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          シキシャナイ岳1058m)

シキシャナイ岳は急峻だが、樹木に覆われているため登ることが出来る

/25000地形図  「三 岩」

頂上に到着するsakag氏
12月は出発時間が勝敗を分ける

 2002年最後の山行は「一人歩きの北海道100名山」sakag氏との初対面山行という、考えてもいなかった夢の実現だった。“地図がガイドの山歩き”チームとしてもsakag氏をお誘いする以上、面白い山はないかと考えた末、少ないレパートリーの中からこのシキシャナイ岳に白羽の矢を立てることにした。およそスキーツアーコースとしては考えにくい特異性、また2度も登っているから、熟知しているだろうという安易さなどからの結論である。一週間前の上滝山〜沙流岳山行の折、林道偵察に入り、以前と変らず冬でもしっかりとした除雪が入っている様子を確認(日高カンラン岩の採石場があるため)し、すべて準備万端であった。前日、予めメールで連絡しあっていた携帯番号に恐る恐る掛けてみると、初めてとは思えぬsakag氏の気さくな声に安堵感を感じる。翌日、約束通り19時に日高町のセイコーマートにて初対面。その夜はsakag氏の車を宴会場に美味しい酒を飲みながら時を過ごす。

 イワナイ川林道は完璧に除雪されてはいるが、我々は部外者であり年末でなければ日曜日であっても、狭い林道で作業の邪魔となるだろう。逆にドカ雪でも降った場合は林道に閉じ込められ、正月明けまで孤立無援の状態となる可能性もある。以前はこの林道を使って糠平山へ日帰りツアーを楽しんだが、今は採石場が終点である。

採石場に車を置き、登り易そうな所から入山する。日照時間の少ないこの時期は、出発時間が勝負の分れ目となるため、暗いうちからの行動開始である。今回のコースは以前にトレースした沢ルートであるが、小尾根が入り組んでいて、地形図上の等高線も読みづらいため、林道を出来るだけ利用して進んで行く。途中、雪も降り出し、先行き(天気)不安となるが、こんな時は単純に回復を願うより仕方がない。以前は2回とも頂上からの展望が利かず、今回こそは尖鋒上からの展望を…との思いがあった。

標高900mの平坦地形までは、途切れることなく林道が現れ、楽することが出来る。Sakag氏のGPSの軌道からあまり外れることなく、順調に標高を上げて行く。900m付近からは針葉樹林帯となり、鬱蒼とした樹林の間から目指すシキシャナイ岳の尖峰が見え隠れする。おおよその見当をつけコルへの下降点を探すが、今回も過去2回同様、.1107峰へ近づきすぎ、戻ることになる。目視で直接ここのコルへ下ることは難しいとつくづく感じる。

sakag氏はいつもボイスレコーダで記録を取る
遠く八タオマナイ岳が望まれる

コルからはスキーで登れる所までジグを切り上がって行く。登って行く斜面の途中からさえも木々の上に目指すピークが輝き、この斜面の斜度を実感する。 残り約40mの標高差を残し、スキーでの登高が不可能となり、いよいよ最後の大詰めである。スキーをデポし、オーバーズボンを履いて胸までの本格的なラッセルを始める。一歩一歩亀のような速度で慎重に登る。約30分で頂上の明るさを感じるが、残り約20mが届きそうで届かない。約40分費やし、5年ぶりのシキシャナイピークへ到着する。前回は「童人チロロの風」の仲間15名の喜ぶ顔があった。もう2度とは来ないだろうと思ったが、時間というものはどんな思いも消し去ってしまうものである。期待していた展望はやはりすばらしく、ハッタオマナイ岳や貫気別山の山塊、また、白く輝く糠平山のピークも望むことが出来た。苦労した登りも下りはあっけないもので、約5分足らずでスキーデポ地点である。ここからコルまではシールを貼ったままであるが、スキーを楽しむことが出来た。

コルからは.910mを目指しそこから下降しようと考えたが、知らず知らずのうちに標高を下げてしまい、あわてて登りかえした時点で方向を間違えてしまう。GPSで間もなく往路のトレースに合流すると聞かされ、前方を見たところ確かにトレースを確認する。しかしこれは間違って進みすぎた時のトレースであったが、この時は登りのトレースであると思い込んでいた。あとは下降だけと思いシールを外してしまう。よくよく考えたつもりでいたが、この時は状況を理解することが出来なかった。登りで一度間違ったことをすっかり忘れていたため、かもしれない。

下降は深雪の楽しい滑りのはずだったが、リングワンデリングの直後だけに、今一つ気持も乗らず、最後はしなくてもよいルート取りをしたため、沢形で進退窮まる状態になってしまう。失敗というものは重なって行くものだということをつくづく感じ反省する。

【一人歩きの北海道100名山】

今回、超人気サイト「一人歩きの北海道100名山」のsakag氏にラブレターを出したところ、快く同行了解の返信を頂いた。ホームページ上で自分勝手に氏を想像していたが、実際に会ってみてやはり人生の大先輩であると認識を新たにする。初対面であるにもかかわらず、そう感じさせなかったのは氏の気遣いによるものであろうと後で感じた。「一人歩きの北海道100名山」は山ばかりではなく、そういった氏のあたたかい人間性が土台となったサイトである。今後300山へ向けて、さらに多くの山々がUPされることを願っている。 (2002.12.29)  

一人歩きの北海道山紀行/シキシャナイ岳へ

【参考コースタイム】

車止め(採石場) 6:51 → コルへの間違地点、ルート変更 9:36 → スキーデポ地点 10:26 → シキシャナイ岳頂上 11:04 、〃発 11:10 → スキーデポ地点 11:16 → 林道着14:04 → 車止め(採石場) 14:14

【メンバー】saijyo、チロロ2、sakag氏

 

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