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      1181m峰「鹿砦」(1181.4m)

和刈別から望む1181m峰「鹿砦」(2009年4月撮影)

/25000地形図  「白滝・奥白滝・北見峠」

広域林道に入って直ぐに除雪は終わる
広域林道を約3.5km歩かなければならない
尾根取り付き付近は植林地となっている

鹿砦を「しかとりで」と読むと何となくユーモラスな印象を受ける。何か鹿が砦でも築いていて自分たちの楽園を守っているかのようにさえ感じる。確かにこの一帯は鹿の生息数もかなりのようで、我々が歩いている時にも茂みから一頭の鹿が飛び出し、様子を窺った後、次々と後続が現れ反対方向の茂みへ消えていった。名前のせいかもしれないが集団の規模も何となく大きいような気がする。また、皮を食された樹木の幹も多数見られる。この山名について地元の白滝村役場へ問い合わせたところ、30年前に刊行された村史にもこの名は載っているそうであるが、命名の経緯についての記載はないとのことである。この読み方については「ろくさい」というのもある。軍事用語で山岳 のゲリラ戦に使う木の枝を組んだバリケードをあらわしているそうである。四方が急斜面に囲まれ、鬱蒼とした森林はバリケードのように感じられたところからの命名とも推測できるが、これはあくまでも私の想像の範疇である。

今回、北見・熊ぷ〜さん(山の旅人〜Wanderer)がリーダーである。彼は2週間ほど前にこの山域に偵察山行に入ったが、頂上近くまで登りながら我々のために登頂は残しておいてくれたとのことである。そんなこともあり、今回は多少の天気の崩れがあっても何とか登頂を果たさなければならない。低気圧の接近もあり、前日から荒れ気味の天候であるが風がないだけ幸いである。広域林道を入り400500mの地点で除雪終点である。

広域林道を約3.5km進むと赤石線林道との分岐となる。ここより先は狩猟禁止となっていて、何となくホッとさせられる。分岐からさらに1.1kmほど進むと今回のルートである78林班線林道の入口である。予定している1056mの小ピークと本峰との間のコルへ続く斜面は、地形図上で見る限りコンタの密度が一番薄くなっている。823m標高点へ続く尾根筋の末端に取付くが、付近は植林地となっていて幼木が点在している。幼木では風除けともならず吹きさらし状態である。雪質は乾いた粉雪といった感じであり、斜面のトレースは崩れやすくシールも利きづらい。

832m標高点からは鬱蒼とした樹林帯となる。尾根上を進んでいくうちに直ぐ横を集材路が平行していることに気づく。この路は途中から大きく迂回しながら標高を上げて行き、コル手前で消えている。下りで気づいたが、この集材路は78林班線林道から伸びていて、我々が取付いた地点の直ぐ先から尾根に平行して伸びていた。この山を目指すのであれば、林道をそのまま詰めてしまうのが正解のようである。

頂上までの稜線上から1056mピークが望まれる 「鹿砦」頂上は平らで樹木も少ない

コルからは本峰から伸びる稜線上を忠実に辿ることにする。コルから頂上までは標高差約150mの登りであるが、木々も少なく、晴れていれば周辺の山々や白滝の市街地も見渡すことができ、疲れも忘れさせてくれることだろう。背後には1056mのピークが薄らと見える。稜線は両側が急斜面となっていて尾根上から外れない方が登りやすいが、途中に岩のコブがあり、ここだけは急斜面を多少巻かなければならない。ここを越すとあとは比較的緩くなり、雪が風で飛ばされ低いハイ松が剥き出しになっている。頂上の肩までは所々でハイ松を踏みながら登って行く。肩からは直ぐに平らで開けた頂上に到着する。降りだした雪のために視界は利かないが、晴れていればきっと見晴らしは良いと思われる。頂上を示すものは何もないが、古いテープが小枝に巻きつけられている。趣味で登ったのか、仕事で登ったのかは判らないが、あまり人が登っていない山であることだけは確かのようである。折からの降雪のため、直ぐに頂上を後にする。尾根上は雪が風で飛ばされて滑りづらく、積雪がある滑りやすそうな両側の急斜面を巻くように下るが、まとまった量の降雪後であれば雪崩れる可能性もあり、とても立ち入れないだろう。

 道路地図を見て名前の面白さから興味を持った山であるが、このような山には当然「決ったルート」などというものはない。登山の重要な要素である “未知”という面では十分に魅力的な山であり、満足させられる一山である。(2004.2.22)

【参考コースタイム】 林道入口 7:45 → 赤石線林道入口 8:50 → 78林班線林道入口 9:25 → 尾根取り付き 10:00 → 1181m峰(鹿砦)頂上 11:50、〃発 11:55 → 林道入口 14:00

メンバー】 L.熊ぷ〜さん、hachiya、nakayama、saijyoチロロ2

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