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      鉄砲(540.2m)・・・強烈な根曲がり竹の藪に遭遇

下山で選んだルートは3mを越える根曲がり竹の藪だった (mocoさん提供)

        

/25000地形図「野田追岳」  

ラッキーにもゲートは出合の近くだった
ラストは笹薮の急登となる (mocoさん提供)

  この鉄砲岳は標高こそあまりないが奥まった山であり、季節選択が難しい。Web上を調べてみると、やはり積雪期が多く、多少の長い林道歩きを差し引いてもその方が効率的なのかもしれない。我々は奥までの車の乗り入れが可能な無雪期を選択、沢筋からこの山を目指すことにしてみた。当初の予定は頂上に近い北側の梯子沢からのアプローチとしていた。だが、林道は分岐からいくらも進まぬところで崩壊しており、取付き地点までは約1kmであるが、先々の崩壊や鬱蒼とした様子を考えた場合の選択はやはり南側の下二股川側であった。

 下二股川側の林道は本線のようで、しっかりとしていて現在も使われている感じである。取付き予定の小沢出合、300m手前でゲートとなる。ゲートからは至近距離で、まずはホッとする。出合からすぐのところには古い砂防ダムがあり右岸を高巻く。沢自体の流れは細いが、少し進んだところで深い澱みの通過となり、無理すればどうにかなりそうだが、スパイク長靴であれば右岸を高巻くのが無難なところ。250m二股は左へと入り、頂上左側の肩を目指すことにする。途中、数メートルの滝が出現、右岸側が作業道と勘違いしそうな棚状の地形となっていたのでこれを通過して難なく高巻く。mocoさん曰くは沢靴であればこの滝は問題なく登れるとのこと。

 その後は目立った滝もなく順調に標高を上げて行くが、沢自体の傾斜が徐々に増してくる。スラブ状の登りではさすがに微妙な状態となり、笹が生えた斜面へと逃げる。ここまで登れば沢筋から離れ、そのまま笹薮を漕いで頂上へと向かうのが安全だ。後は体力勝負、笹につかまりながらの急登である。途中、休憩していると、この時期としては珍しくダニが這っているとのこと。良く見れば私のズボンにも数匹。やはり道南なので、温かいのかもしれない。先日の白滝村では笹薮を漕いでも全くダニは付かなかった。

流れは細く、スパイク長靴でもOK

  再び藪漕ぎ開始。一直線に頂上を目指す。疲れることは疲れるが、つかむもののない登山道をこの角度で登るよりは遥かに楽に感じる。藪山では殆どがこのパターンで、そんな意味ではこの方が慣れているのかもしれない。そうこうしているうちに傾斜が緩んで頂上到着となる。最近は標石探しでIkkoさんに水を空けられているが、この日も見つけたのはIkkoさんだった。大抵の場合はGPSの三角点マークの黒い点付近に埋まっているのだが、ここでも外れたところだった。Web上にこの標石の写真が載るのは初めてなので、金麦を乗せての記念の1枚。全員で記念写真を撮る。  

◇◇ ◇◇ ◇◇

 さて、下山である。沢筋を使った場合、下手したら掴みどころのない斜面が現れることも考えられ、出来れば藪尾根に逃げたいところ。コンタ480mの高みまでは平坦地が続き、出来るだけ真っ直ぐに進む必要がある。左側へ寄ってしまえば往路の沢形へ引っ張られるから注意が必要だ。スタートからは地形的に明瞭な尾根筋を進む。ある程度進んだ地点からは設定した目的地点を目指しGPSを見ながら一直線に藪を進む。

鉄砲岳頂上で記念撮影 (mocoさん提供) 三等三角点「上二股」と金麦 (鉄砲岳頂上)

 尾根筋から外れる頃から笹薮が手強くなる。平らな地形の凹付近になると、しばらくお目にかかっていない3mを超える高さの根曲がり竹の壁が出現。正直、これには参った。体重を乗せて割って入り、視界を確保して次に進む。足元を地面に落とさぬよう踏み倒した竹から次の竹へと渡る。藪漕ぎランクでも上位にあたる空中戦。時にはツルが絡み、青く実ったブドウも見られる。ツルには悪いが、ハサミで切らなければ前へは進めない。それなりに時間を要しているが、若い頃とは違って時間の概念が縮まってしまったのか、そんなに長くは感じないから不思議なものだ。見かねた山遊人さんが先頭を交代してくれる。こんな手強い藪でも最後尾ともなればそうは感じない。実際は藪の中では一番手も二番手もそうそう変わるものではないが、視覚に藪壁が映らない分だけ気分的に楽に感じるのだろう。

 予定していた地点に3040メートルの地点まで接近、ここまではまずまずの出来である。ここからはそのまま下って行けば林道に飛び出すはずだ。進んで行くうちに斜面が急降下。樹林や笹が茂っているので何とか下れるが、草しかなければ絶対に下れない傾斜と言える。木々につかまりながら慎重に下降、途中で古い作業歩道を通過するがそのまま下降、最後は小沢の脇から林道へと飛び出す。最後の林道への斜面は何も考えてはいなかったが、林道を歩きながら見たところでは場所によってはロープをセットしなければ下降は絶対に無理な崖斜面も見られた。

 下山後、考えてみたが、結果的には登った沢をそのまま下った方が楽との意見もあるかもしれない。ただ、最初に良かれと思ったルートの障害を11つクリアして行くことの楽しさは、正に藪山の醍醐味とも言え、このルートでなければあの壁のような根曲がりの密生や、転がり落ちそうな急斜面にもお目にかかってはいなかった。鉄砲岳は手強い、そんな印象を“お土産”にしたことは今回の一番の収穫とも思えた。(2016.10.10)

【参考コースタイム】 林道ゲート  P 8:55 → 鉄砲岳頂上 11:10 、〃発 11:35  → 林道ゲート  P 13:40 (登り 2時間15分、下り 2時間5分)

メンバー】 山遊人さん、toyamaさん、mocoさん、Ikkoさん、 saijyoチロロ3(旧姓naga)

 

◇◇山行写真◇◇

 

 

 鉄砲岳への林道から樹木 (Ikkoさん提供)

廃道化した作業道? (Ikkoさん提供)

鉄砲岳_沢を登るメンバー (Ikkoさん提供)

鉄砲岳_沢上部のメンバー (Ikkoさん提供)

もうすぐ頂上

鉄砲岳_下山ルートの熊の爪痕 (Ikkoさん提供)

   

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