白樺山(953m)
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1/25000地形図 「チセヌプリ」
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峠の駐車場は満杯 |
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笹薮の中の整備された登山道を進む |
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稜線からは白樺山が見えてくる |
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この日の主役はエゾカンゾウ 背景はシャクナゲ岳 | カワラボウフウの白さが美しい |
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咲き乱れるイワオトギリと目国内岳 | 頂上付近からは岩内市街や泊原発が見える |
ニセコの山々の中で、ただ一山私が登っていなかった山が白樺山だった。この山域の主だった山はどれもが1000mを越えていて、その中にあっての953mのこの山は、私の中では印象に乏しかったというのがその理由である。今や200m、300mの山でさえUPの対象としている当サイトにあって、900mというのは立派なもので、山としてのその素晴らしさに最近になって気付くようになった。新見峠からの短い山行だが、同行する私の妻はつい先日に七飯岳に登ったくらいのもの。まあ、妥当なところである。海に近い900m峰でもあり、この時期としては花々に期待しての計画である。
新見峠へと向かう途中、何やらゲートが設けられていて規制がなされている様子。車を止めて、警察官に尋ねたところ、
「第1回ニセコクラシック」という自転車のロードレースが開催されており、5分もしたらレース車がこの付近に到着するらしい。車であれば自転車よりは速いだろうから、今なら入ってもよいとのことで、通行を許可され、何ともあずましくない山行のスタートとなる。止めようとの妻の意見、だがわざわざ札幌からここまでやって来て、登らずに帰るにはもったいない。白樺山へのコースはかなり短いが、ゆっくりと登って、レース終了後に下山すれば良い話である。
峠の駐車場は既に車で埋まっていた。一台分だけスペースがあったので何とか止めることが出来たが、自転車のレースでも無ければ、時間的には満車となっていたかもしれない。午後から一雨来そうなこの日の空模様ではあるが、花の時期でもあり登山ブームも手伝って、ニセコの人気もなかなかのものである。登山口には水溜り程度の沼があり、数輪のエゾカンゾウが美しい姿を見せている。入山者名簿をのぞく限りでは、目国内岳方面の方がより盛況のようである。やはり、高さの面で目国内岳に分があるのだろう。
タケノコで有名なニセコであるが、この時期ともなるとタケノコ取りの目から逃れた立派なタケノコが見事に若竹となって生長している。整備された登山道が笹薮の中に続いているが如何せんこの時期ともなれば暑い。スピードを少し上げただけでも汗が噴き出して来る。であればと、思い切りペースダウンして登っていると、今度は妻がこちらなど全く気にもせずにさっさと行ってしまう。気持は新ピークよりもニセコ「道の駅」なのだろう。期待していた花々は見られず、写真撮影を楽しみにしていただけに肩透かしを食った気分で歩を進める。コンタ810m付近から、エゾカンゾウが現れる。黄色い初夏の風物詩だが、この花は小ぶりな高山植物の中に合っては丈も花弁も大きく、豪華といえば豪華な花だ。
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淡冷とシャクナゲ岳 (白樺山頂上にて) |
高度を上げて笹薮地帯を抜けると徐々にこのエゾカンゾウが主役となり、その数を増やし、期待が高まる。向かい側にはすっと背丈の高いシャクナゲ岳が現れる。大抵の登山者はこのコースからこの山を目指すようだが、そもそも私としては白樺山が未踏の新ピークであり、この日の最終目的地点である。頭から計画に無ければ、シャクナゲ岳はかなり遠い存在に思えてくる。おそらく、最初からシャクナゲ岳へ登ろうと考えていれば、白樺山も単なる通過地点、もっと余裕を持って登っていたのかもしれない。山の距離というのは気持の持ちよう一つで遠くも近くもなるということだろう。
白樺山が近づくと岩内市街や湾の向こうには泊原発も見えてくる。スタート地点が既に標高の高い新見峠であり、山自体ものっぺりとした低山といった雰囲気だったが、どうしてどうして、ここからの景観は立派に1000m峰のそれである。エゾカンゾウに混じって同じく黄色のイワオトギリが園芸作物のように群れとなって咲き乱れている。頂上は向かい側に見える目国内岳と同じで、規模は小さいが岩場となっていた。あいにく、その目国内岳は頂上だけがガスの中、一方シャクナゲ岳は大きな姿を見せている。ロードレースの件もあり、頂上では妻だけビールを飲みながらゆっくりと時間を潰す。
覆っていた目国内岳頂上のガスもすっかり上がり、山全体がすっきりと見える。そうこうしているうちに、私よりは10歳以上は年配と思えるご夫婦が到着した。聞けばやはりシャクナゲ岳まで足を伸ばすらしい。この日の私としては白樺山で精一杯。短いが、とりあえずは一山ゲット。こんな山歩きがあっても良いだろうと自分に言い聞かせた。(2014.06.13)
【参考コースタイム】 新見峠 P 8:50 → 白樺山頂上 9:55、〃 発 10:35 → 新見峠 P 11:15 (登山時間 登り1時間5分、下り40分)
【メンバー】saijyo夫婦