尻岸馬内山(772.2m)
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1/25000地形図 「島ノ下」
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除雪車の回転場に車を止めさせてもらう |
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低山のわりには雪庇が発達している |
尻岸馬内。“しりきしまない”と読む。富良野市の西側に位置している。富良野市周辺には有名な山が数多くあるが、標高が低く小さなこの山は、国道38号線上からも富良野市内からもよく見えるにも関わらず、名前のある山として見る人はほとんどいない。前日、班渓幌内山で会った地元山岳会のYama氏の情報では、この山は“雪崩斜面”に囲まれているので、この山と野花南岳を目指すのであれば南側の近藤山を経由するルートの方が安全とのことであった。地図を見ると確かにどこをルートとしても、どこかで急斜面が出て来るが、今回のルートとして考えた北東尾根は何も無いと読んだ。
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頂上まであと少し | 尻岸馬内山頂上に到着 |
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夕張山地の山々も、すぐ近くに望むことができる。 | 頂上からは十勝連峰が望まれる |
今の国道38号線は、平成8年修正測量・現地調査の地形図では予定線として記載されているが、滝里ダムの完成によってルートが変り、北東尾根に取り付くには都合がよくなった。富良野から向かって、滝富大橋の手前に除雪車の回転場(駐車ご遠慮下さいの看板あり)がある。付近に適当な駐車スペースがないため、当日は晴天との予報でもあり除雪車が出動する機会はないものと判断、ここに車を駐車させてもらう。
北東尾根の取り付きは、滝富橋を渡った橋の袂である。ここからスキーを付けて入林するが、辺りは伐採作業のためかなり荒れている。尾根上を忠実に辿るが、途中何箇所も林道を横断する。遠くからチェンソーの音も時々聞こえてくる。営林署の統廃合で規模が縮小した林業であるが、伐採作業は現在でも続けられているようである。尾根上は、総じて潅木の密度が濃いため、枝が邪魔して歩きづらい。標高450mからは内陸の低山とは思えないような雪庇が現れ、さらに歩きづらくなる。北風をまともに受ける地形のためであろう。
.545手前の左側は地図上では表現されていない岩壁が現れ、尾根もスキーではとても登れない急斜面である。スキーを外し、それを杖代わりに使いツボで登ることにする。地形図でこの尾根を見るがぎり、前日のYama氏の「雪崩斜面」の情報はなかなか信じることはできず、もう少し上がりやすい尾根と読んでいた。しかし、地元山岳会の生きた情報は、やはり何度も入山した体験に裏打ちされているものであり、素直に聞くべきであるとつくづく感じた。
.545からも引き続き、雪庇上を忠実に進む。所々に土が剥き出しになっていて、糞が堆積した“シカの寝床”を見る。以前にも何度か同じものを見たが、何れもほとんど人が通りそうもない尾根上であった。この尾根も滅多に登山者が通らないルートなのかもしれない。
標高700m付近で左手の尾根と合流し、このコブを越えると尻岸馬内山のピークが見えてくる。東側には何も視界を遮るものがなく、白く輝く十勝連峰が見える。ほどなく左側へと廻り込み、最後の斜面を登ると尻岸馬内山ピークである。頂上では雪庇が発達しており、端に近づき過ぎるのは危険である。頂上からは十勝連峰や大雪山周辺、また南側には芦別岳や夕張山系の中岳、中天狗などが見渡せ、展望は見事である。(2003.2.23)
【コースタイム】除雪車回転場 7:56 → .545手前急斜面 9:41 → 尻岸馬内山頂上 11:13、 〃 発 11:41 → 除雪車回転場 13:35
【メンバー】saijyo、チロロ2