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   達布山(406.4m) ・・・かつての留萌炭田・達布地区の里山

  

  

おびらしべ湖から望む達布山 

 

   

1/25000地形図 達 布  

稜線上へ飛び出すと頂上が見えた

町道の除雪スペースに車を置く
達布山へ向けてスタートする
頂上への急斜面

  この山については以前から気にはなっていたが、里山ということもあってついつい後回しとなっていた。同じ山域には記念別、古丹別、三毛別といった○○別の山が3組(9山)あり、それらを全て完登したいという気持が優先してしまった。達布はかつては栄えた留萌炭鉱の中心地区であるが、現在は町ごと廃虚化しつつあるように感じる。炭鉱跡は達布市街を中心にあちこちに見られるが、それらは産業遺産として熟成するまでは壊さずにとっておくのが良いだろう。もっとも、現在の周辺地域は農業が中心で、こちらは道内どこにでも見られる光景でる。地区全体を見ればそんなに郷愁を誘うほどの暗さは感じられない。単に産業の中心が入れ替わったということだろう。

 達布山へは地形図上で林道が山腹を巻くように伸びていて、まずはこれを使うのが定石というもの。私以外のメンバーはスノーシューを選択したが、帰りの林道の滑りを考え、私はスノーシューをザックに付けて、基本的にはスキーとした。ラッセルともなればやはりスキーに分があり、特に新雪の林道歩きであればその差は大きい。住吉地区の農家の横に車を並べてスタートとする。農家に断りを入れようかとも思ったが、除雪終点の公道上でもあり、それも大げさかと思われた。400mほど進むと「上住吉林道」の看板がありゲートとなる。道添ノ沢川出合までは単調な林道歩きとなる。途中、目指す達布山と386m峰が双耳峰となって見えるが、おびらしべ湖から見る急峻な独立峰のような姿とはまるで違い、至って平凡である。

 道添ノ沢川を過ぎると達布山への取り付きとなる。そのまま最短距離で西面に取り付くのも良いが、少し廻り込んで北西面から狙った方が斜面が幾分緩くなるだろう。そう思って進んでいるうちに作業道らしきものが続いているのを発見する。同じ雪面でも道の方が良いのは当然で、それを辿って行くと北西側の急斜面となって行き止まる。いよいよピークへの登りである。ルートは半分笹の飛出した急斜面で、私のスキーの技量では下りの苦労は必至。仮にツボであってもスキーよりはまだマシと思えた。

 スノーシューを持ってはきたが、ここのところの指先のひび割れが酷く、ビンディングを締めると考えただけでも痛くなる。しかも、半年の間一度もこの道具をさわっていなかったので、春先の山行で人に貸していたことも忘れていた。私の靴とはまるで合ってはいないので、そのままツボで進みたい気分だが、それも効率が悪い。結局、打つ手なしでやむなくビンディングの調整から始めることにする。私がもたもたしているうちにパーティの面々はかなり上部まで到達している様子。焦ったところで仕方がない。とにかく、この道具を取り付けなければ登れるものも登れない。指先の痛さに堪えながら何とかそれを取り付けはしたが、二三歩ですぐに外れてしまう始末。足首を固定する側のビンディングがどうしても引っかからず、結局のところ、そのまま踵部と先端のみで騙し騙し登るしかないようだ。

達布山頂上にて

 再び外れると厄介なので、一歩一歩をかなり慎重に置いて行く。それでもラッセルしない分だけ速度はそれなり、一番の急傾斜を何とか登り切る。急斜面であるだけに背後には抜群の高度感で達布や住吉地区の平野が広がっている。その向こうには知布志内山が見事な山襞を見せているが、この山の標高はたかだか487m。山域全体の標高が低い低いこともあって、この達布山ですらそれなりの雰囲気を楽しませてくれる。天塩山系の魅力を挙げるとすれば、やはりこんな景観を除いては語れないだろう。○○別シリーズ9山の何れかがこの山並みのどこかに見えているのであろうが、正直なところ登った山々であっても確認することすら出来ない。景観全体から見れば単なる山並みの中の1つのコブに過ぎないようである。パーティの面々は既に稜線上へと消えている。おそらく頂上まで到達していることだろう。さてさて、私もあと一踏ん張り。

 傾斜が緩んで稜線上となる。目指す頂上にはmocoさんとチロロ3さんが見える。Ikkoさんはいつものようにベストショットを狙って稜線上を歩き回っているのだろう。私も最後のひと登り、頂上到着とする。足首は開放状態だったが、最後まで持ってくれたのはラッキーだった。スキーのデポ地点までの下りはツボでも尻滑りでもOK、とりあえずは休憩である。達布山頂上の眺望はまずまず、留萌ポロシリ山や沖内山に雲の切れ間から陽光が差しているのが特に印象的だ。mocoさん曰くは“天使の梯子”というのだそうだが、昔見たことのある旧約聖書の挿絵のような神々しさがある。

 mocoさんはスコップを出して三角点探し。戻ってきたIkkoさんも参戦、山ちゃんのホームページに載っていた三角点写真をザックから取出して照合するが、結局は見つからず終い。積雪期の三角点は地理院の「点の記」とメジャーでも持ってこなければ見つかるものではない。ともあれ、頭の隅に何時もあった達布山を登り終えたことについては大満足だった。だらしない私としては、普段からの道具の手入れはやはり重要と身に染みて感じさせられる山行となった。(2015.12.20)

参考コースタイム】住吉・除雪終了地点 P 8:40 達布山頂上 10:45、〃発 11:15 住吉・除雪終了地点 P 12:25  (登り2時間5分、下り 1時間15分)    

メンバーIkkoさん、mocoさん、saijyo、チロロ3(旧姓naga)

山行写真

 

最後の急斜面へさしかかった地点で  (Ikkoさん提供)

急斜面への途中から望む知布志内山 とても500mに満たない低山とは思えない  (Ikkoさん提供)

   

稜線上へと飛び出す 頂上は目前  (mocoさん提供)

達布山頂上の金麦

“天使の梯子”がかかる留萌ポロシリ山(中央)と沖内山(右手前)  (Ikkoさん提供)

鷹泊・坊主山をズーム

頂上から見る天狗山(左)とおびらしべ湖(右)   (Ikkoさん提供)

 

天塩山地西部には低山が広がっているが、その広がりが素晴らしい

 

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