<戻る

    知美化布(568.6m) ・・・ 秘沼チミケップ湖の山  

 

   

道道から美化布を望む

 

1/25000地形図 本 岐

針葉樹林帯は下草もなく歩きやすい
ゲート前に車を置く
林道からは細かな作業道へと入る

  チミケップ湖のチミケップを漢字で書くとこうなるらしい。もちろん宛字だが、美しく化けたことを広く知らせる・・・と感じさせる漢字配列である。語源はアイヌ語のチミ・ケ・プ(分け・削る・もの)で、堰止湖を意味しているらしい。いずれにしても、遠くない昔に美しい湖となったことを感じさせる湖名である。チミケップ湖は有名な湖沼が数多く点在する道東にあっては一般的に馴染みが薄く、知っている人間は意外と少ない。そんなところが秘沼と呼ばれている所以なのかもしれない。この湖畔にはなぜか高級ホテルが1件建っており、知る人ぞ知る隠れ家的存在になっているとのこと。

 謎のリクンベツ岳が予想外に早くに終わり、Ikko車に常時積まれている代替案ボックスの中から出てきたのがこの「知美化布」だった。何だこれ? 山や岳が付いてないし、低山であるには違いない・・・  しかし、昼スタートを考えれば贅沢など言ってはいられない。よく聞けばチミケップ湖の奥の山とのことで、湖名の漢字バージョンのようだ。であれば、話題性で20点くらいはプラスできるだろう。陸別のセーコーマートで足りない分の行動食と水を購入、着替えずにそのままスタートとする。

 道道にも関わらずチミケップ湖周辺に近づくと砂利道となる。3台で走っているのでほこりが舞って窓もあけられず、さらに湖に沿って走る道路は対向車とすれ違うことすらままならない。これもチミケップ湖の秘沼としての観光資源なのだから仕方がない。鹿鳴の滝を通過、いよいよ入山予定地点となる。林道にゲートがないことを期待していたが、期待は見事に裏切られる。南京錠がしっかりかかっており、ゲート前に車を置いてのスタートしかない。林道を歩くこと40分、最初の分岐となる。右側は離れて行く感じ、左側は知美化布の山腹を巻くように続いているので、当然左側とする。GPSを見れば距離にして500m程度にまで近づいており、急ではあるが林道を離れて斜面に取り付いた方が速いとの結論になる。

二等三角点「知美化布」と金麦
頂上までの最後の登りは低い笹原となっていて歩きやすい 二等三角点「知美化布」と金麦

 この手の山は、そもそもが地形図上には林道も作業道も載っていないので一見して深いように感じるが、実際に入ってみると針葉樹の植林地となっていて、下草が少なく作業道跡も随所に現れるケースは多い。一般的に曲りくねった登山道を歩くよりは距離的にも短く、不気味さを除いては楽に登れるものである。この山についても、急斜面に入るとやはり藪漕ぎはほとんどなく、頂上への距離はどんどん縮まって行った。さらに時折現れる作業道跡を利用し、高い方へ登って行く。気がつけば知美化布の頂上がぐんと近づいていた。よくあるパターンである。

 最後には傾斜が緩み、低い笹薮に覆われた広い平らな頂上部となる。冬山と違って無雪期であれば標石を確認しなければならないが、これも籔山の1つの醍醐味である。だが、二等三角点「知美化布」はなかなか見つからなかった。探すこと10分、Ikkoさんが見つけ出す。冬に登られることはあっても、無雪期に登られることはほとんどないのだろう。おそらくこの標石を人間が見るのは年単位、下手したら10年単位かもしれない。こんな標石の周りは自然任せで、枯葉や枯枝等によって隠れてしまうことも多い。場合によっては堆積物によって地中化してしまうことすらある。頂上展望は予測通り何もなく、下山時に遠くチミケップ湖の水面が小さく見える程度であった。

 秘沼チミケップ湖の奥に位置するこの山だが、奥深くて謎めいた印象とは裏腹で、どこにでもありそうな、山名が記されていなければ誰にも登られることのない平凡な一山であった。(2016.5.22)

参考コースタイム】林道入口 P 12:05 → 林道分岐 12:45 知美化布頂上 13:15、〃発 13:35 林道分岐 13:55 林道入口 P 14:15 (登り1時間10分、下り40分 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、mocoさん、saijyo

知美化布頂上はこんなところ

 

     <最初へ戻る