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            白老岳(968m)

帰り際に姿を見せた白老岳

1/25000地形図白老岳」

途中から白老岳方面を望む
頂上は北西風が吹きすさんでいた
二の沢林道の入口に車を停める
スキーをデポして最後の登り
天候は急激に回復、南白老岳も姿を現す

 最近の登山事情の一つとして、夏道が無くても冬山登山として人気のある山が多くなってきたことが挙げられる。歩くスキーやスノーシューの普及が冬山への敷居を低くしたようで、スキーは苦手だがスノーシューであれば…と思う登山者はけっこう多いようだ。札幌市内の藻岩山や円山、室蘭の室蘭岳などはツボ足でも気軽に登れる“冬山”であるが、スノーシューを取り入れることによって、さらにスノーハイクといった次の段階へと世界が広がる。特に3〜5月にかけてが山のベストシーズンといった、以前から山ヤさんであれば誰もが持っていた認識は一般登山者へも着実に広がっていて、このシーズンを中心に積雪期の登山者が急増したようである。そんな中で人気の一山にこの白老岳がある。他の登山者と出くわす事が少ない我々も、この日ばかりは冬山スノーハイクの一員である。

前日、道の駅「フォーレスト276大滝」の駐車場に泊まり、恒例となった車中の宴会でつい飲みすぎてしまい、完全に寝過ごしてしまった。入山口に予定した二の沢出合へは2kmほど国道を戻るが、予定よりも遅れての到着となる。白老岳が有名どころであるといった油断もあったが、道の駅では地元の若者がタイムラリーを楽しんでいて、うるさかったことも原因している。彼らも話せば素直そうな若者達であり、無下に邪魔しては悪いようにも感じた。登山口では既に4人パーティが準備完了の状態で、ふと気付いた時には既に出発していた。もたもたしている我々を尻目に、さらに別のパーティも現れる。何時もであれば当然のことながらスタートから深雪ラッセルの開始となるところだが、この日に限っては既に登山道状態であり、トレースと平行して新たにラッセルする必要性は感じない。ラッキーといえばラッキーであるが、ここは先導者に感謝しつつラッセル跡を有難く使わせてもらうことにする。寝坊によるロスタイムと我々のラッセル力では時間切れとなるところであったが、この日の多勢に無勢の状況を見る限り、昼前にはすんなり登頂できそうだ。この状況を知ってか、我々よりもさらに遅れて到着するパーティが現れたのには驚かされる。

スタートからルートファインディングもせずに進んで行くが、先頭が間違えないといった保障などどこにもない。まあ、違えば違ったで、その時考えればいいさ…と自分に言い聞かせ、美しいタンネの森に続くトレースをゆっくりと進んで行く。前夜の降雪が木々に張り付いて大きく膨らみ、北海道らしい景色が続く。最初は急斜面であるが長くは続かず、平らな、ところによっては緩い下りの平地歩きがしばらく続く。何も考えないというのは楽なもので、ザックを背負わず空身で歩いているような感覚である。ゆっくり歩いていると後から迫る次のパーティの話し声が聞こえてくる。追い付かれてはばつが悪いので、幾分スピードアップを計るが、そもそもはスタートからハイキング気分であり、後続にはあっさりと抜かれてしまう。

そうこうしているうちに870mのコブに到着する。天候は降雪状態で、目指す白老岳は視界不良で望めない。先行パーティはここでシールを外して滑降開始のようであり、続くパーティも休憩に入ったようである。ここからは我々が先頭となり、深雪ラッセルにて白老岳本峰を目指すことにする。地図もろくに見ていなかったため、真正面の北西斜面に取り付くが、冬型のこの日の天候では東側へ回り込むべきであったと後で気づく。北西面の雪の付き方は微妙であり、シールの利きも今一である。最後はスキーを諦め、ツボで頂上へ這い上がる。後続パーティは東面からスキーを着けたまま登ってくる。もちろん我々の下りは向い風となり気温が低ければかなり辛いところである。もう少し深い読みがあっても良かったようだ。だが、これぞ冬山といった風をまともに受けて、急斜面をツボで上がって行くことによって気持が高揚するのは事実であり、やはり冬山は素晴らしいと実感できることは何にも代えがたい。頂上では記念写真を撮って、そそくさと下山を開始するが、皮肉なことにスキーのデポ地点への途中から俄かに日が差し始め、急激に天候が回復する。日に輝く945m峰(通称;南白老岳)が何とも神秘的であり、霧氷に覆われた木々とのコントラストが実に美しい。コブに戻って振り返ると、きれいな三角形の白老岳が我々をあざ笑うかのように白く輝いて見える。

 白老岳は噂に違わず素晴らしい山であった。下りの滑りもパウダースノーで、途中の平坦地を差し引いても全く申し分ないコースといえる。ただし、如何せん取組み姿勢が不味かったようである。どんな山行であれ、積極的に取組むところに充実感があり、満足感が得られるものである。トレース泥棒は致し方ないところであったが、870mコブから先のモード切り替えの速さはやはり必要だったようである。(2007.1.14)

【参考コースタイム】 二の沢林道入口P 8:45 → 白老岳頂上 11:20 、〃発 11:25 → 途中、870mピークにて休憩 → 二の沢林道入口P 12:40

  【メンバー】Ko玉氏、saijyoチロロ2

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