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      鍛高山(395m)・・・しそ焼酎「鍛高譚」の山

途中から見た鍛高山

        

/25000地形図「上茶路」「上庶路」

NTTドコモの管理道路分岐に車を置く
峠の法面からスタートとなる

 この山の名を聞いて、「タンタカタタ〜ん、今週のハイライト」、かなり昔になるが、漫画トリオをつい思い出してしまった。(Webを調べてみたところ、あれはパンパカパ〜ンだった) Ikkoさん、何ふざけているんだ… 「たんたか山というのがあるんですよね」と聞いた時の私の印象である。つい最近、阿寒の近くまで開通した道東自動車道の白糠ICのトイレには立派なエントランスがあり、今週末には徹別岳(旧阿寒町)を予定していたので、待ち合わせと宿泊はこことした。タンタカタンについては「興味がないので、勝手にどうぞ」と答えておいた。調べて判ったが、白糠ICから釧路方向に二つ目のトンネルが「鍛高トンネル」で、この山はその真上に位置しているらしい。Ikkoさんは、土曜日に朝から現地へと向かい、雨の中、この山に登ろうと出かけて行ったが、白糠IC側からの林道は途中崩壊で通行不能、庶路IC側は倒木で、雨降りもあって止めてきたとのこと。とりあえず、話はここまでだった。

頂上手前の小ピークへの登り 痩せた急登となる

 ところが、徹別岳は今年道内を襲った台風で林道は通行不能で断念となる。であればと、庶路ダムを見下ろす滝ノ上山に白羽の矢が立つ。ただ、低山でもあり、この山は予定よりも早く終了、帰り道とのことで倒木で行けなかった庶路側から鍛高山へ行くことになる。何だかんだ言っても、この鍛高山には縁があるということだろう。話は逸れるが「鍛高譚」は合同酒精の製品で全国的にも有名とのこと。私はビール党なので知らなかったが、茶路川中流域に「鍛高」という地名があり、シソの生産地とのことで、シソジュースを焼酎にいれたところあっさり爽やかで、飽きない味わいになったのがことの始まりらしい。赤ジソの香りが人気を博し、全国的な広がりを見せて今日に至っているようだ。因みに“タンタカ”はアイヌ語でカレイやヒラメを指し、譚については語呂合わせからアイヌ語の“タン”=物語を付けたらしい。上手いことを考えたものだと感心する。

 白糠ICへ抜ける林道は入口で通行止の簡単なゲートが置かれている。これは手で簡単にずらせるから問題はない。我々が予定しているのは峠まで。このゲートは白糠側の崩壊地があるので置かれているようだ。問題は倒木である。倒木は入口からしばらく進んだ地点で、覆い被さるように道路を塞いでいた。この日は車両1台が通過したようで、邪魔となる太い枝が切られていた。背の高いIkko車の場合はかなり微妙で、法面ぎりぎりでこの難所を通過する。歩けば峠までは約3km、さすがに昼からでは無理だった。

 峠の少し手前で分岐となっていて、一方はNTTドコモの無線中継所の管理道となっている。峠方向はゲートとなっていて、車をこの分岐に置くことにする。峠からは取付が地形図上で崖記号となっているので気になっていたが、踏跡が稜線上へと続いており、難なく稜線上となる。驚いたのは点々と続くヒグマの足跡だった。薄っすら積もった雪がなければ気づかぬところだが、さすがにその大きさには閉口した。mocoさん曰くは足幅20p弱の大物とのこと。無雪期であれば知らぬが仏だった。白糠の山林は報道等でヒグマとのトラブルでよく耳にする地域、ヒグマの足跡がピークへと向かってはいなかったのがせめてもの救いだった。

鍛高山頂上に到着 シソ焼酎「鍛高譚」のラベル 奥の白い山が鍛高山とのこと

 稜線上からは鍛高山が見える。近いことは地形図上から明らかであるが、小ピークを1つ越えることの億劫さもあって、意外な遠さを感じる。小ピークは地形図上のコンタからは想像出来ない急峻さがあり、どこか日高の支稜線上でも歩いているような感じである。年齢的なものか、自分のバランス感覚が怪しくなったのか、つい、こけて落ちてしまうことが想像され、臆病風のために皆から遅れてしまう。やはり歳のせいか覇気が失せたのか、ダメなものだ。

鍛高山の395m標高点に埋められていた標石

 一旦コルへと下り、右側の急斜面に廻り込みながら登り詰めると、意外に広い鍛高山の頂上となる。最後の急斜面は、もう少し気温が低く、北風でカリカリになった場合であれば注意が必要となるかもしれない。頂上の標高点には「2級基準点 S-16 日本道路公団」と書かれた標石が埋まっていた。同公団が解体したのが2005年のことなので、道東道の釧路延伸に取り掛かったのは10年以上も前のことになる。私も含めて札幌の人間は十勝より先が急に開通したと感じているが、実はそうではなかったことが判る。この山は低山ではあるが、周りの山々も低山であるため、頂上からは山々はもとより、太平洋の広がりをも楽しむことができた。

 下りはヒグマが小ピークをトラバースしたようだったので、その足跡を使わせてもらう。急な沢形の嫌らしいトラバースであったが、ヒグマは難なく通過していた。下山後、NTTドコモの無線中継所へのゲートが開かれていたので鍛高山の写真を撮ろうとIkko車で入ってみることに。先ほどのヒグマはこの道路を歩いて行ったようで、足跡が点々と続いていた。この管理道路、ヒグマにとっても格好の生活道路となっているのだろう。

 下山後、合同酒精の「鍛高譚」を調べてみた。ラベルの奥に描かれている白い山が鍛高山とのことだが、これはあくまでイメージ。実際の鍛高山は樹林に覆われたどこにでもありそうな低山であった。(2016.11.6)

【参考コースタイム】 NTTドコモ管理道分岐 P  12:20 → 鍛高山頂上 12:55 、〃発 13:05  → NTTドコモ管理道分岐 P 13:25 (登り 35分、下り 20分)

メンバー】 Ikkoさん、mocoさん、 saijyo      

 ◇◇山行写真◇◇

鍛高山のヒグマの足跡 (mocoさん提供)

これを登れば鍛高山頂上

鍛高山_山頂にて

   

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