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      和刈別(1033.0m)

    1/25000地形図「北見峠」

北見峠は静かな峠
緩やかな斜面を登って行く
チトカニウシ山が大きな姿で迫ってくる

  藪は雪渓の下に隠れ、深雪のラッセルも無し、しかも日が長いこの時期、四季を通して一番山々が近づき、選択肢が広がる時でもある。強いて考えるところがあるとすれば、アプローチとなる道路の雪渓の残り具合くらいのものであろう。高速道路の週末1000円均一化の恩恵第三弾として考えたのが、北見峠の和刈別である。地形図を見る限りでは変化に乏しく、しかも札幌からは遠いとあって、こんな状況にでもならなければ簡単に食指が動く山とは思えなかった。ただし、林道走行がないので雪渓に対する余計な心配はなく、札幌からは高速道路がフルで使える。そう考えれば、このタイミングでのこの山は誂え向きの選択だったと思える。

 北見峠は旭川紋別自動車道の部分開通無料化によって、ほとんどの車が同自動車道を利用するようになった。その影響により、峠を越える国道333号線・浮島IC入口〜湧泉橋下間の通行車両量は激減状態である。見かける車は、スノーモビルやライダーグループ、あとは登山者と道路パトロール車くらいのもので、この区間に目的がある人間のみが入っているといった感じである。

峠のパーキングエリアから車の来ない国道を渡るが、入口にはロープが張られ「スノーモビル乗り入れ禁止地域」の看板が立てられている。峠で出発準備をしていたスノーモビル愛好者グループもさすがにこれでは入れず、別の方向へと走り去っていった。和刈別へのポイントとなるのは、途中のコンタ920mに建つ鉄塔である。鉄塔の管理道路に沿って進んで行くが、もちろん道路は雪渓に隠れていて何も見えない。背後に迫るチトカニウシ山は高度を稼ぐ度に大きく立派に見える。もう少し早く札幌を発って、同山へ向えば良かったかな…と後悔するが、この時間帯では後の祭りである。

懐かしい鹿砦 滑渚岳も特徴的な姿を現す
和刈別頂上は見晴らしが良い 規制区域へ入らなければよいが・・・

鉄塔を過ぎ、緩く広い尾根が続いている。ここは帰路を考え、なるべく巻くようにルートを取るが、尾根上を歩いていたlucky@美唄さんに突然呼び止められる。90°ほど方向がずれてしまっているとのこと。巻き過ぎたのか、確かによく見れば尾根を乗り越してしまったようである。緩い下り斜面となっていて、明らかに間違いであった。こんな広い尾根では、多少のアップダウンはあっても往路くらいはしっかりと尾根上を歩き、ルートの全体像を頭に入れておくべきであった。

丘状となった頂上部への登りで、やっと山登りらしい雰囲気が訪れる。言い換えれば、ここを除いてのほとんどが平地歩きであり、厳冬期であれば、たとえ深いラッセルで頂上へたどり着いたとしても、往路のトレースを使わなければ帰路もラッセルであろう。登山の楽しさという観点で見れば、決して面白い山のリストには入りえない山と思える。斜面の途中で一息、背後には懐かしい鹿砦、右手には天塩岳や渚滑岳の山々が楽しめる。斜面を登り詰め、稜線上となって頂上である。頂上だけは頂上らしく、反対側は深い谷となっていて、1000mピークに立っているということが実感できる。ニセイカウシュッペ山を正面に、有明山、天狗岳といった北大雪の山並が実に見事である。北見峠では立入り禁止の看板に退けられたスノーモビルであるが、どこか別の尾根から轟音と共に上がってきた。頂上で休憩する我々に軽く会釈し、さらに続く稜線上を北大雪方面へと足早に消えて行った。厳密に言えば、この山域での乗り入れ禁止区域はニセイカウシュッペ山のみとなろうが、そこに立ち入ったかどうかを知るのは彼らのみである。

 好天に恵まれた週末、春山スキーとまでは行かないが、のんびり山行にもこの時期ならではのものがある。下山する頃には春風も心地よく、半袖シャツで丁度良い感じとなる。まだ4月であるにもかかわらず、“明るい陽射し輝き、白雪解けて流れる…♪5月の山よ」で歌われる歌詞に登場するようような世界が広がっていた。温暖化は少しずつ…(2009.4.12)

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【参考コースタイム】北見峠P 9:40 和刈別頂上 10:55、〃発 12:00 →  北見峠P12:35(登り 1時間15分、下り 35分) 

メンバー】luckyさん、saijyo、チロロ2

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