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   1383m峰双珠別岳(登山界)(1383m)

頂上まで約500m、双珠別岳はもうすぐ

頂上まで約500m、双珠別岳はもうすぐ

1/25000地形図「上トマム」「沙流岳」

タンネの森を縫うように管理道は続く
森林限界付近を通過
雪雲の合い間に沙流岳も姿を現す
丁度よいところにパーキングエリアがある 弱層テストを実施 (Luckyさん提供)

双珠別川の源流に位置する1383mピークは、支稜線上1347mピークが林業界で双珠別岳と呼ばれているのに対し、山の世界ではこちらが「双珠別岳」と呼ばれいる。双珠別川の水源の山という意味では確かに理に適っているかもしれない。ただし、1347mピークにも二等三角点「双珠別」が設置されており、山名が決まる経緯を想像すればこちらもあながち間違いとはいえない。いずれにしても二つの双珠別岳が存在しているのは確かである。登山界の双珠別岳はゆったり大きく広がる山容で、山腹に設置された無線中継所の管理道を利用すれば簡単にそのピークを踏むことができる。雪面が硬くなり天候が安定する春先には多くの登山者がこの山を訪れているようだ。

今年の太平洋側は低気圧の通過が多いためか例年になく積雪量が多い。雪の少ない帯広でさえ札幌の積雪量を上回っているそうである。双珠別岳への入口となる管理道入口近くにはパーキングエリアがあり、駐車スペースに悩むこの時期にあっては全く重宝な存在となっている。パーキングエリアからは道路を渡って登りやすそうなところから雪の壁を登る。そこでスキーを装着して少し登るとアプローチとなる管理道に出る。道路上は膝下くらいのラッセルで、この時期のこの山域としては多少深い感じである。傾斜は緩く、アップダウンがほとんどないだけに下山時には楽ができそうだ。1038m標高点のカーブを過ぎてすぐの斜面から取り付く予定であるため、そこまでは辛抱のラッセルである。

電柱が続く管理道をラッセルすること約2時間、予定の取り付き地点に到着する。山口県から参加の几帳面を地で行くTさんはスコップを取り出してさっそく弱層テストである。70cm以内に弱層はないとのお墨付き、いよいよピークを目指して斜面入りとなる。やっと山登りらしくなるが、30分も登るとすぐに森林限界である。展望が大きく広がり、雪化粧したタンネが点在する様は正しく北海道の山そのものだ。日勝峠付近の山々や鋭角的な沙流岳が雪雲に見え隠れしている。さらにその奥にはうっすら日高の稜線も見えるがそこがどこであるかは判らない。凍てつく寒さのためか空気中の水分が細かな氷晶となって舞っている。日が差せばサンピラーも見られそうだが、十勝平野付近までは低い雪雲に覆われており、日差しは期待できそうにない。さあ、いよいよ最後の詰めである。

稜線に近づくと単独行の登山者が一足早く頂上へ向かっている様子が見える。稜線上をたどって来たようだ。稜線上の雪はクラストしていて、所々でハイマツが顔を出しエビのしっぽも見られる。冬型の天候では吹く風も冷たく、風下側を登ってきたのは正解であった。確かに稜線上ではラッセルが少ない分だけスピーディに動けるのかもしれないが、冷たい北西風にさらされるのは御免である。第一、休憩時の一服もあずましくない(北海道弁で失礼)。当初は熊見山経由での登頂も考えてはいたが、このルートに切り替えたのは距離の短さだけではなく、そんな理由からでもある。

最後のひと登り スノーモビルとチロロ2さん… 乗ったら楽だべな〜

頂上はとにかく冷たい風の中であった。視界は雪雲の通過のためかほとんど無く、オーバーヤッケのフードを被って風下側に向かって一息入れる。スノーモビルのグループ5〜6人が占有している格好だが、さすがの寒さのためか爆音を残しそそくさと下っていった。春先に多かったスノーモビルも近頃では厳冬期にまで出没するようになった。北海道の山はなだらかな山容が多く、この双珠別岳もご多分に漏れずどこからでも登ることのできる山である。残念ではあるが今後ここにやって来るスノーモビルの数は間違いなく増加して行くことだろう。我々も直ぐに風のない斜面へと下ることにする。

北西風にさらされない尾根下でシールを外してパイプの煙、いよいよ新雪スキーの醍醐味である。特にこの瞬間のために遠く山口県からやってきたテレマークスキーのTさんには堪えられないだろう。新雪ならぬ深雪のため、ブレーキがかかって“雪煙舞う滑り”とまではいかないが、まずまずの滑りである。さあもうひと滑りと思った時にはすでに管理道へと飛び出してしまった。そのままの傾斜で滑って行きたいところだが、行き着く先は沢地形の中、ここは往路のトレースを忠実に引き返すのみである。

登山界の双珠別岳は林業界の1347m・双珠別岳のような人を寄せ付けぬ険しさはないが、アプローチの手頃感や展望の良さを考えれば春山ハイキングには格好の山といえる。そんな意味では「双珠別山」と呼んだ方が区別する上でも山容を比較しても妥当と思える。もちろん私の個人的な提案ではあるが…(2010.1.10)

■Luckyさんのblog

【参考コースタイム】

パーキングエリア 7:50 管理道取付き地点 9:55 双珠別岳頂上 11:25、〃発 11:35 パーキングエリア 13:00

 (登り3時間35分、下り1時間25分 休憩時間も含む)

メンバーTさん(山口県)、Luckyさん、saijyoチロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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