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    立牛岳(629.9m) ・・・  国土地理院が使用した道路は?

1/25000地形図 立牛岳

          立牛岳への稜線に乗った!
     白樺峠手前の土場に車を止める
         藪山はやはり真っ向勝負 

この時期、夏草の緑に映えるオニユリが美しい

 立牛岳は北海道全体ではかなり地味な部類に属する山だが、地域的にはそれなりに目立っている山だ。山名の由来はアイヌ語のタッシヌプリで、樺皮の多い山の意。山名からは立牛川の水源に位置する山と思われがちだが、立牛川の水源は北見富士。この山は藻別川支流・クチャンナイ川の水源で、河川名とのつながりはない。宛てた漢字の意味合ひとつで、人里から遠くて森林が覆うこんな山でも、牧草地に囲まれたのどかな山をイメージしてしまう。このへんが宛字の面白さと言えるだろう。いずれにせよ、山域の中では標高も高く、この地区を代表する一山であることには違いない。

 今回のルートについてはgoogleの航空写真を見て、一番近い地点から頂上を目指すというもの。合わせてIkkoさんは一等三角点「辰丑岳」の点の記も持参しており、ネット情報としては準備万端である。点の記は2014年のもので、二年前に現況調査が行われたようだ。もちろん、この時の道路跡が未だ残っているという前提である。

 中立牛から上古丹四号川沿いのクチャンナイ林道へと入り、立牛岳が一番近いと思われる白樺峠付へと進む。峠手前には土場があり、そこに車を置いて現況調査で使用したと思われる作業道へと入る。だが、いくらも進まぬうちに、方向が違うのではないかとIkkoさん。確かに進むべき方向とは90°のずれがある。しかも夏草で鬱蒼としており、点の記のルートとは違うということで途中で引き返す。変だ・・・ 確かに道路があるはずとIkkoさん。他にも白樺峠までの間に薄っすら道路跡を見つけるが、それもすぐに藪で行き止まりとなった。

頂上に到着

一等三角点「辰丑岳」と金麦

 それではと、今度はgoogleの航空写真の出番である。峠を下った先から続く作業道は明瞭であり、車でそこまで移動、仕切り直しとする。ところが、入って間もなくから笹薮が密生していて、おまけにダニまでくっ付いて来る。このまま続けたところで頂上など遠い先、到底届きそうになかった。google航空写真の場合、撮った季節によって写る様子は大きく違って来る。そう考えれば、この写真はこんな草木の茂る時期のものではなさそうであった。結局、最初の作業道へと移動、仕切り直しとする。

 再び最初の作業道を更に進んで様子を見ることにしたが、方向が変わった辺りから笹薮の密生状態となり、しかも頂上からも遠ざかって行くことが判って断念。八方塞の状況となる。最終的に選んだルートは入口からそのまま真っ直ぐに枯れた小沢を進んでコルへと抜けるルートだった。いつもであれば当然選ぶはずのルートで、いわば航空写真や点の記に惑わされた感がある。小沢の右岸には夏草で鬱蒼とはしているが、作業道跡が見つかる。ただ、現況調査で使用したものとは思えないかなり古そうな感じだ。そのまま進んで行くうちに、完全に藪の中へと消えてしまった。沢筋へと向かって行くと別の集材路跡が出てくるが、これも長くは続かない。概ね藪は薄いので、そのまま最初のコルを目指すことにする。

 コルまでは意外と簡単に到達、527mの小ピークを巻くように次のコルを目指す。小ピークへ登ってしまった方が楽かもしれないが、藪が薄いようであれば巻くのが効率的だ。ベロのような形のコンタ500mの上は藪も薄く歩きやすく527mが近づく辺りで次のコルへと下る。広い平らなコルへ降りてみると藪は被りつつあるが道路跡が続いていた。航空写真で見ていたものだ。頂上から南東側へと伸びる尾根の末端近くまでこの道路跡を進み、尾根めがけて笹藪へと突入する。この日一番の笹薮漕ぎとなり、そのまま尾根上へと飛び出す。尾根上にはシカ道なのか踏跡が所々に見られる。途中には伸びきったワラビが所々に群生、最後はその中に一等三角点の標石を見つける。残念ながら樹林帯の中で眺望はない。現況調査が行われたこともあり、新しい黄色のプレートが立てられていた。よく見れば、標石にはICタグが埋め込まれている。後で調べたところ、こういった三角点を「インテリジェント基準点」と呼ぶらしく、測量作業や基準点維持管理の効率化を目的としているとのこと。こんな地味な分野にもIT化は着実に進んでいるようだ。標石から数メートル先1mほど高いところがこの山の頂上ということになるが、ここもワラビの群生の中だった。

 下山後、点の記のかなり不明瞭な概念図を精査してみた。この図では頂上直下まで車を乗り入れているが、白樺峠近くのすぐに消えてしまった道路跡が正解のようだ。もう少し進んでいれば藪が薄くなった可能性はあるが、いつもの感覚で登る方がすんなり登ることが出来たのは事実である。一度廃道とした場合、自然の回復力は凄まじく、ましてや現況調査ためだけに便宜的に作った道路であれば、2年も経てば消えてしまうのも当然である。藪山は真っ向勝負、これしかないようである。(2016.7.16)  

紋別山頂上はこんなところ

  

【紋別山(大山)

 立牛山の下山後、時間があったので、紋別市の紋別山(通称:大山)へ行ってみることになった。この山は頂上一帯が整備され、スカイタワーやレストハウス等が建てられ、紋別市の観光スポットの1つになっているようだ。遊歩道も整備され、自然観察等、アウトドアが楽しめるらしい。もちろん、山頂までは車で登る。目的は登山ではなく、一等三角点「紋別山」 (333.8m)の確認である。広い駐車場から無線中継所の電波塔の方へと進んで行き、あと少しで到着かと思っていたら、施設の柵にがっちり阻まれる。標石が柵の中ではなく、柵の左側を進んでいった先の藪の中にあったのはラッキーだった。

参考コースタイム】白樺峠手前の土場 10:40 → 立牛岳頂上 13:10、〃発 13:40 白樺峠手前の土場 15:00 (登り  2時間30分、下り 1時間20分 休憩時間を含む)   

メンバーIkkoさん、saijyo、チロロ2

 **山行写真**

立牛岳頂上はこんなところ  虫の攻撃に閉口する

下山開始 (Ikkoさん提供)

立木とオオカメノキ (Ikkoさん提供)

調べがつかなかった赤い実 (Ikkoさん提供)

世代交代 (Ikkoさん提供)

我々の侵入に不満顔の樺の木 (Ikkoさん提供)

 

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