<戻る

      滝ノ上(567.5m)・・・庶路ダム、一等三角点の山

鍛高山から滝ノ上山を望む

        

/25000地形図「二股」「上庶路」  

最短地点の凸地帯に車を置く
スタート地点から痩せ尾根を登る

 この日の当初の予定は雌阿寒岳の東側に位置する徹別岳(877m)だった。出発前の準備で、PCで偶然にこの滝ノ上山を目にしていたが、奥深く小さな山でもあり、わざわざ札幌からこんな山に登りに来ることなどないだろうと思っていた。ところが、徹別岳へと向かう林道が早い段階で崩壊していて中止となり、Ikkoさんから出てきた代替案がこの山だった。庶路ダムはなぜか興味があって写真検索で画像も見ていたが、どこにでもある普通のダムだった。周辺にはつり人が入っておりWeb上にもUPされている。ヒグマ出没の看板も写っていたが、これは道内どこでも同じこと。遭遇しないことを祈るだけである。

途中からは山頂部へと続く作業道跡を利用

 庶路ダムへ近づく頃から谷が深くなり、尾根も急峻になる。一見、どこからも取り付けそうにない感じである。ダム堰堤まで行ってタッタマップ橋手前の破線で示された道路を探るが、こちらからでは遠そうな感じ。結局、通過してきた最短地点へ戻り、取り付き地点を探ることにする。道路からは急峻なところばかりが目に付いていたが、北側の小沢の北東面のコンタが緩くなっていて、この面からであれば登ることが出来そうな感じだ。北側の沢の出合に行ってみると、何やら作業道跡らしきものがある。だが、この作業道跡が思った通りのルートを取るかどうかは判らない。我々は直ぐ上の尾根に取り付くことにする。痩せ尾根ではあるがしっかりとした感じでスタートOKである。薄っすら積雪があり、通過して間もないヒグマの足跡が続いている。足跡は比較的小さく若グマのものと思われる。積雪期であれば足跡が残るのですぐに判るが、無雪期であれば何も気にせずに進んでいることだろう。ヒグマも同じ方向へと向かっているようだ。

 痩せ尾根からヒグマの足跡を利用して斜面をトラバースすると広い北西面となる。古い伐採地で、作業用の通路があちこちに見られる。ヒグマの足跡は右側の沢筋方向へと逸れているので一安心。下草が枯れてすっかりなくなったこの時期であればどこからでも登ることが出来る。我々はとりあえず定石通りに尾根上に乗ってみたが、尾根上は倒木だらけで容易ではなかった。尾根のすぐ左側に格好の作業道跡があり、上手い具合に上部へと向かっていた。この作業道跡を利用するのが良さそうだ。

 作業道は途中からかなりの傾斜となってピークへと向かって行く様子。おそらく、この傾斜ではブルトーザ以外には登れないだろう。木々の間からは上部に雲がかかった大きな山が見える。地図を見ていなかったので、大きさから見て思わず斜里岳かと思ったが、メンバーは雌阿寒岳だと言っている。確かにそうだった。白糠の山から遮るものなしに斜里岳が見えるはずなどない。雲が上がるとピークは尖っており、阿寒富士と判明する。

滝ノ上山の頂上に到着 一等三角点「滝上山」と金麦

 徐々に傾斜は緩むが、かなりの地点までこの作業道跡は続いていた。雪面を進んで行くうちに、意外と簡単に滝ノ上山の広い頂上に到着となる。見ると一等三角点で、目立たぬ低山と思っていただけに凄いものを見つけた気分だった。世の中には一等三角点マニアという人種が存在するらしいが、こんなところにもきっと登りに来ているのだろう。後でWeb上を探してみたが、この山の記録は載ってはいなかった。ただ、前述のマニア諸氏全てがホームページやBlogを持っている訳ではないので、それなりにはここに到達した御仁は多いだろう。いずれにしてもレアな一等三角点であることには違いない。ピークからの見晴らしは良いが、目線の位置では木々が邪魔していて、すっきりとはしていない。一番残念なのは、頂上から肝心の庶路ダムの湖面が見えないところだ。何はともあれ一等三角点「滝上山」に金麦を置いて恒例の写真を1枚。マニアの皆さん、ごめんなさいの1枚である。もちろん運転のない私としてはこれをやつけて、腹の底から今回の登頂を祝う。

 下山時、ヒグマの足跡と別れた伐採地を通過する。mocoさん曰く「ヒグマの昼寝場所がある」とのこと。見てみると、確かに倒木で朽ちた樹木の残骸には大きな空洞があり、冬篭りには格好の寝床と思えた。足跡の主が日頃からマイハウスとして使っていても何ら不思議ではない感じである。取付きの痩せ尾根に点々と続く足跡は止めた車の前にも残っていて、ダムへの道路も横断していた。我々がここに到着する少し前に谷底から登ってきて山へと向かったのだろう。ひょっとして、どこか影から自分のテリトリーに侵入して来た人間をじっと観察していたのかもしれない。500m程度の小さな山ではあるが、決して一人では行きたくはない山だと感じた。(2016.11.6)

【参考コースタイム】 入山口 P (ピークへの最短地点) 9:20 → 滝ノ上山頂上 10:35 、〃発 10:55  → 入山口 P (ピークへの最短地点) 11:30 (登り 1時間15分、下り 35分)

メンバー】 Ikkoさん、mocoさん、 saijyo      

 ◇◇山行写真◇◇

駐車地点に残っていたヒグマの足跡 (mocoさん提供)

滝ノ上山_作業道跡から庶路ダム (Ikkoさん提供)

滝ノ上山_山頂 (Ikkoさん提供)

滝ノ上山_作業道跡から阿寒富士 (Ikkoさん提供)

滝ノ上山_山頂の霧氷 (Ikkoさん提供)

 

<最初へ戻る