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      坊主山(白鳥山)(776.1m) 

標高は低いが山域屈指の名峰、鷹泊・坊主山(白鳥山)

  
                           

 1/25000地形図「鷹泊貯水池」「長留内岳」

林道途中に車を置く。これ以上は車がかわいそう
Ko玉氏を先頭に無名沢を詰める
さてさて、稜線は近い
三等三角点「白鳥山」を発見!
遠かった頂上に到着して大満足

私にとって今年は坊主山の当たり年である。国縫の坊主山、幌加内の坊主山と登ってきたが、道内にはまだまだ多くの坊主山がある。全部で13座、そのどれもが全体的には樹木が少なく、木々に覆われていないということでこの名となっているようだ。その中で一番美しく、登高欲をそそられるのが今回の鷹泊・坊主山で、奥深く簡単には登れないことが余計に憧れへの思いを強くさせていた。地元では白鳥山(しらとりやま)と呼ばれているようで、地元の老人に坊主山と尋ねても判らなかったが、白鳥山と言い直すとすぐに頷き、山登りであればピッシリ山の方がよいと諭される始末であった。一般的に登山道の整備された山は登山の対象としては良い山ということになるのだろうが、我々に登山道の有無は関係なく、その意味では変わった集団と映ったかもしれない。

頂上への何通りかのアプローチを考えるが、甘藷山荘・あまいものこさんの太刀別林道からのルートは少々遠く、鷹泊貯水池からの坊主の沢川は地形的に険しそうである。山の時計・EIZI@名寄さんとOgiさんが取ったニセイノシュケオマップ川からのルートは、林道走行は長そうだが遡行距離は短いようなので、日の短いこの時期ということもあり、彼らがたどったこのルートからのアプローチと決める。幌加内の森林管理所で入林許可証とカギ番号を確認、三滝の沢林道へと向かう。道道126号(小平・幌加内線)をそのまま進むが、未開通の道道はゲートとなり、はたと困る。ちょうどキノコ採りで来ていた地元の老人が「この道路はたとえゲートが開いたとしても500mくらいで無くなってしまう。林道へ入るのであれば直ぐ手前が入口である」と教えてくれた。気の早い我々は坊主の沢川への転戦を考えていた矢先でもあり、地形図の細かなところを見落としていたと反省する。

頂上から望む三頭山(中央)と小平蘂山(左下) 西側には留萌ポロシリ山が見える
遠くには天塩岳付近の山々が 岩壁が特徴的な大天狗岳も眼下に

三滝の沢林道はしっかりとしているが、轍の間には草が少々繁っていて、車高の高い車であれば問題ないが、乗用車ではナンバープレートに当る音がどうにも気になり、低速走行を強いられた。ニセイパロマップ川を渡る白鳥橋手前の分岐で通行止めのゲートとなる。橋からはさらに草の繁った状態となり、無理して車を入れたところで数百mが限界と感じる。車を置いて林道を歩いていると、先ほどゲートで出会った老人のグループが軽四輪で再び現われる。まだ先に入れるのかと思ったが、数百m先で道路は崩壊していて彼らもそこまでとのこと。後で判ったが、Ogiさんの情報では地滑りによって崩壊したそうである。崩壊現場は1m程度を残し、スッパリと無くなっていた。車から降りた彼らは途中まで一緒に来て、登頂を狙う我々へのはなむけか爆竹を鳴らして見送ってくれたが、さらに奥へ入って行く我々にはあまり意味がないし、クマよりも何よりも我々がびっくりした。

