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      砥石山(826.3m)

 

 1/25000地形図「札 幌」「石 山」

434mピークから見る手稲山付近
見慣れた砥石山頂上だが積雪期は8年ぶり
小林峠の駐車帯に車を停める
434mピークから望む砥石山
遠く石狩湾や新港も見える
砥石山頂上直下を登る

砥石山は私の家から最も近い馴染みの山の一つである。このサイトでも8年前に南側・観音林道ルートからの記録をUPしているが、今回はこの山に小林峠からスキーで入ってみた。近いこともあって山の計画がない週などにはトレーニング目的でしばしば入っているコースである。頂上までは約5.5km、アップダウンが意外に激しく、体力トレーニングには打って付けのコースと言える。尾根上に続く遊歩道は、特に新緑の頃などには森林浴も兼ねることが出来、贅沢なホームグラウンドといった感じである。もっとも、ここを使うのは無雪期のみで、積雪期にトレースするのは今回が初めてとなる。

前日のものか、峠からスノーシューのトレースが尾根に沿って続いていた。今はやはりスノーシューがトレンドなのか、およそメジャーなルートと呼ばれているところにはいつもこのトレース跡を見る。基本的にはその操作性からスキーとはルートが違い、そのまま彼らの踏み跡を泥棒させてもらうわけにはいかない。この日もスタートから巻きのラッセルとなる。稜線に出てふと見るとコバワールドスキー場が見える。しかし、人っ子一人見られず、どう見ても閉鎖したスキー場の光景である。私は北の沢の住人で、子育て当時には雪面の硬い市民スキー場ではなくこちらのスキー場(当時は盤渓コバランドスキー場)をいつも利用していた。後で調べたところではここの運営会社が倒産、新たなる引取り手を捜しているとのこと。趣味が多様化している現代、スキーヤーの人口は減少傾向にあると聞く。スキー場についても過渡期を迎えたといえるのだろう。

 スノーシューのトレースはスキー場の頂上である434mピークまでだった。ちなみにこのピーク、何時も通過しているはずだが、この展望の良さには全く気付かなかった。目指す砥石山始め、百松沢山、迷沢山、手稲山など、札幌市街の西側に広がる山々の素晴らしい展望台となっている。意外だったのは遠く石狩湾新港や青い石狩湾をも望むことができることである。木々の葉が無くなるだけで目の前に映る光景はこうも違うものかと改めて感じる。ここからの下りはスキー登山には少々余計な部分、帰路の登り返しを考えるだけでもストレスである。次の435mピークも痩せていてスキーには辛いところ。右側を巻くが少々登り過ぎたため、幼木の密生した下りに一苦労させられる。

 さすがに二ヶ所のアップダウンを味わわされれば次のT2分岐への登りは避けたいところ。だが、帰路で中の沢コースへと逃げることを想定すれば、ここはぜひとも確認しておきたいポイントである。先の下りを知りつつも三度目の登りとなる。ここは体力トレーニングと自分に言い聞かせるしかない。雪面から顔を覗かせている標識を確認、三度目の下りで夏期には笹原となっている広い鞍部へと出る。さて、いよいよ砥石山への本格的な登り、ここから先は効率第一で望むことにしよう。この間、意味不明なスノーシューのトレースを見るが、この主の目的が何となく理解できたのは急な尾根の登高中である。登っている尾根の遠く対岸のピークに大勢の人影が見られる。なんで、あんなところに人がいるのだろうかと思ったが、後で調べたところでは通称;盤渓山(604mピーク)と呼ばれている山があるようだ。チロロ2さんは「ヤッホー」と叫んでいたが、彼らからの返答はなかった。声の低いチロロ2さんの波長ではあまり遠くまでは音声が伝わらないようだ。俗に言う波長の短い“黄色い声”であればきっと通じているのだろう。

藤野の市街地も見えるが、雪雲はすぐそこまで迫っている 八垂別の登山口に下りた頃には雪が降り出す

大きく左側を巻いて三角山手前のコルへ効率よく飛び出そうと目論むが、残念ながら雪庇の張り出しが邪魔して叶わず、結局手前のポコへと飛び出す。何事も訓練、訓練…。時計を見れば11時30分、この時期の折り返しはどんなに都合良く見積っても13時が限界である。チロロ2さんは三角山までと決めてかかっているようだが、私は効率良くこれを巻くことしか頭にない。右側から思いっきり低く巻くと、うまい具合に660mコルへと抜けることが出来た。本日初の会心の巻きである。もっとも、始めからちゃんと地形図を見ていればどれも会心の巻きだったはずである。いつもの山でいつものルートと思っていただけに、地形図など全く見ていなかった。まあ、これもまた訓練と言える。

