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       士風山(646.1m)

士別市武徳を走行中の車窓から見る士風山

      /25000地形図士 別」「日 進」

林道入口の除雪スペースに車を停める
約10分で武徳林道の入口となる

士別市と風連町(現:名寄市)の境界にある山が士風山で、読んで字の如く両市町村名の頭文字を一字ずつ取って「しふうやま」と読む。地元の士別市武徳地区では郷土の山として人気があるらしい。私の連れ合いがこの武徳の出身で、武徳小学校の校歌に「あしたに仰ぐ士風山 ゆうべに望む士別川(天塩川) 高く清き心にて…」と、士風山が歌詞に登場していたと言っている。そもそも地区名の「武徳」は小学校の名がそのまま地区名となったようで、その校歌にも登場する郷土の山は地元にとって特別な思い入れがあるのだろう。この手の山としては珍しく、隔年だが地元主催の登山会も開催されているようだ。ただし、無雪期に偵察で訪れたKo玉氏の話では地形図上の歩道を示す点線は林道としては存在しているが、途中からは距離にして500mほどは籔漕ぎを覚悟しなければならないとのこと。登山会が開催されるのも春の残雪期のようで、今現在、はっきりとした登山道はないとのこと。

凍裂について講演するKo玉氏  さすがだ

比較的短い時間で登れるようなので日曜日帰りで計画したが、岩見沢を中心とする南空知の荒天のために高速道路は札幌から美唄までストップ、予定よりも約2時間遅れて現地入りする。山の積雪状態は判らないので、頂上に届くか否かはパーティのラッセル力次第だ。最終農家に一言ことわりを入れてと思ったが、玄関のドアは開いたが誰も出てきてくれなかった。(下山後に話をしたところ、先方も士風山に登りに来たことは知っていたとのこと) 結局、農家の敷地を外して道路の除雪スペースに何とか車を停める。林道を約10分も進むと分岐となっていて、「武徳林道」の看板と黄色いゲートがある。ゲートは開いた状態のままで積雪に埋まっており、この山域での規制はあまり厳しくはないようだ。林道はおよそ地形図の点線通りで、緩やかな登りとなっている。途中、小沢を渡るところに橋はなく、無雪期に車を乗り入れたとしてもここまでが限界である。

ここで一休み、目の前にあった樹木の凍裂について詳しい? Ko玉氏がひと講釈始める。要するにここは凍裂が起こるほど寒さが厳しい場所だとの内容。話題としては今いちだが、とりあえず皆で休憩の饗としてその話しを拝聴する。沢沿いの道から一転、急な集材路となって広い樹林帯へと抜ける。地形図では集材路は631m標高点のある細長い尾根の南側へ回り込むようだが、雪面を見ていても集材路の痕跡は判別不能である。考えれば、積雪期にあるかどうかも判らない道路を探し出したところで意味がなく、そのまま尾根上を目指して急斜面にジグをきることにする。途中から地形図上の点線とは別の集材路が現われ、北側を巻くように尾根上へと続いていた。

士風山頂上は平らな雪原の中 古い頂上看板も見られる

631m標高点のある西尾根はコンタが細長くなっており、こんなところでは崖記号が無くても岩峰や岩稜など、意外な障害物が待ちかまえていることが多い。何か出てくるのでは…とその対応を考えていたが、意外にもすんなりと何もない雪面が現われ、そのまま頂上台地へと続いていた。尾根上は風の通り道となっているようで、積雪が風紋のように吹き溜まっている。こんな時には少し風下側をラッセルした方が遥かに歩きやすい。頂上へは急斜面をさらにひと登りする。登り詰めたところは広い平らな雪原となっていて、どこが頂上なのかが判らない。よく見ればさらに先に向かって緩やかに登っているような感じである。さらに200mほど進んだあたりで一番高そうなポイントとなるが、見ているとその先や通過してきた地点も自分の立っている場所よりは若干高いようにも見えてくる。確認のためにGPSを取り出してスイッチを入れるが、表示では三角点は22m先となっていた。古い「士風山」と書かれた頂上看板は10mほど逆側の樹木に3枚も取り付けられており、この辺り全体が頂上ということだろう。GPSを信じて20mほど移動、ここで完全なる頂上到着とする。思っていたほどのラッセルはなく、意外に短時間での到着であった。

出発時点では晴れていたが途中からは降雪状態となってしまい、楽しみにしていた眺望は何もない。視界良好であればきっと武徳や風連の平野の広がりが見えていることだろう。こんな平らな地形の頂上では、雑草に覆われる夏場の展望は全く期待できそうになく、おそらく訪れる登山者がほとんどいないままに夏道は消えてしまったと思われる。北海道の場合、雪面が硬くなるこれからの時期は格好の登山シーズンとなり、いつも気になってはいるが登山道がないために登れない山も、だれもが簡単に登頂できる状態となる。地元に愛されているこの山であれば、きっとこれから春にかけては大いに賑わいを見せることだろう。(2011.1.16) 

【参考コースタイム】武徳・最終人家横 10:15 士風山頂上 12:05、〃発 12:30 → 武徳・最終人家横 13:25 (登り 1時間50分、下り 55分 )

 【メンバー】ko玉氏、saijyo、チロロ2、チロロ3(旧姓naga)

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