも確保されているので、積雪期のこんな時期には大いに助かる。それぞれにスキー、スノーシューを付けて出発とする。

 途中、廃屋を見ながら1.5km程でゲートがあり、我々は余別川の様子が気になるので、川へと向かう。付近は段丘となっており、二度ほど急斜面を下って余別川との最初のご対面となる。温暖化のためか暖冬と言われている今冬だがまだ2月、当然スノーブリッヂが発達しているものと思われたが、何と川幅一杯の見事な水流である。こんなところで足を濡らしてしまっては後がない。プラブーツの辛いところだ。一見したところどこでも渡れそうだが、プラブーツとなれば話が違う。長靴のIkkoさんには全く問題のない水位であり、渡りたくてうずうずしている様子。しかし、そうも行かないのが私とmocoさんのプラブーツ組である。何ヶ所か候補を絞ってみるが、流れの広がった浅いところでさえ今いち踏ん切りが付かない。ここは大事をとって、下りて来た段丘を再び登り返すことにする。Ikkoさんは渡ってみるとのこと。パーティとしてまずいことは判っているが、そもそもは単独行で数知れない山々を踏破してきたIkkoさん、二つに別れる方がお互い足を引っ張ることもなくベストの選択と思われた。私とmocoさんは渡渉地点を探して上流へと向かう。

 一度林道へ出てさらに進む。二股の上部まで行けば、ひょっとして渡れるのでは・・・と考えたが、渡れるという保障などない。ましてやさらに進めば地形的に急俊となるのは地形図を見れば明らかである。途中で再び余別川を目指して段丘を下る。だが、あまり変わってはいない様子。mocoさんは以前に靴を濡らして酷い目に遭っているようで、濡らしたら自分はそこまでとのこと。mocoさんが止めるのであれば私も止めようと思っていたが、微妙なだけに試してみたいと思うのが人情というもの。mocoさんに車のキーを渡し、意を決してスキーを杖代わりに流れに足を踏み入れる。おそらく、傍から見ていれば単なるおとなしい流れくらいにしか見えないだろうが、山行の成否がこの渡渉にかかるとなれば否が応にも慎重になる。流れの中の石を伝いながら積雪の綿帽子が乗っかった途中の倒木へと向かう。水面下の石はフラットなプラブーツの底でも意外と滑らぬもの。だが水面上の石は氷結していて注意を要する。何度か足を滑らすが運良く靴の中には水が入らず、何とか中間地点の倒木をつかむ。後は倒木上を慎重に伝って対岸へ。

 無事に対岸へは到達したが、一見したところ、こんな急斜面ではどこからも登れない。渡渉地点を探すのに精一杯で、その後のことなどまるで考えてはいなかった。普段の生活で、こんな積雪の急斜面を登ることなどありえない。だが、これが山というもの。膝でステップを作り、だましだまし河岸の緩斜面上へと這い上がる。まずは成功、何とか登頂へのスタート台に立つ。対岸のmocoさんに別れを告げ、スキーを付けてのリスタート、ここからは一人旅である。岸の急傾斜を通過してきただけに後は順調に標高を上げる。右側からが緩そうなのでそちらから回り込むつもりでいたが、途中で細い作業道が現れ、逆に左側へと上っている。当然のこと、ここは左だ。作業道を進んで行くうちに沢形が現れ、その先の尾根がコンタ240m のコブへと向かっていることに気付く。順調、順調・・・

 
      登りで絶対に足を濡らせないというのは辛いもの (mocoさん提供)

