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      竹山(940.0m) 

除雪終点付近から見る竹山

  /25000地形図「留寿都」

ガスも晴れて、日が差した竹山頂上付近
除雪車の回転場に車を置く
樺山への放牧地は広く緩い斜面である
樺山付近は気持ちの良い樹林帯である

  竹山は留寿都村の東部に広がる緩やかな山塊の第二峰である。付近の最高峰である貫気別山は大規模なスキー場の開発によって、リフトで簡単に頂上まで行けるようになった。二十数年前、まだ一般化していない昆布岳の頂上で偶然に出会った地元の登山者が、当時としては相当マニアックであった貫気別山登頂を自慢していたが、これも今は昔の話である。山全体がスキー場と変わり果てた現在の状況は想像も出来なかったに違いない。登山の対象としては少々興醒めする感じは否めないが、今回見た、スキー場のない南面はまだまだ山域の最高峰に相応しい迫力を見せ、この山にもまだ岳人が活動する場が残されているようにも感じられる。

 この山域一帯には牧場が多く、今回目指した竹山も頂上直下までが牧草地となっている。出来るだけスキー場の喧騒を避けるようにルート取りを考える。除雪の状況も考慮して、洞爺村側の村営富丘牧場からのアプローチとする。この牧場へ通じる道は広く綺麗に舗装されているが、冬期間は牧場が閉鎖されることもあり、除雪は別荘地がある地形図上449m標高点付近までである。

 除雪終点に車を置き、牧場を目指す。この牧場では主に肉牛の生産が行われているようであるが、最近ではこれも縮小傾向とのことである。牧場への途中、目指す728.3m三角点(点名;樺山)へ向う適当な尾根を探すが、白く輝く牧草地が取付きやすそうであり魅力的である。牧場を過ぎ、道路の終点付近がこの牧草地の入口となっている。広々として、どこでも歩けそうな緩い斜面を登って行くと背後には、富岡牧場を始め、周辺部のパノラマが登るごとに大きく広がって行く。コンタ550m付近までが放牧地となっていている。

 牧草地から樹林帯へ入るが、この時期ではまだまだ積雪量も少なく、積雪と笹薮の間の隙間が完全には埋まっていないため、所々で落とし穴のようにスキーごと埋まってしまう。樺山を右に巻き、コンタ710mコルからは徐々に標高を上げて行く。貫別川を挟んで、向かい側の貫気別山のスキー場からは時々、場内アナウンスの音が途切れがちに聞こえてくる。視界が悪いため、スキーヤーに注意を促す内容のようである。こちらはさほど悪い状態ではなく、隣であるにも関わらず天候が大きく違うようだ。西高東低の気圧配置であり、北西側に面しているルスツリゾートの通称“Mt.Isola(貫気別山)は北西風の影響をもろに受けているのであろう。隣同士であっても、こちらは太平洋側ということなのかもしれない。

915m標高点付近はハイマツ帯となっている 竹山頂上に到着

 914mの標高点がある頂上南側のピークに近づく。標高は低いが気象条件が厳しいためか、付近は広いハイマツ帯のようである。前述の笹薮上の積雪よりもさらに性質が悪く、ハイマツと積雪との隙間が大きい上、落ちた時にスキーの舳先がハイマツに引っかかり、脱出するにも一苦労させられる。もう少し積雪が安定すれば、別に何も問題がないようなところであるが、今のこの時期ではスキーツアーには若干早いのかもしれない。今回のルートは距離がある上、日の短さもあって、登頂するには少々厳しいようにも感じていたが、輪を掛けたように最悪のハイマツ漕ぎが頭を過ぎる。竹山とのコル付近まで進むと頂上付近を覆っていた雪雲が消え、初見山である竹山頂上が顔を出し、何となく気持も晴れて来る。915m標高点付近を通過するとさらに幸いなことに積雪が安定してくる。植生がハイマツから笹薮に変わったのであろう。

 竹山頂上は二つ目のコブである。頂上まではけっこう距離がありそうにも感じるが、地形図を見る限りでは1020分ほどの距離である。次のコブは頂上の肩であり、それを越えると右側には直下にまで牧草地の柵が見える。地形図上では知っていたが、牧草地側から見れば、牧草地の頭に過ぎない山なのであろう。ただし、稜線上を伝って辿り着いた頂上は高度感もあり、人工物さえなければそれ相応に山らしい感じである。頂上に到着する頃には日も差し始める。頂上の三等三角点「竹山」は既に積雪の下であるが、頂上からは尾根が分かれており、竹山の頂上であることが確認できる。貫気別山には相変わらず雪雲がかかり、場内アナウンスが注意を呼びかけている。

 頂上北東側の牧草地はスキー下降には絶好のスロープである。当初の計画段階ではこの牧草地を詰める予定であったが、旭野側からの除雪の状況が全く判らず、富丘側のルートは村営の牧場があるということのみが勝っていて、今回のルート選択の決め手となった。道内の情報の乏しい山へのアプローチは、こんな小さな要素も重要な判断材料の一つとなりうるものである。(2004.12.19)

【参考コースタイム】富丘449m標高点付近(除雪終点) 8:50 → 放牧地取付 9:40 → 樺山付近 10:45 → 915m標高点付近 11:30 → 竹山頂上 11:50、〃発 11:55 → 樺山付近 13:05 → 富丘449m標高点付近(除雪終点) 13:40 

メンバーsaijyo、チロロ2

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