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    白神岳(352.4m)

福島町・松浦地区から見る白神岳

 

1/25000地形図 「白神岬」「渡島福島」

植林地と遠く松前の街
白神岳がぐんと近づく あと一息!
白神岳頂上から望む東側の海岸線
一等三角点に腰掛けるチロロ2さん
今回は天狗山頂上まで車を乗り入れる
天狗山頂上のNHKの通信施設  青い空に映えていた
思い車両が通ったようで、轍が沈み込んでいた
一等三角点「白神岳」と金麦

  白神岳は道内最南端・白神岬の山である。正確なところでは天狗山が最南端のピークとなるが、こちらはほぼ頂上まで車で乗り入れたこともあって、登頂ピークとしてのカウントはしないことにした。だが、私としてはこの天狗山こそが昨年中で最も印象に残った一山である。毎年年末になるとHYML(北海道山メーリングリスト)の企画で「今年の1名山」を募集しているが、昨年の私の一山は、当然この天狗山とした。昨年の夏に白神岳を目指した折、アプローチとなる天狗山への作業道路(NHKの鉄塔が建っている)が夏の豪雨のために雨裂が走り、車は麓の墓場まで、後は歩いて登ることになった。その途中、カーブを曲がった先で日向ぼっこをしているヒグマと遭遇、こちらに気付いたヒグマが立ち上がり、対峙した状態となる。私としてはかなりの危機的瞬間だった。思わず後退りしそうになったが、逃げては拙いと思い直し、デジカメを取り出してヒグマに向ける。セットアップまでの短い時間、ヒクマは首をかしげてこちらを見ていたが、直ぐに方向を変えて立ち去って行った。今回、さすがに時間も経っており、昨年のリベンジということで同じルートから再び白神岳に挑戦してみることにした。

 今回も墓場から歩くつもりだったが、管理道路の雨裂が補修されて埋まっていたため、そのまま走行することにする。急カーブと急登の連続で、オートマチック車だがLowで上がって行く。幾つものカーブを回り、途中の分岐を過ぎた次のカーブがヒグマとの遭遇場所、さすがに車であれば心強い。難なく現場を通過、直ぐに終点となる。車三〜四台分の駐車スペースがあるが、ひょっとしたら上って来るかもしれない作業車の邪魔にならぬよう、端っこに車を止める。車を降りた時点から展望は抜群で、青い海とその向こうに見える松前の街がとても印象的だ。天狗山は目と鼻の先で、わずか30段程度の階段を登って鉄塔の立ち並ぶ天狗山の頂上に立つ。目指す白神岳にも鉄塔が立ち並んでいて、そこまでの山の斜面には笹を刈った跡と松の幼木を覆うプラスチック製の獣害保護管が無数に目立ち並ぶ。そう書くと、つい人為的な光景を想像してしまうが、ここのロケーションは抜群で、それを差し引いても余りあるものがある。将来的には松に覆われる白神岳を見てみたいものだが、それは相当先のことだろう。

 3040m先に稜線上に続く作業用の道路が見えるので、そこまで笹薮を漕いで下ることにする。道路には車の重みで沈んだ轍が続いている。普通の林道とは違い、この日の晴天も加わって天上の一本道といった心地良い雰囲気である。沿道には年代ごとの植林状況を示す看板が立てられており、古いところでは平成9年「白神保安林改良工事」との表示がある。主にクロマツがその中心のようだ。途中までは発注者が渡島支庁だが、途中からは北海道渡島総合振興局となっていて、時代の変遷を感じさせる。車が入るような立派な作業道も途中からは踏跡程度となり、間違えたかと思ったが、この作業道は天狗山方面からで、途中の323mピークがこちら側からの作業エリア終点のようだ。植林用の踏跡を辿って行くうちに植林地の最上段となり、そこからは323mピークを目指しての笹薮突入となる。一時的に目線の高さまでの藪漕ぎとなるが、直ぐに背の低い藪となって323mピークへと到着する。藪漕ぎは距離的には100mにも満たない程度だが、ヒグマの生息地ということもあって、昨年の経緯を思い出せば気持の良いものではない。到着したピークは正確に言えば323標高点とは少しずれた地点である。ここまで登ると白神岳方面からの刈り分が現れ、正直ほっとする。

 コルへは稜線ということを意識しつつ刈り分を辿る。半信半疑で進んでいるうちに徐々に明瞭な歩道となってコルへと降りる。遠かった白神岳もかなり大きくなり、当然だが天狗山が小さく遠く見える。いよいよ、あとひと登りだ。白神岳頂上が近づくと何のために刈られたのか、広場となっている。残念なことだが、多数の空き缶等が無造作に捨てられている。今のこの時代に、平気でポイ捨てが出来る心境が解からない。言えることは、間違いなく登山者の仕業ではないことである。ひょつとして、面白半分でドライブがてらに上がって来る車があるのかもしれない。そこを通過、立派な管理道路に出る。あとは道路を辿るだけ、大きく回り込みながら登って行くうちに立入禁止の看板がある通信施設のゲートとなる。すぐ横には細々と踏跡が続いており、そこを少し登ると立派な一等三角点が設置された白神岳の頂上となる。    

 眺望は360°、道内南端ということもあって青い海が前面に大きく広がっている。何よりも昨年来の宿題を終えた安堵感が心地良い。青森県側は薄っすら見える程度だが、やはり海のある光景には豊かさがある。若い頃は本州を見ただけでも何かしらのときめきを感じたが、この歳ともなると、わずらわしさしか感じられず、むしろ背後に見える真っ白な檜倉岳の格好の良い山容や、山塊の盟主とも言える岩部岳の雄姿の方に心踊るものを感じる。もっとも、いつもこんな山行ばかりやっているのだから、興味の対象が移ってしまっても当然かもしれない。帰路は往路を忠実に辿る。天狗山頂上を道なりに巻いて、天狗山の管理道路へと飛び出す。車へ乗ってしまえばこっちのもの、去年のヒグマよ、さあ出て来い! そんな余裕すら感じた。さて、あとは道の駅「北前船 松前」へ行って、自慢の“マグロ丼”でも食べて昼食としよう。この日の山行は登山とは言い難いハイキング程度のものだったが、昨年夏のリベンジは大成功! 満足度100%の得がたい1日となった。(2014.4.12)

  【参考コースタイム】  天狗山頂上 P 6:50 → 白神岳頂上 8:00、〃 発 8:25 天狗山頂上 P 9:20 (登り1時間10分、下り55分)

メンバーsaijyo、チロロ2

      

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