|
山鳥峰〜南岳 等高線の中で
木曜日、休みになったからどこか行かない? 運動不足気味の私は、ほとんど反射的に「行きます」と返していた。 行き先は、山鳥峰から南岳。
取り付きからすでに体は重かった。 それでも雪の上に立つ感覚は悪くない。 林道が交差する地点までは歩いて登る。 地図では林道を左へ進むと、等高線の緩いところがある。 あとは緩い登高で、あっさりと山鳥峰へ。 定天をはじめ、ヒクタ峰、白井岳、余市岳の眺めが良い。 南岳も難なく到着する。 途中、今シーズン初めての滑り。いけると思った次の瞬間、前のめりにてっ転んだ。 まあ、こんなものだろう。 かつて私が40代の頃、68歳の人を連れて山に行ったことがある。 今、私は69歳。
南岳からの帰路。 スキーツアーでは、コブをどう巻くかがルートファインディングの腕の見せ所になる。 この日も、小谷が行く手を阻んだ。 地図を見ると、この急斜面を下れば、多少遠回りにはなるが、登りで通過した林道に出る。 私は迷わず、そのまま下ることを提案した。 最後は沢形に入るが、全層雪崩が起こる状態ではない。 すると、いきなり腰まで埋まる。 さすがに判断ミスだ。 両手に持っていたスキーで体を支え、何とか脱出する。 飛び出した林道は、最初から登りだった。 やがてそれは山の斜面と同化し、急傾斜のトラバースへと変わっていく。 日陰の雪面はカリカリに締まり、踏み込んでも足裏を受け止める余裕はない。 それでも、地図の上には確かに存在している。 木々の切れ間を目指して、さらに登る。 足は重く、呼吸も乱れる。 ようやく道らしきものが現れるが、そこから先もなお緩やかな登りが続いていた。 だが、どんなに続く登りであっても、永遠に続くわけではない。 この日の山行を振り返る。 途中、巻きを試みたが、うまく繋がらなかった。 だが、私はそれをぜんぜん失敗だとは思わなかった。 山に、正しいルートなど存在しない。 だからこそ、山の面白さは、決められた道をなぞることではなく、 このとき私は、無理に巻きを続けるのではなく、そのまま下る判断をした。 結果として、長い林道歩きとなった。 単調ともいえる道だったが、不思議と退屈はしなかった。 地図の上では意識することのなかった風景が、次々と現れてくる。 むしろ、こうした“予定外”のほうが、山の奥行きを感じさせてくれることもある。 「知らないところの方が、わくわくして楽しいものですよ」
そう言うと、サンオバサンは少しだけ納得してくれたようだった。 正解のない場所で、その日その場の道を選ぶ。
|