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    尻別岳(1107.3m) ・・・ 登山道が長くなったのはなぜ?  

 

橇負山方面から尻別を望む

   

1/25000地形図 喜茂別

頂上へまっすぐに伸びる登山道
雪渓のため 途中で車を止める
雪渓をつないでコルへと向かう
この日目だったコキンバイ

  尻別岳へは以前に何度か登ったが、今回行ってみて登山事情が大きく変わったことには驚かされた。以前にこの山へ登るには喜茂別側に登山口があり、急ではあるが1時間半くらいで登っていたように記憶している。今現在の登山口は留寿都側となっている。結論から言えば、正式な登山口はウエストマウンテンこと橇負山(715m)で、ゴンドラでこの山の頂上へ登ってからスタートするのが正しい登り方のようだ。以前は大和ルスツスキー場と呼ばれていたが、運営会社が変わって、今はK観光のルスツリゾートスキー場となっている。橇負山の頂上一帯は登山といった雰囲気などはまるでなく、今風のしゃれたパワースポットとなっていたことには驚かされた。里山がこうも変身させられては当サイトとしても何かしらの焦りを感じざるを得ない。

 私は西側の北海道中央農場後志分場から入ることにしたが、道路には雪渓が残り途中までしか入れない。路肩に車を置いてスタートとするが、登山口となる橇負山は全くの逆方向で、何とも遠そうな感じ。地形図と見ると進む方向の逆側にコルがあり、たとえ藪漕ぎとなっても直接コルへ向かった方が間違いなく速いと思った。最初のカーブがコルとの最短地点。上手い具合に雪渓が残っていたのでこれを使わない手はない。早速入ってみるが、意外に雪渓がつながっていて、コルへはかなり近くまで行けそうな感じである。なぜ、このカーブが登山口でないのかが不思議でならない。結局、距離にして500mほど、雪渓からはわずか100mほどの藪漕ぎに過ぎなかった。いっそのこと笹刈機でも借りてきて、ボランティアで刈ってしまうのも社会貢献かと思われた。

 雪渓の消えた地点からコルまでの藪漕ぎは、笹が逆向きでそれなりに消耗させられた。しかし、無駄な歩きを強いられるくらいなら、私としてはこちらの方が絶対に納得できる。籔から飛出すと立派な登山道となっていて、大迫力で迫る尻別岳へと真っ直ぐに続いている。ここから橇負山へはひと山越えて行くことになるが、登りと下りで同じところを二回登る必要はないように思われた。登山というのは人間本来の欲求で、ルート的にも自然体であるべきだと思う。ただ、ルートからの展望に関して言えば、確かに以前のルートよりはこちらの方が優れているかもしれない。洞爺湖やその周辺の山々、札幌近郊の余市岳〜無意根山のライン等、有名どころが一望のもとだ。中でも残雪で粧飾された後方羊蹄山の姿は特筆ものである。

 登山道は上部で一部崩れてはいるが、概ね登りやすい。振り返ると先に出発した登山者がコル付近を登ってくるのが見える。ズルをした私としては何となく後ろめたさを感じるが、致し方ないところ。コンタ1000mまでは急な登り、一汗かくと頂上部の平らな登山道歩きとなる。風は少し強いが心地良さは格別で、眼下に広がる大パノラマを楽しみながら頂上へと向かう。少し登ると雪渓が広がっており、その雪渓の消えたところが三角点のある頂上だった。真正面に後方羊蹄山の大きな姿があり、この山ならではの眺望を楽しむことが出来る。例によって三角点に金麦を置いての記念撮影。一連の恒例行事を終えた頃に登山者が上がってきた。

 話を聞けば、sakag氏の「一人歩きの北海道山紀行」のファンとのことで、sakag氏に会ったことはないそうだが、氏のことを詳しく知っていた。情報化の時代とはいうが、多くの登山者の間に浸透し、ネットと登山の結び付けのさきがけとなった氏の功績はかなり大きいと感じた。また、EIZI@名寄氏のことも知っており、氏の「北の時計」も未だ健在といった感じである。いずれにしてもネットによる情報収集が当然となり、それが及ぼす影響の大きさは登山というジャンルの中では不動のようである。

残雪で粧飾された後方羊蹄山 二等三角点「後別岳」と金麦
残雪で粧飾された後方羊蹄山 二等三角点「後別岳」と金麦

 登山者に別れを告げて、一足先に下山とする。下りはいつの時でも速く、あっという間にコルとなる。さて・・・ 籔に突入して車へ向かうのは簡単だが、山行記を記すにあたり橇負山の様子も見ていかなければならないだろうと思った。登り返しはいつの時でもつらいもの。ゆっくりと尾根道を登り返す。眼下にはルスツリゾートが広がっている。この遊歩道はこの先まだまだ続いており、橇負山が見え隠れしながら徐々に近づいてくる。最後は広い道路に出て終了となったが、出口には「尻別岳登山口 留寿都村」の立派な看板が立てられていた。橇負山へは少し歩くが、途中「幸せの鐘」の音が何度も聞こえてくる。頂上には平日にも関わらず多くの人たちが訪れていて、私などは全く場違いな感じであった。パワースポットについては以下の記述が出所である。

山頂は風水的にも評価が高いパワースポット。山頂ではぜひルスツ名物「幸せの鐘」を鳴らしてください。羊蹄山に向かってルスツの合言葉「be happy!!」を叫べば幸せになること間違いなし!! 撮影スポットにもオススメです。羊蹄山はアイヌ語でマチネシリ(女山)、そりおい山からの繋がりにある尻別岳はピンネシリ(男山)といわれ、昔から夫婦山と言われています。羊蹄山は、アイヌ神話では神様が最初に創造した土地であり、そこから広がり北海道ができたとされています。このそりおい山(ウエストマウンテン)は風水では尻別岳から発する龍脈{エネルギーのパイプライン}にあたり、丁度龍の頭の位置で、秀気と貴気に満ちたエネルギーが供給されています。秀気とは元気の源であり、富気をつかさどっています。貴気とは社会的に地位の向上を期待できる気ですから、ここは大変に縁起がよいスポットです。

信じる、信じないは各人それぞれだが、信じるものは救われるというのもありかもしれない。だが、1つ言えることは、登山者と観光客は似て非なるもの。登山道をいたずらに長くして、登山者までこのリゾートに引っ張り込もうというのであれば迷惑な話だ。喜茂別側の登山道の復活とまでは言わないが、コルへの短絡路くらいはぜひとも開削してほしいものだ。 (2016.5.13)

参考コースタイム】北海道中央農場後志分場道路 P 10:15 → 尻別岳頂上 12:00 、〃発 12:40 橇負山頂上 14:00 北海道中央農場後志分場道路 P 14:35 (登り1時間45分、下り1時間55分 休憩時間を含む)    

メンバーsaijyo

 **山行写真**

軍人山から 尻別岳、橇負山を望む

コルから望む尻別岳

途中から橇負山方向を望む

尻別岳頂上

 

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