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      八内岳(943.6m)

林道から八内岳を望む

/25000地形図  「銀山」

赤い実を付けたオオカメノキが目立っていた
林道終点付近
この沢最大の2〜3mの滝
短い沢だったが詰めは藪漕ぎ

  八内岳は「やちないだけ」と読む。積丹半島の付根に位置する一等三角点が設置されている山であるが、1000mには満たず、意外に奥深いこともあって、よほどの物好きでもない限り登山の対象とは考えないかもしれない。冬期に発足側から西尾根を辿ったが、長い尾根歩きを強いられた。丸1日を要し、下山した時には夕刻となっていた記憶がある。この時は初心者が参加していたということもあるが、アップダウンも意外に厳しく、予想以上に時間を費やしてしまった。

  今回は頂上から距離的に近い林道を地図上で探す。南からのアプローチである、辰五郎川沿いの林道は奥深くまで入っており、林道の状況次第であるが、歩くつもりで入ることにする。ゲートはコンタ160mの右岸から左岸へ渡る橋を過ぎたところにある。ここから先もしっかりとした林道が地形図上の終点まで続いている。

 林道終点からは踏み跡が沢を渡って伸びている。以前に一等三角点の再測量のため、頂上への刈り分けが出来たという話を耳にしたことがある。その名残かもしれないと興味は湧くが、予定していた沢からは離れて行ってしまうため、今回はあまり深追いしないことにする。沢は小沢であり、水量も極端に少なく藪が被っている。こんな沢を歩く時にいつも感じるのは、登山というよりはジャングル探検でもしているような童心に返る想いである。“ブタ沢”といった言葉をよく耳にするが、私はこの言葉が嫌いだ。山ヤの心意気で発している言葉なのかもしれないが、沢に対してもブタに対してもとんでもなく侮辱的な言葉である。滝もナメもミニチュア版であり沢登りの醍醐味こそ味わえないが、見方を変えれば人の手垢が付かない自然がここにはあるし、どんな沢であれ未知に勝るものはガイドブックを覗いての登山では見当たらないのである。

 1m前後の滝を数ヶ所越えると、標高500m近でこの沢最大?の2〜3mの滝が現れる。途切れそうでなかなか途切れない流れと苔生した岩とのコントラストが実に美しい。伸びきった蕗が無造作に倒れている光景を見ると、すぐにクマと考えてしまうのは北海道の登山者の性かもしれないが、冷静に考えてみるとクマでなくても倒れる要因はいくらでもある。しかし、林道で “クマ出没中”の看板を見てしまったせいか、必要以上にホイッスルを吹いてしまうから情けない。

八内岳頂上にて 下山途中、岩内付近の海岸が見えた

 650m二股で水は枯れる。ここからは右側の尾根沿いに進むが、結局は藪の濃淡や植生を優先させてしまうため、予定のルートからは外れてしまう。高度計では頂上まで標高差にして60mの尾根上に飛び出すが、頂上付近はガスがかかっているため、かなり遠く感じる。

 地形図上からは読み取ることの難しい細かな沢形も背丈以上の笹薮で覆われ、実際以上に遠く厳しく感じてしまう。こんな時は意識的に目の前の笹薮だけを見ながら着実に高みへ上がって行くより仕方がない。頂上付近で測量の刈り分け道を発見、この踏み跡を辿り三角点を示す棒杭と八内岳一等三角点のある頂上に何とか到着する。帰路この踏み跡を辿るが、すぐに藪の中へ消えてしまう。結局、利用されない刈り分けはすぐに消えてしまったということである。同じ一等三角点の山、蘭越・幌別岳の刈り分け道も同じ末路を辿ることであろう。植生は別として自然の力は想像以上に逞しいようである。

 頂上はガスがかかり視界は全くゼロであるが、下山途中に木々の間から岩内の町と海岸を望むことが出来た。結局、終わってみると登り3時間、下り2時間の軽い登山であった。(2003.9.28)

【参考コースタイム】 林道終点 7:05 → 650m二股 8:20 → 八内岳頂上 10:00、〃発 10:16 → 650m二股 11:05 → 林道終点 12:07

メンバーsaijyoチロロ2

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