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      砥石山(826.7m)

/25000地形図 「 石山 」

観音沢林道上部から砥石山を望む
除雪終了地点の約300m手前に駐車スペースを作る
除雪終了地点の約300m手前に駐車スペースを作る
観音沢林道では現在も伐採作業が続く
林道周辺は静かで、深山の趣がある
作業道からコルへ向う斜面に取付く

  今では登山者が絶えない砥石山も、以前はかなり遠い存在であった。札幌っ子であれば何時もこの山を見て育ってきたものだが、小学校の登山遠足でも藻岩山や円山と違って登山の対象とはされず、見るだけの山であった。子供の頃に父からよく聞かされていた話では、幌見峠から下って盤渓へ向かい、鶯茶屋を過ぎて砥石山へ向うと尼寺(現、妙福寺)があり、さらに奥には東日ヒュッテという山小屋があったという。“尼寺”や“茶屋”といった昔話にしか登場しない言葉が、日常的な会話の中で自然に出てくることが、何とも印象的だったのを覚えている。今は北の沢に居を構え、毎朝のようにこの山を眺めているが、砥石山がこんなに身近な存在になることは想像もしていなかった。

砥石山は4つのピークからなっているが、一番高いと思われるコンタ820m+は札幌の中心部からはわずかに頭をのぞかせているだけである。一番右側の822m標高点のあるピークが通称「割れ山」であり、福井えん堤からの登山道がこのピークをかすめて通っている。登山道は八垂別の滝からのルートと小林峠からのルートが一般的であるが、小林峠からのルートの方は意外に長く感じる。福井えん堤からのコースも長いが、深い森の中を歩く苔むした静かな道である。八垂別からのルートは登山口へ向う道が未舗装のためにほこりが立ち、付近の住人には迷惑のようである。徐行で通過する心遣いが必要である。

 今回は南側の観音沢林道からのアプローチで計画する。この林道は1/25000地形図にも載っていて、頂上直下まで続いている。予定では国立病院付近に車を置いて、林道入口手前からラッセルするつもりでいたが、この日は観音沢林道で伐採・積み出し作業が行われており、林道入口のゲートより約1km先まで車を乗り入れることが出来る。除雪終点付近は木材の積み出し作業を行うとのことで、作業の邪魔にならぬよう約300m手前に車を置くことにする。除雪終了地点からは膝近くまでの深雪ラッセルである。札幌市内の山でありながら、冬山特有の静けさは深山の趣を感じさせてくれる。

コルまで上がってしまえば、頂上は直ぐそこである。 砥石山頂上の展望は、無雪期よりは良い
砥石山頂上から神威岳 自宅裏「第2やまばと公園」から見る砥石山

コンタ440mで地形図上に破線で描かれた作業道へ入る。積雪期のため道路の細かな状況はよく分らないが、意外にしっかりとしているように感じる。標高をぐんぐん上げて行くが、何ヶ所か樹木のない傾斜地を横断しなければならないところがある。林道上での雪崩による遭難事故の例もあり、積雪の状態によっては十分な注意が必要である。ここは一人づつ慎重に通過することにする。コンタ640m付近は間違えやすい。一般的に1/25000の地形図上で登山道を表す破線は当てにならないことが多いが、ここは地形図上の破線を信じてルートを取るのが正解である。支線が一本入っていて、これを間違って進んでしまい、直ぐに崩壊ヶ所が出てきて行き止まりとなる。斜面を登り本来の作業道へ戻るが、日照時間が短いこの時期のロスタイムは山行の成否に関わってしまう。

 作業道終点が近づき、正面に南尾根が見えて来る。南尾根の頂上直下付近は急傾斜となっており、スキーでの登高は大変そうである。作業道上からは頂上西側のコルが直ぐ近くに見えているため、終点までは行かずに200300m手前からこのコルを目指して登ることにする。無雪期であれば少しの藪漕ぎで簡単に登山道へ出ることが出来そうである。コルから頂上への夏道沿いには雪庇もなく、作業道から約30分で頂上に到着する。通い慣れた頂上ではあるが、今回は始めてのルートでもあり、しかも約4時間30分ものラッセルの後であっただけに、何か新鮮なものを感じる。夏期には鬱蒼として展望は利かないが、冬期であれば周囲の展望も多少は良いようである。

下りは南尾根上を忠実に下降することにする。頂上直下は傾斜がきついが、下りであれば何も問題はない。コンタ730mは、地形図上には表現されないコブとなっていて、両側は切れている。右側下部の傾斜の緩そうなところを巻くが、尾根上へ戻るためには登り返さねばならない。ここを通過すると下山までに登り返しはない。

 観音沢林道は登山者もなく静かな山歩きを楽しむことは出来るが、単なる林道歩に終始してしまい、登山ルートとしては少し単調である。その点では登山道コースの方が起伏もあり、変化に富んでいて面白いかもしれない。(2004.1.12)

  ヒグマについて触れるが、砥石山には確かにヒグマは生息しているようである。春先に、三角山と本峰との間の雪渓でヒグマの足跡を見たという話しは何度か聞いたことがある。観音沢林道上部でも、昨秋に偵察に入ったときに真新しい糞を見ている。いずれにしても、十分な注意が必要である。

【参考コースタイム】 観音沢林道(車駐車地点) 8:15 → コンタ440m作業道入口 9:30 → 作業道終点付近(コルへの取付き) 12:10 → 砥石山頂上 12:40 、〃発 13:05 →  往路の作業道上 14:35 → 観音沢林道(車駐車地点) 15:10

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