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    常呂山(480.8m) ・・・ トリカブトの一等三角点  

 

 

常呂町富丘付近から望む常呂

    

1/25000地形図 「越 歳」「卯原内

目指す常呂山を見ながら林道を歩く
源頭付近の様子    このあと林道に飛出す

  常呂山は自治体の名が山名となっているが、市街地からは遠くて奥深く、登山道もない藪山である。訪れる登山者はかなりのマニアックな人間に限定されるだろう。今は北見市となった旧常呂町だが、合併前には町内の最高地点であり、頂上には一等三角点「附子山」が埋められている。ひょっとしたらその方のマニアは訪れているのかもしれない。附子とはトリカブトを意味し、この付近にはトリカブトが多かったのだろう。猛毒の植物が山名ではイメージ的に悪く、結果的に地域を代表する常呂の名が付けられたのではないかと思われる。

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  町道から畑作地を抜けて山間部へ入ると林道入口でゲートとなる。ゲート手前の広い空き地には一見して雪渓? と思われる白い小山を見るが、良く見ると廃棄されたホタテの貝殻だった。さすがホタテの加工品で有名な土地で、常呂山にも思わぬ地域色を見る。ゲートは閉じているが、ただ引っ掛かっているだけ。とりあえずは災害の影響により危険なので「立入禁止」の表示を掲げているのだろう。災害による林道の崩壊であれば人の邪魔にはならないので自己責任で入ることにする。悪路に強いIkko車に便乗、ゲートを開ける。

 忠福林道・幌内林道の看板を見ながら入れる限り奥へと進む。しばらく進んだ地点で雨裂により通行が難しくなるが、Ikko車は難なくここをクリアする。さらに進むと道路が1/3ほど崩れた箇所が現れる。さすがにここは無理かと思ったが、Ikko車は半分脱輪しながらも山側に車体を寄せてここも無事にクリアした。素人的には帰りが心配でならない。そこから少し進んだ地点で今度は3/4が崩れ去った状況が出現。さすがに空でも飛ばない限りは絶対に無理と結論。だが、この先はまだまだ遠い。しかも季節外れの30℃。歩くしかないか〜 暑い暑い林道歩きの開始である。

沢に入ると滝も現れた

   歩き始めてすぐに下附子林道入口となり少し急な登りとなるが、林道自体はかえってしっかりとした感じになる。崩壊さえなければ・・・ と思えば余計に億劫になってくるもの。いくつかカーブを曲がって行くうちに真正面に目指す常呂山が見えてきた。全体的には大きく立派な感じだが、頂上だけはのぺっと平で山容としては今いちである。さらに進むと道路脇に雪渓が現れ全員大喜び。こんな暑い林道を長靴で歩いていることもあって、雪渓に立っているだけでも涼しさが伝わってくる。帰りもここで休憩することにして再び頂上を目指す。

  すぐに急カーブとなり、一足先に沢筋へと入りたい気分だが、ここは林道を歩いた方が間違いなく速い。ぐんと登って暑さに耐えながら黙々と歩いて行くと、やっと入渓予定のカーブに到達する。頂上へは500mほど。ここから小沢へと入り、あとは沢詰めのみ。水流はかなり細いが、カーブ付近の林道が大きく崩れていたことを考えれば、想像を超える激流となることもあるのだろう。どれも小規模ではあるが滝も現れ、本格的に源頭の雰囲気となる。山はこうでなくちゃ! 小滝を幾つか越えて行くうちに沢形が消えて急な斜面となり、いよいよかと思ったが、登り詰めたところは林道の法面だった。結局、再び林道歩きとなる。歩いてきた林道とはどこかでつながっているようだ。既に頂上は至近距離となっており、林道のいずれかの地点からの籔突入を考える。GPSを見れば頂上までは100m程度、籔も薄いとなればそのまま直進しかない。

やれやれ   頂上に到着 何と! 一等三角点だったのか・・・

 頂上は平らな樹林帯の中だった。国土交通省の新しい黄色のプラスチック板が立っている。そう遠くない過去に標石の現況調査でもやったのだろう。おそらく道路が崩れる前のことだったと想像する。登頂とは言っても90%以上は道路歩きだった。まあ、それもこれもこの手の山の趣向であり、こんなことだってあるさと納得する。標石のすぐ横にはエゾヤマザクラの樹木があり散ったばかりのようだ。一等三角点とのコラボはおそらく素晴らしいものと想像する。道路の修繕が成ったいつの日か、ここに泊まっての花見というのも乙だねとの会話がはずむ。山ヤの風流とはこんなものかもしれない。

 下りは小沢へは下らず、頂上の近くまで伸びていた林道をそのまま下ってみることにした。大きく逆方向へと進むことはあったが、結局は入渓地点のカーブからそう遠くはない地点で合流する支線林道と判明する。林道途中に置いたIkko車からは往復10kmの林道歩きとなり、とんでもなく歩いた気分であったが、距離だけ考えれば普通の山登りである。一般的な登山と違う点は解答が伏せられていることだ。山登りを1つの冒険とするのなら、ガイドブックに載っている夏尾根登山よりは間違いなく面白いことだけは確かであった。(2016.5.22)

参考コースタイム】林道崩壊地点手前 P 7:50 → 常呂山頂上 9:35 、〃発 10:00 林道崩壊地点手前 P 11:25 (登り2時間10分、下り1時間25分 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、mocoさん、saijyo

 **山行写真**

林道をひたすら歩く (Ikkoさん提供)

沢に入って最初の二股 (Ikkoさん提供)

常呂山頂上からの展望 180°

常呂山頂上からの展望 残り180° mocoさんが記念撮影の準備をしている

 

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