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      志岳(683.2m)

旧南幌加小学校と壮志岳

 1/25000地形図南幌加

北幌加橋の袂の除雪スペースに車を置く
コンタ550m付近で姿を現す頂上丘陵

  最近、HYML(北海道山メーリングリスト)で見かけることの多くなった、新十津川町・壮志岳へ行ってみることにする。豪雪地帯で有名な増毛山地ということで、当然ながら、この時期としては深いラッセルは覚悟の上である。今回はスノーシューを最初から付けての初挑戦であるが、久々の単独登山ということもあり、逸る気持をいかに抑え、いかにマイペースでラッセルに取り組むかが登頂の成否を分けそうだ。バテてしまえば、その時点でこの山行は終了となる。壮志岳の名はアイヌ語ソウシ・ナイ「滝の多い川」からきたようで、“壮志”と当てたのは、開拓者達の“壮大なこころざしを持ちたい”との思いが込められていると考えるのが自然であろう。当て字とはいえ、総死では縁起が悪すぎる。

頂上付近から見るピンネシリ山(左)とカムイシリ山(右)

Web上の情報から、北幌加橋の工事道路?を目指すが、到着して見た感じでは日常的に除雪車の方向転換の場所となっているようだ。この時期は駐車スペースの確保が悩みの種であるが、この山に関して言えばここのスペースはいつも確保されているようである。橋からは氷結した徳富川上を進み、予定していた斜面の末端付近と思われる地点に到着する。途中、縦横無尽に踏み込まれたエゾシカの足跡が見られ、昨今言われているエゾシカの固体数激増の一端をうかがわせる。

川岸は段差となっていて簡単には上がれそうもなく、大きく回り込んで尾根末端の樹林帯へと上がる。地形図上では一番取付きやすそうに見えた斜面も、見る限りではけっこう立って見えるから不思議である。小尾根が幾つも見られ、途中には通過出来そうもない崖状の斜面も見える。ここは、いつもより慎重なルートファインディングが必要である。とりあえず、ビーコンは付けてきたが、埋まってしまえば自分自身のためには何の役にも立たない。そう考えると、行き詰った際の急峻な沢形のトラバースだけは絶対に避けたいところだ。

まずまずの小尾根に取付いてみる。いつもであればあまり行わない弱層テストも試みるが、昨夜からの降雪の割りには、1m以内に弱層は見あたらない。尾根上の木々をつなぐように急斜面を登って行く。急斜面と緩斜面が繰り返し現れるが、突然岸壁が出現、不本意であるが沢形を横断、隣の尾根筋へとルートを変える。地形図上の等高線からはこの微妙な部分の読み取りができず、自分の読図力の乏しさをつくづく思い知らされる。

スノーシューを履いているのに膝まで簡単に埋まってしまう。仮にツボであったら、いったいどこまで埋まってしまうのだろうか…、直進する時はキックステップのように、疲れればキックターン、果たしてスノーシューの登り方として、これが正解なのだろうか?ついつい考えさせられる。久々の単独山行のせいか、不要な自問自答の時間がどこまでも続く感じである。それにしても疲れる。5m進んでは一休み、10m進んでは一休みといった具合に、呼吸も乱れず気持は前へ進むのだが、足だけが前へ進んで行かない。斜面が緩む度にコンタ550mの広い緩斜面に到着かとつい期待してしまうが、高度計ではまだ100mほど足りないようだ。気持がこうも逸っていては話にならないように感じられるめ、ここらで一つ大休止とする。

登りの途中で、百々瀬氏と登った懐かしい富士形山が姿を現す
壮志岳頂上は樹林の中 登りの途中で、百々瀬氏と登った懐かしい富士形山が姿を現す

急斜面をマイペース々…と言い聞かせながら登りきる。やっと斜面が緩くなり、大きく右側から回り込むように標高を上げると、正面に頂上丘陵が現れる。どうやら、今度こそは本当に550mの広い緩斜面に到着したようだ。一枚の白い布を被せたような、のっぺりと広がる雪斜面が何とも不気味である。下手に取付き、誤ってそのベールの一部でも剥がそうものなら…と、つい臆病になってしまうが、これも慣れぬ単独山行のせいだろう。丘陵部の右端には樹林のつながった部分があり、そこから樹林をつなぐように頂稜部へと上がる。

稜線へ上がってみるとピンネシリ山、カムイシリ山など、樺戸の山々が目に飛び込んでくる。夏、秋と登ったペトウトルンペ山も間近に見え、頭の中では鳥瞰図のように位置関係が広がり出す。雪庇は飛び出しているが、雪崩るほどの感じはない。それでも木々よりは雪庇側へは入らぬよう慎重にルートを選びながら、最後は少し下り気味に進んで小尾根が合流する頂上への到着となる。典型的な冬型の気圧配置の天候ではあるが、途中からは日が差しはじめ、眼下の北空知の平野が白く輝いている。最近、登ってくる登山者が増加しているのか、ピンクテープが結ばれている。時間を越え、この場を共有した登山者達と共に乾杯である。

 下りは速い。スノーシューの魅力は痩せ尾根も急斜面も関係ないといったところにありそうだ。スキーであれば技術の差が歴然とするところであるが、だれもが真っ直ぐに等速で下れるところが何とも凄い。もっとも、面白さという面ではやはりスキーに分がありそうだ。急斜面ではトレースから外れ、緩斜面ではトレース上を進む。結局、登りの1/3の時間で、無事「北幌加橋」の袂へ戻る。(2008.2.3)

【参考コースタイム】 北幌加橋 P 8:40 壮志岳頂上 12:05 、〃発 12:25 北幌加橋 P 13:35 (登山道ルート;上り3時間25分、下り1時間10分)

  【メンバーsaijyo

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