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    手ぬぐい山(276m) ・・・  面白山名の有名どころ

 

 

 富美共同放牧場からてぬぐい山を望む

1/25000地形図 上富美

植林地のエゾアヤメ (Ikkoさん提供)

     道道336号の道路脇に車を止める

植林地に向かって藪漕ぎを開始する 

植林地から望む「手ぬぐい山」

 Web上を調べてみると、面白い山名として、七飯町の「貧乏山」と、この「手ぬぐい山」がよく出てくる。その部門では道内の双璧とも言えるだろう。調べたところでは、農業構造改善事業の推進によって上湧別町ではこの山の斜面に町営富美乳牛育成牧場を開いたが、開かれた昭和42年〜52年の資料には、既に通称として「手ぬぐい山」の名が載っていた。おそらくそれ以前にひょんなことからそう呼ぶようになり、牧場造成の折に便宜上広まったと思われる。国土地理院には町が申請、地形図上にもこの名が正式登場となったのだろう。衛生管理の面で牧場への立入りは厳しく、この山へ登るには反対側の藪斜面から直接登らなければならない。

 前日に興部の道の駅で合流したmocoさんを交え、Ikkoさんと私の三人で現地入りする。地形図では手ぬぐい山頂上のすぐ近くを道路が走っているため、ちょっと立ち寄るだけのつもりで牧場側へ行ってみる。ところが、牧場の入口はゲートで閉じられており「家畜の病気予防の為、関係者以外立入禁止」の看板。当然であった。地形図を見たところ、牧場の範囲は頂上からは微妙にずれているため、牧場に立ち入らなくても登ることが出来そうだった。それではと、今度は反対側の道道336号に車を置いて、そこから入ることにした。こうなると本格的な藪山登山である。

 道道から急な小道を上がると小さな牧草地となる。その脇を通って笹薮に突入、いよいよ手ぬぐい山へのスタートだ。笹薮は濃いが、すぐに植林地となる。植林地には作業用の小道跡があり、これを利用してできる限り山の斜面へと近づくのが良さそうである。笹藪が被っていないのでこの時期はエゾクガイソウやエゾアヤメ等の花々が咲き誇っている。植林地を過ぎると目指す手ぬぐい山はぐんと近づくが、再び強烈な笹薮漕ぎとなった。樹林帯もそこそこ濃いので、その中であれば少しはマシかもしれないと思いつつ最後尾を登って行く。

 そうこうしているうちに、突然二番目を歩いていたmocoさんが「痛い!イタイ、イタイ・・・」と。一瞬何が起こったのかが判らなかった。よく見ると、私の方へ逃げてきたmocoさんの周りには数匹のハチが飛び回っている。殺虫剤、殺虫剤・・・ 私は持っていない。Ikkoさんのザックの天蓋からそれを出した時には既にハチの姿は消えていたが、思い切りそれを散布する。しゃがみ込むmocoさん、とりあえずは何とか現場から離れることに。地中のハチの巣を踏んだために多数のハチが攻撃してきたようだ。鎮痛剤を1錠飲んで、多少痛さが多少和らいだようだった。

     頂上が近づくと笹は低くなった (Ikkoさん提供)

     「手ぬぐい山」頂上にて

 中止しようとIkkoさん。いや、何とか行けそうとmocoさん。結局、大きく迂回して頂上を目指す。さすがに深い樹林帯の中では笹薮も薄く、順調に頂上が近づいた。頂上への最後の登りで再びmocoさんが地中の蜂の巣を発見、再び緊張が走る。静かにその場から離れて手ぬぐい山の頂上到着となる。ホッとしたのもつかの間、再びmocoさんが痛いと顔をしかめ始めた。さらに痛さが増してきたようなので、再び鎮痛剤と抗アレルギー剤を服用する。私も以前にハチに刺されたことがあるが、相当な衝撃だったのを覚えている。今回の場合は12ヶ所どころではないようなので、普通の人間であれば救急搬送もありだったかもしれない。牧場には悪いが場内の道路へと緊急避難、Ikkoさんが一足速く車へと向かった。

 私個人としては軽い藪漕ぎと、いつものザックからサブザックに替え、しかも薬も殺虫剤も持ってはいなかった。パーティがそれらを持っていたから良かったものの、一人の場合であればかなり危険なことになっていただろう。通常の装備はどんなときでも必要である。また、ハチの巣についてはIkkoさんの読みでは、植林地という開けた場所と樹林帯の境目辺りにあり、こんな場所ほど危ないのではないだろうかとの見解。確かに営巣するには隠れた場所であるし、花々へもそう遠くはない。

 下山後、mocoさんは遠軽の救急病院へ。診断ではアナキラフィシーショックとのこと。すぐに抗アレルギー剤と鎮痛剤を飲んだので事なきを得たようだった。(2016.7.18)

「手ぬぐい山」頂上は霧の中

参考コースタイム】道336号 9:30 → 手ぬぐい山頂上 11:45、〃発 12:00 富美共同放牧場入口 12:35  (登り  2時間15分、下り 1時間20分 休憩時間を含む)    

メンバー】Ikkoさん、mocoさん、saijyo

 

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