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   尖山(360.7m

 

知内火力発電所付近から尖山を望む

1/25000地形図 「涌 元」

尾根が痩せてくると頂上は近い

尖山頂上
民家のすぐ横の空地に車をとめる
さすがに素通りできなかった神社  ここからがスタートだ
神社の斜面を登ると尖山への標識があった
フェンスの上を通過、小谷石漁港が見える

  尖山という山は全道に三山あって、どの山もその名の通りに尖がった山である。知内山地にあって、目を引く山の1つにこの尖山がある。標高こそ他の山に比べて低く小さな山であるが、知内市街からは特徴的な山容を見せている。私が所属している山遊会ル・レラ(会員4)のメンバーが先日この山に登っており、その話を聞いて、自分も一度訪れてみたいと思っていた。もう1つ所属している函館マウンテンクラブの山行が知内丸山だったこともあって、小さなこの山であれば簡単にそのピークを踏むことが出来るだろうと、丸山とセットでこの日の予定に入れた。丸山山行の前に登るか、後にするか、宿泊予定の道の駅「しりうち」で、早く目覚めれば、まずは尖山に向けて出発しようと考えていた。だが、日頃の寝不足もあって不覚にも寝過してしまい、尖山は午後のスタートとなる。

 当初は電波塔へと続く管理道からのアプローチで考えていたが、聞けば入口付近で施錠されているとのこと。丸山の下山が午後となり、しかも、この日のうちに札幌へ帰らなければならない。結局、「一人歩きの北海道山紀行」sakag氏の記録にあるルートを真似ることにする。丸山の下山後に小谷石の集落へと下って車を止める場所を探したが、山が海岸に迫る地形ではそんなゆとりなど何処にもない。チロロ2さんは登らないそうなので、昆布干しにでも使っているような空地に車を止め、移動するよう注意されたなら移動するとのことで、私は出発準備に入る。道路から見える小さな神社がsakag氏の記録ではスタート地点、そこへ行こうと神社の階段に続く道を探すが見つからない。結局、他人の家の軒下を無断で通り抜けて神社への急な階段を登る。狭いところに、何もかもがひしめいているといった感じである。

  神社で山行の安全を祈願するが、私は単なる通りすがりの人間で、ご利益などを期待したわけではない。やはり私も日本人、神社の敷地に勝手に踏み込んだとあっては、何となく後ろめたさを感じるし、何より恐ろしさを感じる。手を合わせただけで免罪符でも手にしたような気分となるのだから、不思議なものだ。ふと見ると、神社の廻りはどん詰まり感たっぷりの場所で、じっくり見ると斜めに登って行く踏み跡があるのが判る。sakag氏もここからのスタートだったのだろう。神社の裏の斜面をひと登り、樹木に付けられた「尖山」と書かれた標識を見て一安心、やっと尖山に登っている感じとなる。この山の下草もかなり薄く、どこでも歩くことが出来る。崖斜面に張られたネットの上を通過、まずは127mの標高点を目指す。127m標高点が近づくと何やら大きな動物の気配、よく見れば谷地形の中を大きな牡鹿が先にこちらに気付いて逃げている。以前であれば直ぐにヒグマを想像したが、薹が立っても長年山をやっていれば、さすがにヒグマでないことくらいはすぐに判る。

  127m標高点を過ぎても下草が薄い斜面が続き、緩く右側へと回りながら標高を稼ぐ。ここの下りは何処でも歩ける分だけ判りづらそうだ。もっとも、間違えたところで小谷石の何処かへは出るだろうから、心配に及ばずである。飛び出した管理道からは藪漕ぎを覚悟していたが、道路の向かい側にも踏み跡があり、「尖山」と書かれたプレートもある。しかも、相変わらず下草は薄い。この山域は日高南端のように、もともと気候的に下草が薄いのかもしれない。樹林帯の中に踏み跡が続き、コンタ310mを越えて、いよいよ尖山への最後の登りである。樹林のために視界が悪い中、稜線が痩せてくる。最後は草地に出て一気に視界が広がる。登り詰めた先が尖山の頂上であった。四等三角点「尖山」と、地元の愛好家が持ち上げたものか、手製の頂上標識がある。

頂上から望む知内火力発電所 頂上から望む知内丸山

 午後からガスが上がったこともあって、展望は360°、多少靄ってはいるが、すっきりとした眺望となる。青い海と木々の緑が美しい。午前中に登った知内・丸山もすっかり姿を現している。高々600800m程度の標高しかないこの知内山地だが、300mという微妙な高さからはより迫力ある姿となって望むことができる。眼下の海岸線には火力発電所が見えている。下山後はここからの尖山を見てから札幌に帰ろう。チロロ2さん、人の敷地に車を止めており、移動するように言われたかどうか… そうこう考えるとゆっくりとはしていられない。すぐにザックを担いで下山開始とする。

 下山時、管理道路を横断して、先ほど見て来た間違いやすい斜面に入る。やはり予測通りに判りづらいが、GPSのトラックログを見れば一目瞭然、この機械を見ながら登ってきたルートを難なく下ることができた。「地図がガイド…」ではなく「GPSがガイド」ではないだろうか… 山仲間からはよくひやかされるが、確かにそうかもしれない。だが、長いものに巻かれるのも1つの手法である。私の大事な山人生、安全への備えには正道も邪道も無い。強いて言えば、臨機応変な判断と行動こそが王道といえるだろう。(2012.7.6)

参考コースタイム】  小谷石 P 13:30 → 尖山頂上 14:20、〃 発 14:25 → 小谷石 P 15:00 (登山時間 登り50分、下り35分)

メンバーsaijyo

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