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         知来内岳(1241.1m)

林道入口付近の水田から見る雲知来内岳

    /25000地形図  「千 栄」

雲知来内沢最大の15mの滝
車止め付近は以前と比べ鬱蒼となった
核心部は懸垂下降で安全に降る

 日高山脈への入口、日高町・千栄地区から一番近い1000mピークが雲知来内岳である。二等三角点が置かれており、どの道路地図にも載っているが、廻りは急峻な尾根や渓谷で囲まれているため、ルート取りが難しく、人を容易には寄せ付けない。今回のルートは3年前に2度の山行でようやく頂上へたどり着くことが出来た雲知来内沢ルートである。3年前と変わった点は、前回の車止め周辺が全体的に草木で鬱蒼とした点である。砂防ダム工事や造材作業が完了すると、直ぐに自然は息を吹き返すものなのかもしれない。

 標高390m渡渉地点手前に車を置き、川を渡り進むと200mくらいで林道は終わる。最初の砂防ダムがあり、土砂が堆積した広い河原となっている。左手に598m岩峰を見ながら更にもう一ヶ所同じような砂防ダムを越えて進むと、約1時間で500m二股に着く。ここは右股へ入る。この沢は全体的に浮石が多く不安定である。690m付近で最初の滝(15m)が現れる。この滝とこれに続くゴルジュが雲知来内沢の核心部である。この滝は直登出来ず(以前、ハーケンの連打で右岸の水際を登りきろうと思ったが、ハーケンが刺さる適当なリスが無く、不安定なままシュリンゲのアブミを掛けたが、抜け落ち失敗した)、左岸を巻くことにする。ルンゼ状の沢形2本のうち右側の方が利用し易い。取り付を慎重に登ると、後は比較的緩くなり、約30m登ると不安定な木の根が飛び出した崩壊地点となる。露出した木の根は枯れており、捉まるとボロボロと廻りの土石が崩れ落るため、後続がいる場合は一人ずつ登った方が安全である。ここはバイルを支点に使い慎重に乗り越える(帰路は安定した立ち木を利用して懸垂下降で下る)樹林沿いを更に登り、小尾根を乗り越え急傾斜の斜面を沢へ下降する。その後、800900m付近では小滝が連続するが、どれも容易に巻くことが出来る。940m二股を左股へ入り、さらに進んで行くと笹が被り始める。詰めは薮漕ぎとなるが比較的薄く、さほど苦労はしない。頂上は笹薮で覆われた白樺の疎林の中にあり、展望はあまり良くない。

頂上は笹薮の中にあり、廻りは白樺の疎林である 雲知来内岳2等三角点とスーパーマグナムドライ

  3年前に頂上に残した“童人チロロの風”と記されたピンクテープが見つかったので回収する。今は故人となった友人を含め、当時のメンバーが懐かしく思い出された。

【日高町】

 日高町は日高山脈の入口に位置するが、一般的な登山の対象となる山は少ない。どの山も奥深く、ある程度の登山経験が必要である。数年前から “日高山脈の町”とのふれ込みで、千栄地区の使わなくなった学校や施設をアウトドア関係の団体や会社に利用させている。道の駅には日高山脈館も開館して、名実共に日高山脈の町となった。北海道山岳連盟も旧千栄中学校に研修所(一般素泊まり\800/夏季のみ)を構え、私達一般登山者にとっては大変便利になった。

千栄は本来の「千呂露」が、和名への変更時、いつまでも栄えてほしいとの願いをこめて命名した名称である。「チロロ」の方が親しみやすく今風であるが、千栄で生まれ育った人達にとっては愛着があり、改名は難しいそうだ。「チロロの里」などの愛称を公募するのも一つの方法だと思う。多くの人達が利用しやすく、エコ・ツーリズムの実践をも含め、洗練された登山基地となることを願っている。(2002.10.13)

 【参考コースタイム】

車止め 7:06 → 500m二股 7:55 → 15m大滝 8:30 → 高巻き終了地点 9:40 → 雲知内岳頂上 11:30、〃発 12:06 → 高巻き終了地点 13:14 → 15m大滝 13:45 → 500m二股 14:28 → 車止め 15:12

メンバーsaijyo、チロロ2、yamada

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