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    当丸山(799.7m) ・・・ 美味しかった当丸産のタケノコ 

 

遊歩道から当丸を望む

 

1/25000地形図 両古美山

この日の主役だったタケノコ
登山口の広い駐車場は車で埋まっていた
しっかりと笹が刈られた登山道  緑が美しい

 トーマル峠は以前には道路交通情報等でよく耳にしていた名である。その後、泊原発の避難路確保のためにシェルターに覆われて通年通行となり、ラジオからはあまりその名を聞くことはなくなった。「当丸」の語源について、開拓期に罪人を唐丸籠に乗せてここを越えたことからこの名になったという説もあるが、やはりアイヌ語地名と考えるのが正解であろう。永田地名解ではトンマル(沼より下る川)となっており、「北海道の地名」(山田秀三著/昭和59年発行)ではトー・オマ・ル(沼・に入る・道)としている。いずれにしても沼絡みの地名であることには違いないようだ。

 かなり以前になるが、ポンネアンチシ山や泥ノ木山へはこの峠から登っている。何れも積雪期で、シェルターが出来る前だったような気がする。当丸山付近が「神恵内2000年の森公園」となっていることを知ったのは、今回この山に来てからで、意外に整備されていたのには驚かされた。西暦2000年を記念して神恵内村が国有林を買って遊歩道を整備したらしいが、シェルターの途中に交差点があって、シャッターを開く6月〜10月のみ開放されているとのこと。当丸山は短い時間で簡単に登れるとのことで何も調べずにやって来たが、偶然にもシャッターの開いている時期だったのはラッキーだった。シャッターからは道路が続いており、少し上がった先に立派な駐車場があった。トイレや小屋まで用意されているので、2000年の折に大掛かりな公園整備が行われたのだろう。見れば、既に多くの車が止まっており、○○登山会の表示がある大型バスまで止まっている。それなりに人気の山ということなのだろう。

 山へ登る準備をしていると、私よりは年配のおじさんが「これから登るのかい?」と話しかけてきた。この人は両古美山にも登ったことがあるらしく、両古美山の方が展望が良いと教えてくれた。当丸山に登るのであれば簡単だから我々でも大丈夫、とのこと。また、ここに止まっている車の大半はタケノコ目当てであることも教えてくれた。恥ずかしい話だが、登山口の場所を教えてもらい駐車場を後にする。登山道に入ると頂上まで750mの表示。この立派な登山道の750mであれば、なるほど我々でも“大丈夫”である。晴天の日は真夏でもない限りは素晴らしく、何と言っても登山道を取り囲む緑が美しい。

 当丸沼への分岐を過ぎ、少し傾斜が増してくる。先程聞いたタケノコ採りの話を思い出し、笹薮の中をのぞいてみたところ、あるじゃないですか! “タケノコモード”に目を切り替えると、さらに次々と見えてくる。登山目的なので、あまり深入りせぬよう目だけ笹薮の中に焦点を合わせながら歩を進める。おかげかどうか、当丸沼が眼下に見え隠れし、気付かぬうちに標高が上がっていた。途中、○○商店と書いたプロぽい袋付き前掛けを付けた2人組みとすれ違う。やはりここは、プロも目を付けるタケノコの穴場ということなのだろう。そうこうしているうちにザックのポケットがタケノコで一杯になった。チロロ2さんにザックの中からポリ袋を出してもらう。こちらも思わず本格モードのスイッチが入ったが、今日の目的はあくまで当丸山の初登頂である。

三等三角点「当丸山」と金麦 山の上はまだまだ春  カタクリも咲いていた
余別岳と積丹岳の残雪が美しい

  急登と痩せ尾根が続き、意外に登山らしい雰囲気となる。遠く、残雪を豊富に残す余別岳、積丹岳の2つのピークが景観に彩を添えている。辺りは新緑の生き生きとした緑、青い海もあり、何よりもたかだか700mほど歩くだけで、こんな風景にお目にかかれるのだから、間違いなく素晴らしい山だと言えるだろう。登山道の傾斜が緩み、さあ、いよいよ頂上! と思いきや、既に標識と三角点が目の前にあり、頂上到着となっていた。何か登山道の途中にでも居るようで、ちょっと拍子抜けの感がある。北側半分は笹や樹木が邪魔して眺望は今いちだが、南側はニセコや狩場の山々が見える。頂上らしくないところが、この山のこの山らしさと言えるのだろう。

 そうこうしているうちに後続の登山者が次々と上がってきた。見ると私が取るのを止めた伸びきったタケノコ? までも手にしている。ここの登山道が回りの笹薮からしっかり守られている理由はこんなことだったんだ。なるほど・・・ だった。我々は一足先に頂上を後にして沼巡りとする。下りの登山道は北側の斜面を横切るように付けられており、少し斜めった登山道はちょっと心許ない感じである。下って行くうちに何時しか当丸沼の辺へと出る。少し歩くと小沼への分岐とり、そうそう来ることもないので小沼へも足を伸ばしてみることにした。小沼は秘沼の雰囲気で、一見の価値がある。新緑のこの時期も良いが、秋の紅葉の時にでも再び訪れてみたいと感じた。この日は多くの登山者が入っているにも関わらず小沼への往復の間、誰ともすれ違うことはなかった。余程でもない限り、一度訪れたら二度目はないということかもしれない。

 既に標高600mから始まる登山と沼巡りは、規模は小さいがなかなか心躍るものがあった。当丸峠は過去に死体遺棄事件の現場となった色々と噂のあるところだが、こと自然探勝に関してはその暗いイメージとはまるで違って、明るく風光明媚な景勝地と思えた。登山者の1人としても今後も大事にしたいエリアである。駐車場へ戻った時には何時しかポリ袋はタケノコで一杯になっていた。これも登山道維持のためには貢献となっているのかもしれない。そんなことを考えただけで、より豊かな気分となっていた。(2016.6.5)

参考コースタイム】登山口 P 8:15 → 当丸山頂上 9:15、〃発 9:25 小沼 11:10 当丸 11:50 登山口 P 12:20 (登山時間 4時間 5分 休憩時間を含む)    

メンバーsaijyo、チロロ2

 **山行写真**

 

気が付くと眼下には当丸沼が見えた

 

当丸山から見た余別岳(左)と積丹岳(右)

 

アジサイとよく間違えられることが多いオオカメノキ

訪れる人が少ない小沼はひっそりとしている

 

当丸沼から見た当丸山

   

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