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   トマム・丸(661)

  

 1/25000地形図 「幾 寅」   

林道から丸山を望む (低く見える左側が頂上)
ラッキーなことに林道に侵入、ただし登山口は別 ただひたすらに雨の籔を進むIkkoさん

  当初のこの日の予定は日高町の932m峰「右左府」だった。ところが、ひょんなことから想定外の状況となり、急遽決めた転戦先がこのトマム・丸山であった。右左府林道に到着したが朝からの雨天気、だが、ここまでやってきては手ぶらでは帰れない。Ikkoさんに代替案を尋ねたところ、返ってきた回答がこの山の登頂計画で、しっかりと地形図も用意されている。彼は低山歩きのスペシャリスト。一般的にはとても登山とはいえない丘のような山も真向勝負で真摯に向き合っている。積雪期のうちに、既にこの山のアプローチについても偵察を終えていたらしい。私としては、この時点までは全く知らなかったこの山、どこにあるのかも判らないが、とりあえずはIkkoさんに付いて行くことにする。

 日高町からは意外に遠く、林道も長い。一時期流行ったミステリーツアーの感覚でIkko車を追いかける。現在地がどこなのかも分からないが、たどり着いた先はゲートの前だった。これは無理でしょ… そう思った矢先、Ikkoさんがカギを開ける。聞けばゲート前にカギ番号が書かれた紙片が落ちていたとのこと。確かによく見れば、にじんではいるが、何やら番号が書いてあった。さすが“持っている男” だが、そこから先は倒木が邪魔して、それを避けるだけでもひと作業。しかもゲートから200〜300m先が、丸山への取付き地点だった。結果、歩いた方が速かったということにはなるが、彼には悪いのでそうは言わなかった。

  林道の少し広くなったところに他の車両の邪魔とならぬように車を止める。もっとも、こんな酷いところを通過する車両などあるはずもない。川を渡って笹薮斜面を真っ直ぐに登れば丸山の頂上、ただひたすら笹薮を漕げばよい。雨脚が強まって萎えそうな気分。しかし、距離的には近いこともあって、ここは辛抱である。雨があがると澄んだ空気がいつもとは違った新鮮な光景を作り出す。対岸の斜面の樹林が日本画風の清楚な雰囲気を作り出し、笹の中から伸びたオオカメノキの花の白さが眩しく感じられるほどだ。単調な繰り返しとなる笹薮ルートでは、そんなちょっとした癒しが何よりも嬉しいものだ。

頂上の棒杭に金麦を乗せる この山には立派に登山口があった
雨後のオオカメノキが実に美しかった

  近いと知っていれば逆に遠く感じられるのが山登り。終わってしまえば短かった感じるのかもしれないが、今、現にこうして登っている分にはとてもそんな風には思えない。取付きの急登が徐々に緩み、頂上近しの予感。だが、先行するIkkoさんとの距離はなかなか縮まらない。そうこうしているうちにIkkoさんが何やら凄いものを発見した様子。立ち止まって笑いながらこちらを見ている。どうやら頂上に到着したようである。少し遅れて私も籔の中から頂上へと飛出した。何と、綺麗に笹が刈られており、頂上を示す杭が打たれてあった。びっくりしたのは、立派な登山道とも思える刈分け道が南峰方向へと伸びていたことだった。

  まずは金麦! 登り始めて○○分、結果的には大して運動らしい運動もせずに「金麦」か… とも思ったが、つい開けてしまったのでしょうがない。車はチロロ2さんが運転しているので、まあOKと、これをやっつける。頂上風景としてはC評価、樹林帯に阻まれて眺望は何もない。ただし、新芽が吹く時期でもあり、その柔らかい緑の景観は特筆ものだった。籔の中へと再び戻る気にもなれず、Ikkoさんにはこの刈分けがどこに続いているのか確かめようと勧めてみる。籔好きのIkkoさんもさすがにこの案に乗ってくれたのでほっと一息、下山開始とする。

 立派な登山道(おそらく林班界用の歩道)は南峰まで綺麗に続いていた。南峰からはジグザグを繰り返しつつも標高を下げ、最後は林道へと飛出す。登山口には「生物多様性・自然保護区 ホロカトマム山林」の看板が立てられていた。この林道は車を止めた林道の逆側で、こちらはゲートがないので車で入ることもできる。登山者が入るかどうかは別として、標識さえ立てれば立派にガイドブックに登場する一般的な夏山ルートともなるだろう。

 さてさて、既にお昼近く、午後からは再び日高町の「右左府」への挑戦が待っている。 (2015.5.17)

参考コースタイム】林道(尾根取付き) P 9:05 → 丸山頂上 9:45、〃発 9:55 ホロカトマム山林登山口 10:10 → 林道(尾根取付き) P 10:40  (登り40分、下り15分・登山口まで)    

メンバー】Ikkoさん、saijyo

 

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