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     内川・湯ノ沢

/25000地形図  「珊内、ポンネアンチシ山」

鉞山は積丹半島の北部、珊内川流域の鋭峰である。特に珊内岳から珊内岳頂上から鉞山を望む(4月上旬〉は均衡のとれた美しい姿を見せてくれる。この山への夏期のアプローチは珊内川の支流である、本峰西側の滝ノ沢か東側の通称「湯ノ沢」となる。また南稜から長い藪漕ぎ覚悟での登頂も考えられるが、登頂目的だけの手段であり、面白味は全くないと思う。敢えてこのルートを考えるのであれば、視界の利く残雪期の方が良いかもしれない。

今回はHYML(北海道山メーリングリスト)のメンバー9名と八谷夫妻、私も含め12名の大所帯での山行である。沢の長さや難しさを考えると、「800mにも満たない低山であるから」との考えで、安易に計画したことについては反省しなければならない。

ルートはあまいものこさんのHP「甘藷山荘」の“物置”にある、Iさんの記録から湯ノ沢を選ぶ。珊内の町か珊内川・林道途中のキャンプ地ら林道を進むと広く整地されたスペースがありそこをキャンプ地とする。そこからさらに200mほど先の珊内川に掛かる橋が入渓地点である。珊内川は開けていて、苔生した岩と澱みとのコントラストが実に美しい沢である。橋から約1時間20分で湯ノ沢出合となる。

ここからが面白い。直ぐにF1(15m)が現れる。右岸上部が登れそうに見えたので取付こうと思うが、私珊内川は美しい渓流であるの身長では最初の一歩が難しい。この滝は過去の記録によれば、左岸から取付き、バンド状を横断して右岸側から登るそうである。我々は右岸のルンゼから高巻くことにする。間もなく現れるF2(10m)は取付きが左岸、上部は右岸が登り易い。今回の山行では左岸から取付きそのまま登るが、上部はナメとなっていて微妙であり、フリクシ湯ノ沢へ入るとすぐにF1(15m)が現れるョンの感覚に慣れていなければ危険である。取付きから直ぐにバンドを右岸側に移り直登した方が安全で登りやすい。

F2を越えるとしばらくは何もないが、一ヶ所ゴルジュ状を通過する。ここは見た目ほどではなく、腰までの水没で通過できる。F3は一見、有名な天人峡・羽衣の滝を思わせるスラブ状の二段の滝で、直登は不可能であるが、左右両岸とも巻くことが出来る。この滝の直ぐ後に腰まで水没しながら進む4(56mの釜を持った滝)が現れるが、磨かれていて手がかりは全く見当たらない。F3の高巻き終了地点まで戻り、そこから高巻く。F3右岸の高巻きから続けて巻く方が効率が良い。

 F5(10m)もスラブ状で登ることはできない。左岸のルンゼが巻きやすく見えたのでここにルートを取るが、私の見当違いであった。沢へは崖となっていて戻れず、懸垂下降で戻る。12名ものメンバーでは、ここ湯ノ沢最大の滝(20mニ段)F30分の時間をロスする。ここは右岸の高巻きが正解であった。F5を越えると350m二股である。左右両股とも直ぐに78mの滝が現れる。予定のルートである左股の滝は左岸から容易に巻くことが出来る。この後34mの滝が一ヶ所現れるが、滝はここまでである。

 この時点で時間的には既に23時間はオーバーしており、鉞山の登頂は不可能と思われる。頂上へ無理に登った場合、南稜を藪漕ぎで下れば意外に速く下山出来るかもしれないが、頂上部が縦断できることが前提の選択であり、状況を知らない以上は賭けに近いものがある。リーダーとして、計画に時間的な甘さがあったことについては否定できない。(2003.8.31)

 【参考コースタイム】 入渓地点(いわな橋)6:50 → 湯ノ沢出合 7:15 → F2 7:50 → F3 9:20 → F4 9:50  → 350m二股 10:45 → 最終到達地点 7:50、〃発 11:55 → 入渓地点(いわな橋)4:25  

メンバーsaijyo、Hachiyaさんご夫妻、kumaさん、しんりさん、Todaさん、umeさん、かすみ草さん、Fjimotoさん、EIZI@名寄さん、Jinno@小樽さん、チロロ2

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