地形図上の林道終点を通過したが、林道はまだまだ続いている。記録に載っているEIZIさんとOgiさんが車を置いた場所はてっきりここだと思っていたため、歩いて10分の入渓地点が508m小ピークを回り込んだ先の頂上付近へ突き上げる小沢であると勘違いする。車を停めた地点からは直線距離にして約3km、実際に歩いた距離は4〜5Kmといったところである。ニセイノシュケオマップ川の水量もあまりないが、この小沢となるとさらに乏しい。早い段階での藪漕ぎが予想されるが、EIZIさんの記録を読む限りではそうでもなさそうだ。コンタ400mの二股は水量が同じくらいだが、藪が被って本当かな?と思われる右股へと進路を進める。細かな蛇行を繰り返してなかなか標高は上がってこないが、付近は地形図上からは細かなところまでは読み取れず、地形を把握することは難しい。野生の感?を持つといわれるKo玉氏が自信を持って間違ってはいないというのだから正解なのだろう。それにしても、Web上で見たEIZI@名寄さんが一服している大岩とはいったいどこなのだろうか?遡行中の我々には尽きない話題である。

水流が除々に減っている気はするが、沢の様子にあまり変化はない。途中1〜2mの小滝が一ヶ所、この沢で現われた唯一の滝である。この時期としては少しでも体を濡らしたくないので、右岸から巻くことにする。そうこうしているうちに前方に源頭を感じさせる斜面が現われる。そのまま詰めれば640mコルとなるが、コンタ590m付近の分岐を左側の沢形に入って稜線に飛び出した方が効率が良いとの話になる。沢形は急登となりすぐに藪斜面へと消えてしまい、となりの沢形へと移るが、ここも結局は根曲がり竹の強烈な藪漕ぎが待っていた。遅い出発時間に少々焦りを感じていた私は、途中でのカロリー補給を怠っていたこともあり、精も根も尽きて先頭を交代してもらう。チロロ2さん、小柄なLuckyさんが彼女らの背丈を遥かに超える根曲がり竹に果敢に挑むが、一進一退といった感じである。最後はKo玉氏、彼は疑い深く、横への偵察も欠かさない。ハイマツの真正面突破かと思われたが、上手い具合にこれ交わし、夏場にはお花畑と思われる草地へと抜ける。ここまで来ればしめたもので、背後には鷹泊付近の平野が広がり頂上は目と鼻の先である。

頂上から鷹泊付近をズーム 戦い終えて、帰路をひた走るKo玉車と坊主山

人間のものか獣道かは判らないが踏跡まで現われ、最後はあっけなく小高い頂上に到着する。三角点らしきものが横たわっているが、よく見れば対角線の十字であり、これは林班界か市町村界を示す標石のはず。皆でしらみ潰しに正式な三角点を探したところ、チロロ2さんがそのすぐ横に埋まる三等三角点「白鳥山」を発見、ここで改めて頂上到着とする。気がつくと展望は抜群で360°言うことなしといった感じだ。Luckyさん曰くはシートートムシメヌ山以来の大パノラマとのこと。深川付近の北空知の平野、その向こうには暑寒や樺戸の山並み、大雪山や夕張山地の山並み、目を北に転ずれば三頭山や小平蘂山、さらにはピッシリ山や岩壁が特徴的な大天狗岳等々、いちいち挙げたらきりがないほどよく見える。海の向こうの焼尻島までもが確認できるから凄い。

帰路は640mコルまで藪漕ぎで下り、往路の小沢を源頭から下るが、EIZIさんの休む大岩はとうとう姿を現さなかった。なぜだろうか?考えたあげくの回答は帰りの車の中でLuckyさんが見つけた。彼らのトラックログは我々が入った小沢よりもさらに先の沢にあり、崩壊していない林道はさらに奥までの走行が可能であったということだ。結局はルートをよく見ていなかった私の失敗だが、とりあえずは最短ルートということで納得する以外になさそうだ。ともあれ、鷹泊・坊主山は予想通りに、山容もそうであるが頂上展望も第一級といえるこの山域屈指の名山であった。(2009.09.21)

LuckyさんのBlog

 【参考コースタイム】林道P・白鳥橋から少し先 9:20 小沢出合 10:15 泊坊主山頂上 12:35、〃発 13:15 小沢出合 14:50 林道P・白鳥橋から少し先 15:45   (登り3時間15分、下り 2時間30分 休憩時間を含む)

メンバー】Ko玉氏、Luckyさん、saijyo、チロロ2

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