朝陽山(1369.7m)
1/25000地形図 層雲峡
![]() |
|
|
朝陽山はニセイカウシュツペ山の一派生尾根上の小さな山である。以前(昭和40年頃)の「北海道の山・山と渓谷社刊」には、確か★一つ・初級の山として載っていた記憶がある。その後あまり登られなくなったのか、廃道のうわさも耳にした。このルートの入口にはパノラマ台登山口の看板があり、朝陽山登山口とはなっていない。パノラマ台への分岐より先は以前の登山道の名残と思われ、新たに手入れをしている様子は見られなかった。登山者の残した異常に多いピンクテープと踏み跡は、朝陽山ピークへ簡単に導いてくれることを錯覚させる。私の推測だが、かつて頂上まで付いていた登山道(当時であれば営林署あたりが開削・管理していたと思われる)は、その後の営林署の縮小などにより廃道に近いものとなったが、近年の登山ブームの影響で再び利用する登山者が多くなり、明瞭化してきたのではないかと想像する。
![]() |
![]() |
頂上に立つ2基の反射板、付近は背丈を越す笹原 | 頂上に到着 だが、三角点は見つからなかった |
今回は、藪漕ぎには多少の自信を持っていたので突入し、約30分で頂上へ到達した。頂上にはマイクロウェーブの反射板が2基立っており、周辺に笹は無かった。三角点が見つからなかったので、反射板の鉄塔へ登って確認したところ、付近が頂上であることは明らかであり、それ以上は探さなかった。
![]() |
登山道はしっかりしている。.1145m付近 |
問題は下りである。この藪漕ぎルートとしては緩い右よりのカーブを念頭に入れて行動しなければならないのだが、藪漕ぎの習性なのか真直ぐに進んでしまったため、想像していたルートから外れてしまった。幸運にも後続に登山パーティがあり、声が聞こえたので事なきを得た。頂上へ向かうことは簡単であるが、下りの薮漕ぎは登りと比較して、熟練したテクニックと豊富な経験が必要であった。経験に裏打ちされた読図やGPS使用によるルートファインディングであれば、この状況を難なく乗り切ることは可能だったと思っている。
ルートのほとんどが普通の登山道歩きで、最後のほんの一部分だけが本格的な藪漕ぎである。9割5分登れば、多少無理してでも頂上へ向かいたくなるのが人情というもの。この誰にでも陥りやすい「見えない落とし穴」を考えると、登山道を最初からラッキーなものと考え、人為的なものには頼らない心構えで入山しなければ、道迷いによる遭難は現実のものと成り得ることを改めて思い知らされた。おそらく、この朝陽山では誰かが遭難することだろう。(2002.9.29)
【参考コースタイム】
【メンバー】saijyo、チロロ2