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      安瀬山(654.1m)

厚田の海岸から見る安瀬山

/25000地形図「濃 昼」

稜線までは岩混じりの急斜面
林道途中に車を停める
310m二股までは濁った流れの小沢

安瀬(やそすけ)山は石狩市の一地域となった旧厚田村を代表する山で、一等三角点が設置された存在感のある山である。この山名は厚田市街の隣、安瀬地区から来ており、地区名の“やそすけ”はアイヌ語のヤソッケ、つまり網を仕掛ける場所という意味が一般化しているが、当サイトのアイヌ語地名考掲示板で議論されているように「上に剥げた崖」が本来の語源だったようである。Web上ではあまいものこさん(甘藷山荘管理人)が唯一この山の山行記録を紹介しているが、海岸側のこの山の麓には濃昼山道といった古の道が開削されていたようである。山域の最高峰であり、海岸線から良く見えることを考えれば、一等三角点が設置されていても不思議ではない。あまいものこさんのHPには濃昼山道も紹介されている。一度、この道を歩いて、当時の旅人の思いを味わって見たいものと思っていたが、今回は時間もあまりないので、林道が奥まで伸びている東面からこの山を目指すことにする。

アプローチは厚田・発足地区からの“左又林道”で、林道途中からは支線である安瀬林道へ入る。林道両側の雑草は刈られていて、現在もこの林道は活用されているようだ。ただし、支線の奥まで入るには少々不安があるので、途中の少し広くなったところに車を停めて歩くことにする。後で確認したところ、終点は地形図上の林道終点と一致しており、広場となっていて車の走行も十分可能であった。入渓地点と思われる辺りは森林が鬱蒼としていて、地形が判り辛い。地形をしっかり確認しないまま入渓してしまったため、枝沢と210m二股を間違えてしまう。間違った小沢の方向が進行方向と違うことと高度の上げ方が急であるため、直ぐに間違えに気づく。一度、本流と思われる右股へ戻り、半信半疑のまま進んで行く。

途中で最初の小沢の出合よりは水量のある二股が現れたため、平行して走る林道へ上がったところ、間違いなく210m二股の入渓地点であることを確認する。この川は林道からは急斜面となって落ち込んでいて、登りも下りも容易ではない。目指す小沢は流れがかなり細く、水も濁っていて清流とは程遠い感じである。ところどころでミニプールとなっていてヘつり気味に進んで行く。約1時間で310m二股に到着する。310m二股はここ数日の間にかなり大規模な崖崩れがあったのか、惨憺たる状態である。二股付近では沢底に泥が堆積していて、深いところでは膝まで埋まってしまう始末である。濁った水の理由も崖崩れで積もった土砂から端を発していたようだ。さらに驚いたことに、この猛暑の夏であるにも関わらず、この標高でもかなりの大きさの雪渓が残っている。上部の斜面からずり落ちてきた可能性も考えられるが、標高を考えると豪雪地帯であるからとしか説明のしようがない。

このルートにはアジサイが多い 安瀬山、一等三角点

310m二股からは沢は真西に向う。崖崩れ跡もなくなり、清流が戻ってくる。尾根の上部に林道の側壁のような崖が見え、集材路があるようにも見えるが、おそらくは崖崩れの傷跡であろう。汚い泥に目が慣れてしまったのか、辺りに咲き誇るアジサイのピュアな青さが何とも瑞々しい。苔生した川床に細々と水流が続き、この沢唯一といえる3〜4mのチムニー状の滝が現れる。やっと沢登りの様相となるが、既に上流部、水が切れると後は急斜面の藪漕ぎのみを残すだけである。若干、左へ寄り過ぎたようで、飛び出した稜線の右側にはこんもりとした頂上部が姿を現す。あまいものこさんが遡行したチカセトウシナイ川の彼方に海が見えるが、かなり遠そうだ。頂上まで約200m、最後は薮のない東面の崖ぎりぎりにルートを取って頂上へ飛び出す。疎林と潅木の生い茂る頂上ではあるが、一等三角点の周りは綺麗に刈り分けられている。あいにくのガスで、期待していた展望がほとんどないのは残念だ。

下りはそのまま崖を避けつつ、真っ直ぐ下る。登りの時、どこで左へ寄ったかは確認できなかったが、気が付くと往路の沢へ入っていた。310m二股まではあっという間である。ここからの下りは正に泥川で、底に堆積した泥を上流から足でかき回しているために、本流までの区間は茶色の流れである。沢の出合からは直ぐに林道へ上がり、車へと急ぐ。今日は駒苫の三連覇がかかる甲子園の決勝戦、13時からの試合を見逃す手はない。(2006.8.20)

■同行して頂いたEIZI@名寄さんの山行記

 参考コースタイム】 林道 8:00 → 310m二股 9:50 → 安瀬山頂上 11:30 、〃発 12:05 → 310m二股 12:50 → 林道 13:45

メンバー】EIZI@名寄さん、saijyo、チロロ2

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