ここからはなぜかスキーのトレースが現われる。ここを訪れる登山者の行動パターンは全く判らない。しかも下りのトレースみのであり、この主はいきなりどこからか現われ、どこかに消えている。トレースは地形や風の吹き方によって消されるもの。気象によるいたずらとでも考えることにしよう。急斜面を大きく右側へとトラバース、北へと張り出す尾根から頂上へと向かうことにする。尾根上は意外に狭く、下降時のスキーはかえって邪魔になるかもしれない。登りきった地点にスキーをデポ、大きく広がる札幌の市街地を背にツボ足にて頂上へと向かう。登山道歩きでは良く知っているこの山の詰めだが、積雪期には意外と長く感じるもの。チロロ2さんが三角山で止めようと考えていた地点から約1時間、積雪期としては8年ぶりの見慣れた頂上へと到着する。

下り、小林峠へは遠くて登り返しも多そうなので、T4分岐手前から八垂別の登山口へと下降することにした。こちらであれば大して登り返しはないからである。結局、北の沢の我が家まで歩くことになるが、小林峠までの往路を辿るよりはマシと見た。八垂別登山口周辺は私道となっていて付近住人と登山者との間で過去にトラブルがあったのか、車の通過には異常に敏感になっている。そんなこともあって、私もついつい小林峠からのルートを使ってしまうが、冬期に関して言えばやはり小林峠は遠い。頂上直下で出会ったスノーシューの登山者にトレースの礼を言われたが、彼は三度目の挑戦で初めて砥石山に届いたとのこと。近いと思いつつも実は遠い山、それが今回の山行で感じた印象である。(2012.1.29)

  【参考コースタイム】小林峠 8:50 三角山手前 11:30 砥石頂上 12:35、〃発 12:50 八垂別の滝・登山口 14:30    (登り3時間45分、下り 1時間40分)  メンバーsaijyo、チロロ2

 

 渓山(604m)

 上記の砥石山の山行で初めてその存在を知った盤渓山へ早速行ってみることになる。当初の予定では昭和9年に中の沢上流に建てられたといわれる東日ヒュッテ跡地を探すことが目的であった。以前はこの小屋をベースに中の沢上流から822mピーク(通称;割れ山)の南の肩へと登るのが砥石山登山の定番だったとのこと。この古のルートの偵察も当然のことながら頭の中にはあった。

妙福寺のすぐ脇を通って行く
登山口から見る盤渓山

ところが、盤渓山の北側の尾根を乗り越すところで、せっかく半分以上登ったのだから、ついでに盤渓山にも寄って行こうという気になる。尾根は狭くて傾斜があり、おまけに細い幼木が密生している。スキー向きの山ではないが細かなキックターンを繰り返して何とかここを登りきる。市街地側が切れ落ちていることもあって、頂上展望が何とも素晴らしく開放感たっぷりである。本峰の砥石山よりも遥かに頂上らしい頂上と言えるだろう。この山頂には以前に妙福寺の奥の院が祀られていたとのこと。妙福寺からは登山道があるとかないとか、いづれにしても一般登山者は立入れないようだ。

登ってきた狭い尾根をスキーで下ることがついつい億劫になり、当初の予定は次の機会とし、奥盤渓山と言われている627mピークも登ってみることにする。このへんは気分次第の一人歩きの気楽さといえるだろう。盤渓山からはやはり木々が密生していて、斜滑降&キックターンでコルへと向かう。コルからの登りがけっこう登り応えがある。大きくジグをきって急斜面を登りきるが、スノーシューのトレースは右側の張り出し尾根へと逃げていた。頂上には小さな標識が付けられていてひと目でそれと判る。眺望は木々に邪魔されて今一といったところ。そこから程なく、先週の巻くか登ってそこまでとするか意見の分かれた三角山手前の休憩地点となる。ここから約1時間で砥石山頂上。時間は先週と全く同じ11時30分であった。さすがに二週続けて同じルートをたどる気にもなれず、今回はここまでとする。先週はどこからのものかトレース跡の行方が不明だったが、答は盤渓山からのものだったと判る。

下りは盤渓山へと向かい低く東側を巻いて、一般ルートと言われている尾根ルートへと入る。尾根上には“一本道”が出来上がっている。かなり踏み固められているところをみると、長靴でも十分に登れそうだ。下降中にも数人の登山者とすれ違うが、短い登山時間とすっきりとした展望が得られるこの盤渓山は今や人気の山となっているようだ。冬なので熊が出ないという安心感も後押ししているのかもしれない。先週はT4分岐へと下ったが、滑りの楽しさを考えればこちらの方に分がある。特に奥盤渓山からコルへと下る深雪斜面は傾斜も広さも格別だった。(2012.2.05)

雪庇の張り出す盤渓山への稜線 盤渓山頂上からは札幌の中心街も見える 盤渓山の下降中に見えた奥盤渓山

【参考コースタイム】盤渓市民の森 P 9:05 盤渓山頂上 10:45、〃発 10:55 三角山手前 11:30 盤渓市民の森 P 12:45    

メンバーsaijyo

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