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   スルカイ岳(882.3m) 1/25000地形図 蘭部岳  

           ルート図

相沼湖への管理道途中からスルカイ岳を望む

  「するかい?岳」とはなんともへんな山名だが、アイヌ語地名を普通の日本で表すと、こういうことになる。安易な手法だが、このスルカイ山の意味をネットで調べたところ、どこにでもありそうな解釈が載っていた。山・上・林である。現地へ行ってみると、確かに名が示す通りに見渡す限りの山・上・林であった。スルカイ岳でなくてもどこの山も同じであることは言うまでもない。往々にして地名とはこんなものなのだろう。

相沼湖のダム堰堤からはIkkoさんの4WD車に乗り換えて車止めへ

  相沼湖への作業道路を進んで行くうちに、頂上真下に一見して壁とも思える雪崩斜面をまとったスルカイ岳が見えてきた。ダム手前の橋でIkkoさんのオフロード車に便乗し、作業道の入れるところまで入った。Ikkoさんによればこの山には頂上まで歩道がついているとのこと。ハイキング程度の軽い登山である。作業道には「志留景」と書かれた小さな看板があった。おそらくスルカイの宛字なのだろうが、漢字名で意味を考えると面白い。

 作業道は大きくつづらを返して登って行く。あたりの下草は薄いのでショートカットを提案したが、後で考えればこれが失敗だった。上部の道路へ出たところ、先ほどの作業道ではなく集材路である。メンバーはIkkoさんの他、YUさん。彼女も薮漕ぎ登山の愛好家である。それではと、薮に突入してさらなる上を目指すことにした。場所によっては濃い薮も出てくるが耐えられないほどではない。IkkoさんはどこかWeb上の記録から、ルートポイントを予めGPSに入れてきているようで「ここに歩道があるはず」と言っているが、それが一向に出てこない。そうこうしているうちにIkkoさんが刈り分け道を発見した。用意周到なIkkoさん、やはり刈り分けでも道は楽だ。

 しばらく道を進んで行くうちに右岸側にオレンジ色の人工物が風にはためいているのが見えた。何かが風に飛ばされてきて木に引っかかっているのだろう。Ikkoさん、右岸側から巻くのが良いか、正面突破(真っ向勝負)が良いか尋ねてきた。見たところそのまま真直ぐでも頂上へは行けそうに見えたので、迷わず真っ向勝負である。誰かのトレースなどたどりたくはない。

スルカイ岳へは直登することにした
つづら途中からショートカット

 視界が開け、日本海が広がって眼下には相沼湖も小さく見えてきた。スパイク長靴なのだからまだまだ登れる。登って行くうちに何となく登りづらくなってきた。斜面に入ると斜面感覚が麻痺しているのか、先行しているIkkoさんが「ずり落ちる」と言っていって草付斜面へとトラバースしている様子が冗談に見えた。彼がいつも言っている「自分はヘボい登山者」と同列に聞こえてならなかった。彼は単独行を自負しており、自分をヘボいなどとは決して思ってはいない。またいつものあれだと思ったが、実際にIkkoさんが逃げたところまで行ってみると、確かにずり落ちそうで思わず緊張させられた。YUさんは枯れたイタドリが点在する草付斜面を登りながら「草につかまれば大丈夫」と言っている。私も草付斜面に逃げ込んでズリ落ちそうな斜面からは逃れた。イタドリが笹に代わったところで一安心、下を見るとかなりの急傾斜で、ロープ無しでこんなところは下れないと感じた。

 そのまま南側へ伸びる尾根の頭まで登り、そこから頂上への薮漕ぎ急登である。ここは脚力のみならず腕力も必要だ。登高感抜群で、山に登っている醍醐味を謳歌できるひと場面である。空が大きく広がり、大きな反射板が目の前に忽然と現れた。頂上到着である。三角点はYUさんが発見。ピンクテープが付けられた潅木の直ぐ下に雪面から顔だけ出していた。反射板には立ち入り規制の看板は無く、登るのはダメとは書いていないようなのでIkkoさんもYUさんも鉄塔に登って眺望を楽しんでいたが、私にはそんな元気はなかった。

 下山は歩道を使ったが、途中のトラバースが嫌らしい。一部不明瞭なところもあるが、トラロープが残置されているので何となく分かる。トラバースの終了点には例のオレンジ色の人工物が木に引っかかっていた。この時に気付いたが、歩道の入口を示している標識だった。この歩道をそのまま下ったところ、最初にショートカットで斜面を登った地点の少し先に出たが、付近はかなり笹が被っていて、この入口を登る時点で見つけ出すのは難しいように思われた。

 下山後、駐車地点からスルカイ山の山容を見たが、相変わらず頂上真下に壁とも思われる雪崩斜面が見え、われわれが登ったのはこの地点からは見えない影の斜面だと思っていた。ところが、後日この山行記をやっていて気付いたが、正面の壁とも思えるこの斜面こそ、あのIkkoさんがズリ落ちそうと言っていた斜面で、我々が登ったルートそのものであった。(2019.11.23)

頂上の反射板

二等三角点「志留景」と金麦

頂上から難攻不落の沖沢山を望む

頂上から相沼湖をズーム

頂上から江差方面を望む

  
  

  

こんな雪崩斜面を登っていたとは気付かなかった

 

【コースタイム】 林道車止め P 8:45  刈り分け標識(オレンジ色の標識) 10:40 スルカイ岳頂上 11:25、〃発 11:55 刈り分け標識(オレンジ色の標識) 12:25  林道車止め P 13:15   (登り 2時間40分下り 1時間20分)    

メンバーIkkoさん、YUさん、saijyo

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