<戻る

   下古丹別山(388.9m)

 

1/25000地形図 「霧立峠」

沢は狭いが歩きやすい  長靴でも十分 (Ikkoさん提供)
古い作業道跡に車を止める
鬱蒼とした作業道跡を進む

 下古丹別山はかなり地味な感じの山である。古丹別山や上古丹別山でさえマイナーピークと言えるのだから、標高がわずか388.5mで、“下”ともなればその地味さ加減がうかがえよう。だが、北海道の山は高さではなく奥深さである。こんな超地味な山だが、何かの山行の折にでも立寄らなければならないと思っていた。古丹別山、上古丹別山と、既に登り終えており、この山を登らなければ納まりがつかないというのがその主な理由である。この日のメインは函館・sakag氏が遥々函館からこの道北へとやって来たこともあって、私の取っておきの一山・三毛別山へ行くことになっていた。昨秋、Ko玉氏と挑戦、二番目の滝が思いもよらぬ大滝で大高巻き、そのまま尾根伝いに籔漕ぎで登った山である。この日は順調にその大滝も突破、完全な沢詰めで二度目の登頂を果たしている。そんなこともあって、この下古丹別山については付録としか考えてはいなかった。

      

 昨夜の夜会では、sakag氏には三毛別山の下山後はそのままKo玉氏との待ち合わせ場所へと向かうよう暗に勧めたが、我々に付き合ってくれるとのこと。というのも、わざわざ遠く函館からやってきて、こんな地味な山では申し訳なかったからである。まさか、氏の超有名サイトに下古丹別山が登場することになろうとは考えてもいなかった。前の週には既に偵察を終えており、山行そのものの時間的なものは全く心配していない。三毛別山からの距離は30Km以上、スタートは完全に午後となる。山へと向かう沢はチョロチョロ程度、山行の距離も約1kmとあっては午後からのスタートでも十分だろうと思っていた。楽勝ムードで三毛別を後にする。

        

 約1時間で古丹別山林道に到着、偵察の折にIkkoさんと話していた右岸側の作業道からのスタートである。この作業道が奥まで続いているようであれば、30分もあれば山行は終了するだろうとの目算だったが、直ぐに夏草が鬱蒼とした状態となり、10分も経たないうちに道路自体も判らなくなる。廃道となって久しいようである。仕方がないので、沢へ降りることにしたが、沢は砂地の中の細い流れで、その分だけ、まるで歩道でも歩いているかのような快適さである。頂上への距離はどんどん縮まって行くが、反面、細い沢はさらに細くなり、何とも心細い感じとなって行く。コンタ280m付近の地形図上にはない二股で水量のある左股へと入るが、その後すぐに沢形は消えてしまい、緩い斜面の藪漕ぎとなる。笹の背丈は低く楽勝かと思われたが、思うように前進出来ないのが意外だった。原因はブドウのツルで、笹を掻き分けると必ずと言ってもよい程、これが引っかかって来る。そうこうしているうちに斜面の傾斜が増してきて、終いには前方の斜面が立っている感じとなる。       

 

下古丹別山の頂上はこんなところ

  私の体力は限界、というよりはそもそもこんなもの。先頭をsakag氏に代わってもらうが、氏もある程度進んだ地点で立ち往生。頂上までは距離にしてわずかに160m、だが、その160mが何とも遠い。絡みつくこの憎たらしいブドウのツル、以前見た映画にシーザーハンドという人造人間のSF映画があったが、両手がハサミだったらどんなに良いか… こんな場面ではいつもこの映画を思い出す。Ikkoさんの提案で右側の小さな沢形へ降りることにする。だが、籔も沢形もあまり変わりない感じである。いや、立っている斜面が目の前となったのだから、幾分かは前へと進んだようだ。あと50mくらいか? つい、希望的な観測で考えてしまうが、そうそう甘くはない。斜面へ入るとツルは少なくなったが、登ること自体が厳しくなる。ずり落ちそうになりながらも何とか頂上台地上へとたどりつく。さすがに強靭なIkkoさんですら辛そうだ。頂上を目前にしばし休憩とする。

 

藪の中の三等三角点「下古丹別」

いつもであれば、このまますんなりと頂上到着となるところだが、そうは問屋は卸さなかった。距離にしてわずかに30m、頂上台地上の笹とブドウの強烈な組み合わせはここでも行く手を阻む。残り10〜15mくらいの地点では一歩も動けず、一旦斜面側へと回り込んでからの再チャレンジとする。もう前進など限界と思われたその時、手もとのGPSが目的地到着を表示する。急斜面下の頂上から160mの地点では積雪期の仕切り直しも頭にちらついていただけに、頂上到着には嬉しさ一入である。何はともあれ、後の作業は周りのどこかに埋まる三角点を確認するだけだ。濃い籔に邪魔されて、自由な移動が出来ないので、目を凝らして虱潰しに辺りの地面を見回す。あった! 私の3〜4m先の樹木の直ぐ前に地面から顔を出した三等三角点「下古丹別」を発見する。だが、見えていてもそのわずかの距離を縮めることすら大変で、少し安易だが、この場を私にとっての下古丹別山頂上とする。さすがのsakag氏も疲れた様子で、たどり着いた三角点に座り込んでいた。無論、頂上展望など何も無く、見えるものは笹薮と樹木のみであった

 

 下古丹別山を登り終え、北海道の山について言えば、やはり山は高さではなく奥深さであるが、さらにもう一つ、植生とその組み合わせも大事な要素と付け加えておきたい。(2014.6.29)  

 

一人歩きの北海道山紀行sakag氏のページへ

参考コースタイム】  小沢出合 P 13:35 → 下古丹別山頂上 15:15、〃 発 15:30 →  小沢出合 P 16:25 (登山時間 登り1時間40分、下り55分)

メンバーsakag氏、Ikkoさん、saijyo

<最初へ戻る