  だが、そうは意のままにならぬのが山というもの。尾根筋は潅木がうるさく、疲れた身には更なる責苦となる。こんなところでエネルギーを費やしていては後が持たない。そんな弱気な気分にさせるのは、ここしばらく楽な山ばかりやっていたツケかもしれない。ここは冷静に、冷静に・・・ そうこうしているうちにコンタ240mポコへと到着。さあ、登頂が見えた。そうだった、毎日犬の散歩は欠かさなかった。まだまだ、体力的には大丈夫なはず・・・行けるぞ! だが、寄る年波には勝てないというのも事実。そんなジレンマの解消法は休憩と食べること、焦らぬこと、これより外にはない。コンタ240ポコからは広い林間の大スロープ、だが、何度も何度も休憩、こんなではなかったんだよな… 弱気になりつつも頂上台地は着々と近づいている。そうこうしているうちにスノーシューのトレースを発見、Ikkoさんのものだ。見ればつま先が上へと向いたものばかり。頂上で私を待っているのは雪面に描かれたスマイルマーク(Ikkoさんの連絡手段)のみと思っていたが、Ikkoさんも未だ上部に居るようだ。たとえスノーシューのトレースであっても無いよりは遥かに良い。

  

丸山頂上の金麦と余別岳 (Ikkoさん提供)

快適にこれを利用しながら進んで行くうちに、徐々に傾斜が増し始め、直登して行くスノーシューの後にはついて行けず、結局はトレースから離れてのラッセルとなる。右へ左へ大きくジグを切ること数度、気が付けばかなりの急斜面の上部であった。こんなところ、スキー板を付けたままでは下れない、どうやって下れば良いのだろう? ・・・だが、今の問題は緩斜面までの数メートル。スキーを外してツボで登る手もあるが、正直面倒くさい。結局のところは木々をつかんで、腕の力で強引に登ることに。やった、平になった。後は登り詰めて、待望の頂上である。

 正面にいかにも頂上といった高みが見えてくる。だが、さすがに疲れた。もうすぐ定年退職と楽ばかりを考えているとこんなもんだ。5〜6歩進んでは一休み、振り返ったところで何も変わっていない景観。と、その時、私を呼ぶIkkoさんの声が耳に飛び込んできた。痺れを切らしたIkkoさんが来るかどうかも判らない私を迎えに来ているようだ。頂上と思われた高みは、頂上台地上の端だった。大きく回りこんで頂上台地上へと飛出す。約3時間ぶりのIkkoさんとのご対面、何とも懐かしい。残る200m弱の平坦な雪原を進み、待望の丸山ピーク到着である。金麦写真撮影用の雪面は荒らさずに取って置いてくれたとのこと。この取って置きの撮影スポット、背景が見事な山容の余別岳であるのが良い。早速、金麦を置いての一枚、目的達成の瞬間である。余別岳や珊内岳の見事な山容が見える。また、逆側には神威岬や積丹岬もあり、半島先端部の絶好の展望台と言える。もっとも、苦労した後の登頂だっただけに景色も特別のものと感じられたのかもしれない。下りで心配していた急斜面はスキーを付けたままでズリ落ちながら通過、帰路の余別川も足を濡らさず渡渉、結果的にはさほど難儀することもなく無事下山となる。

 誰もが単独行でも全くOKなメンバーばかり、むしろ足を引っ張るくらいであれば、それぞれの判断でパーティを離脱することもありであった。一般的にはパーティがバラバラになることは厳に慎むべきとされているが、我がパーティに関して言えばこの山の危険要素や自分の力量はそれぞれがしっかりと把握しており、今回の山行も単に常套手段での目的達成である。ただ、私的に残念だったのは、結果オーライだから言えるのかもしれないが、mocoさんが渡渉を断念したこと。今度は長靴を担いで、サポートに回らなければ・・・ たかだか572mの丸山、されど拘りである。(2016.2.28)  

参考コースタイム】「河川管理展望施設」P 8:55 → 渡渉開始 10:30 丸山頂上 12:50、〃発 13:10 渡渉地点 14:10 「河川管理展望施設」P 15:00  (登り3時間55分、下り1時間50分 休憩時間も含む)    

メンバー】Ikkoさん、mocoさん、saijyo

 

珊内岳(左)と大天狗山(中央) (Ikkoさん提供)

余別岳を中心に (Ikkoさん提供)

珊内岳をズーム (Ikkoさん提供)

余別岳をズーム (Ikkoさん提供)

神威岬と沖を行く船 (Ikkoさん提供)

積丹岬方面 (Ikkoさん提供)

稜線上から見た丸山頂上  (Ikkoさん提供)

 

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