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      ソロアンナイ(931.8m)

 

/25000地形図「岩清水」

出合まで約4km地点でゲートがある
赤い実を付ける木イチゴ
赤い実を付ける木イチゴ
北面の直登沢出合から沢を見る
ナメの小滝が続く
いよいよソロアンナイ頂上へ
いよいよソロアンナイ頂上

当初の予定では新冠湖の奥に位置する保留寒山へ登るつもりでいたが、先に現地入りしているKo玉氏から、解放されていたはずの林道が施錠されているとの連絡があり、急遽ソロアンナイという山も岳も付かない山への転戦となる。報告によるとシュンベツ川沿いのオクルンベツ林道は開放されていて、いつでも入林可能とのことである。ただし、実際に林道へ入ってみて判ったが、修復後の真新しいバラスが敷かれていたり、“路肩弱し”を示すピンクテープが随所に見られたりで、この林道では崩壊が日常的のようであるさらに春別ダムまでが遠い。直線距離で10km以上、曲折している林道を考えると30kmくらいはありそうだ。しかも、かなり高いところも走っていて片側がスッパリと切れ落ちている。降雨時ではなくても運転には神経を使いそうである。

ソロアンナイの名称の由来を知りたくて中標津・すがわら氏に掲示板を通して聞いてみたところ音(オン)で解釈すれば「私、もしくは我々が座る岩の在る沢」とのResを頂く。あまいものこさん(甘藷山荘管理人)からは南東面の沢・ソーウシベツ辺りが語の起源の可能性ありとの書込みがあり、網走・伊藤氏からも三角点「層雲内」からの転化ではないかとの意見を頂く。私もこの山名は国土地理院が三角点名をもとに、地形図上に表現した山名ではないかと思う。真中の“ロアン”については説明がつかないようであるが、意外にひょんなことからソロアンナイとなったのかもしれない。中標津・すがわら氏によると“ソウウンナイ”とは滝の多い沢という意味で、層雲峡は“ソウウンナイ”の代表例とのことである。この山の南側を流れるシュンベツ川はこの付近からは険悪な函の連続となり、他の河川と比べれば相対的に“滝”と表現されても決しておかしくはない。この山域の“ソウウンナイ”は付近のシュンベツ川の地形から来ているのではないかと推測されるが、真意の程は定かではない。

ソロアンナイへのルートを二つ考える。一つは南側のシュンベツ川から北へ向う地形図に水線が記載されている沢で、こちらは林道走行も短く、取り付きやすい。しかし、沢は比較的長く、上部の詰が複雑そうである。一方、我々が選んだ方はイドンナップ川沿いの林道からソロアンナイの北側へ回り込み、短い沢を詰めるルートである。林道歩きは長いが沢歩きは短く、時間的にはこちらに分がありそうだ。林道は施錠されており、約4kmの林道歩きである。途中4〜5ヶ所で崩壊しており、例えゲートを越えたとしても車の走行は約1km先のアメダス手前までで、恐る恐る車を走らせるよりは、林道がしっかりとしているうちに車を置いた方が無難である。途中の橋では橋だけはしっかりとしているが、橋につながる部分の土が流され不安定な状態となっている。出合が近づくと林道崩壊はさらに激しくなり、シカ道を辿って崩壊地を通過する。護岸のコンクリートが妙にしっかりしていて、このまま崩壊してしまうであろう林道がもったいない感じである。

出合からは細い流れが続き、途中では伏流となって一旦流れは消える。左岸には崩れて跡形もない集材路も見られるが、ほとんど見分けが付かない。時期的に恵まれたのか、木イチゴが赤い実を付けている。口に入れると甘酸っぱさが広がりなかなかの美味しさである。近くにはヒグマの糞も見られ、彼らにとっても大事な山の幸と言えるのかもしれない。570m二股からは集材路(下山時に判明)のある左股ではなく、直接頂上へ向う右股にルートを取る。狭いナメが続くが、登れないような傾斜ではない。沢登りとしてはかなり短く、どちらかと言えば急峻なルートで、どんどん標高を上げて行く。右股へ入って10分も進んだだろうか。傾斜がややきついスラブ状の滝が現れ、この日初めての行き詰まりとなる。両岸はチムニー状となっていて、無理すれば突破できそうだが、登頂を第一の目的としている以上、ここで無理する必要はない。落石に注意しながら一つ手前の枝沢の分岐まで戻ることにする。分岐からは枯れた左股へ進路を取る。直ぐに沢形は急な斜面に消え、草木に捕まりながらの藪漕ぎとなる。たとえスラブの滝を乗り越えていたとしても、結果的には同じ状況であろう。足回りのスパイクを利かせ、思いのほか長い薮漕ぎの末、稜線上へ飛び出す。

ソロアンナイ頂上にて
いよいよソロアンナイ頂上

二等三角点「層雲内」は土に埋まっていた

稜線上はかなり明瞭なシカ道が続いている。遠く感じられた頂上部も意外に早く目前に姿を現す。真夏の笹薮はかなりの暑さで、吹き出る汗が止まらない。頂上手前の小ピークで一休みと思っていたが、メンバーの一人が冬山のコルでの辛い寒風を思い出したのか、コルへ下っての休憩を提案する。下ってみると、確かに谷間から心地よい冷風が吹いており、生き返る思いである。季節が違えば、快適な場所も入れ替わるようである。頂上へはここから一登りである。ソロアンナイの頂上は疎林の笹薮で、期待した展望は得られない。一番高いと思われる場所で発泡スチロール片を見つける。おそらく対空標識の残骸であろう。であればと周辺で三角点を探すが、なかなかみつからない。しばらく皆で探した末、チロロ3さんが土に埋まった二等三角点・層雲内を掘り当てる。自身で三角点を探し出すのは始めてとのこと。正に「夢を掘り当てた人」である。日差しの強い頂上はさすがに暑く、樹林帯の日陰へ逃げての休憩とする。

遠く奥深きピークと思われたソロアンナイであるが、結局のところ長いのは林道走行と林道歩きであり、山としては短い沢詰めと少しの藪漕ぎだけであった。日高の奥深い低山の攻略法は、やはりそのアプローチ選択と車の走行の可否にヒントがありそうだ。(2006.8.13)  

 参考コースタイム】 林道・ゲート 8:45 → 北面の直登沢出合 10:00 → ソロアンナイ頂上 12:50 、〃発 13:25 → 北面の直登沢出合 15:20 → 林道・ゲート 16:25

メンバー】Ko玉氏、Yamaさん、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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