<戻る

      然別(1263.8m)

白樺林の向こうに見える然別山

/25000地形図  「然別湖」

車の直ぐ横にはヒグマの糞があった
集材路からは然別湖畔の山々が見える
水流が無くなった枯沢で休憩

然別山は東大雪・然別湖周辺の数多い1000m峰の一山である。この山域には登山道のある山も多いが、この山のように登山道が無いためにほとんど登られることのない山も多い。然別山はどこといって特徴はないが、以前積雪期に登った仲間の話では、展望がすばらしい山とのことであった。

今回のルートは然別川支流の三の沢川からである。三の沢川沿いの林道は地形図上よりさらに奥まで伸びているが、南面の直登沢出合を通過して直ぐに駐車スペースがあり、ここに車を止める。直登沢はほとんど水量がない。地形図にははっきりとした水線が書かれてあるので何度も周囲を見直すが、沢形は地形図と一致する。車を止めた時には気が付かなかったが、車の直ぐ横の林道上に今朝のものと思われるヒグマの糞があり驚かされる。周辺は人里からはかなり離れているにも関わらず、デントコーンが未消化のまま排出されており、改めてヒグマの行動範囲の広さに感心させられる。

駐車スペースからは右岸の尾根上の集材路跡を辿って地形図上857m標高点へ向い、出来るだけ奥まで進むことにする。この集材路は尾根上真直ぐに付けられているが、現在は使われていないのか、短い笹が被っていて判りづらい。857m標高点付近では完全に判らなくなり、標高を落とさぬようトラバース気味に沢筋へ向うことにする。

沢の上部には水流がなく、この状態は頂上直下まで続く ピシカチナイ山の尖峰は印象的である
頂上から望むウペペサンケ山 頂上から望む、二ペソツ山と丸山

沢筋の水流はかなり細く、とても沢登りとは言えないが、この時期の山としてはよい選択だったと思う。沢筋の藪も薄くなり、靴をあまり濡らさずに進むことが出来る。高度計では870m付近で沢を横切る集材路跡を通過するが、おそらく前述の集材路から続いているのであろう。その後、枯れ沢のまま標高を徐々に上げて行く。コンタ1150m付近で沢形は完全に消え、丈の短い笹薮漕ぎとなるが、南面ということもあり、やがて本格的な藪漕ぎとなる。頂上付近ではハイ松も混じり出し、かなりの労力を強いられる。

頂上の三角点は割れて原型を留めていないが、測量で使ったと思われる針金の縛った木片も散乱していて、然別山頂上であることを確認する。冬に付けたと思われる赤テープも2〜3箇所にあり、マイナーながらも目指す登山者はいるということであろう。頂上からの眺めは噂に違わず、十勝連峰、トムラウシ山、旭岳始め表大雪の山々、また二ペソツ山、丸山、ウペペサンケ山など、中央高地の主だった山々を指呼することが出来る。また、夏に登ったピシカチナイ山の尖峰が間近に見え印象的である。

下山は沢へは下らず、造材路跡が続いていた尾根を下ることにする。尾根上は藪が比較的薄く、シカ道等も所々続いていて歩きやすい。このルートでは途中コンタ1080mの分岐点の見分けが難しい。尾根上の下りと思っていても、方向を間違えて沢筋へ急激に下り始めることがある。こんな時は直ぐにトラバース気味に進んで尾根上へ戻らなければならない。この日も一度間違えたが、この辺の気づきは山行で培った感が役に立つ。地形図とコンパスで修正し、コンタ900m付近で往路の集材路に飛び出す。

もし、この山に登山道を開削するのであれば、この下山ルートが簡単である。頂上直下や集材路に出会う付近の薮が多少混んでいるが、笹刈り機一台と標識を持参すれば、ガイドブックにもしばしば登場する、展望の山としての“名山”となることであろう。(2003.10.12)

【参考コースタイム】 林道・尾根取り付き(P) 8:10 → コンタ800m地点 8:45 → 藪漕ぎ開始 9:50 → 然別山頂上 10:30、〃発 11:20 → 林道・尾根取り付き(P) 12:45

メンバーsaijyoチロロ2、nakayama

<最初へ戻る