<戻る

     春別岳(1491.8m)

/25000地形図  「ペンケヌーシ岳・ピパイロ岳」

「少年の心」を持ち続けるsakag氏
春別ピークまであと100mの藪漕ぎである
二の沢林道、北電のゲート前には適当な駐車スペースがある
沢の出合は枯れて細く、判りづらい
流れは細いが、滝の直登は楽しい

“春別”の名は日高には多い名であるが、今回登った春別岳はパンケヌーシ林道とチロロ川林道に挟まれた、チロロ岳の西側に位置する山であり、3年前の7月にも登っている。岳人のあいだで有名な“春別岳”はカムイエクウチカウシ山とエサオマントッタベツ岳間の主稜線上にあり、春別川の源頭の山であることによる通称であるが、1/25000地形図に今のところ標記されているのはこちらの“春別岳”である。

前回と同じルートを辿ることにする。チロロ岳の登山ルートである曲り沢の一本下流・2ノ沢沿いの林道から入る。この林道は北海道電力が管理しており、入口のゲートは施錠されていて一般車両は立入ることが出来ない。入口から徒歩約25分の2つ目の橋を渡った枯れ沢が入口となる。この山を巡る沢は以前地形図で検討したが、何れのルートも難しく、特に西側や北側はとても取り付けそうになかった。

入口の枯れ沢は伏流となっている上、沢形も顕著ではなく、とても沢の出合いとは思えない様相だ。ただ、沢形全体を見て進めば必ず水流とぶつかるはずである。少し進むと水流が現れ始め、伏流となっているのか登るに従い水量が増してくる。ここ数日間に降水がなかったようで、流れはかなり細い。コンタ800mまで進むと傾斜が増してきて最初の滝56mが現れる。右岸を容易に登ることが出来るが、この滝の下降は左岸の藪へ逃げる方が無難かもしれない。この滝を越えると間もなく水流がトイ状となって56mのゴルジュの滝が現れるが、こちらは水流の中が登りやすい。下降には補助ロープを使用した方が安全だろう。小滝を幾つか越えるとコンタ910m二股となる。そのまま進むと滝は無いが、春別岳南側のコルへ突き上げていて、尾根に出てからの藪漕ぎが長くなる。我々は右股へ入る。高度をぐんぐん上げて行き、最初に現れる78mの滝は手がかりがしっかりしていて難しくはない。2つ目の滝10mはシャワークライミングでの直登も可能であるが、右岸も容易に高巻くことができる。

沢の変化は概ねここまでである。コンタ1210mで二股となり、以前は右股を詰めたが、傾斜はあっても藪漕ぎが少なく、楽に稜線へと上がることが出来た。沢形が途切れそうでなかなか途切れないのが良かった記憶がある。今回は左へと入り早々に藪漕ぎとなってしまった。最初はコルを目指したが、途中からは頂上部を直接目指すことにする。急傾斜の藪漕ぎで頂上部の稜線上へ出るが、潅木と這松のために歩きづらい。ここは我慢で、登り詰めた奥へと進み頂上到着となる。三等三角点「春別岳」は周りの土が流失したのか、以前と同じで斜めに傾いていた。頂上からの展望はやはりチロロ岳の眺めが良い。チロロ岳の南側には1967m峰から日高幌尻にかけての稜線を望むことが出来る。西側には春別岳から派生する見事な岩稜が続いている。

春別岳から派生する見事な岩稜 コンタ1050m付近を通過して一休み

下りは頂上から東へ向かっている尾根上を忠実に下ることにする。頂上部付近には急傾斜の斜面があるが、濃い藪の中でもあり返って下りやすい。少なくても、沢の核心部の通過が無くなるコンタ1050m付近の尾根分岐までは出来るだけ尾根筋から離れぬよう注意する。高度計を見ながら、判りづらい地形通過時には修正をしながらの下降である。またsakag氏のGPSも合わせて使用するが、登りで通過した沢とは平行に進んでいることもしっかり確認でき、その威力を今更ながらに痛感させられる。沢の遡行による登山の時にはいつも考えるが、行程に時間的な余裕があるときには、もちろん沢を下降する方が面白いし、往路と違う沢であればなおさらのこと面白いものである。ただし、疲労時や沢の下降に自信が持てないとき(増水など)にはエスケープルートとしての藪尾根下降も選択肢の一つとして視野に入れておいた方がより安全であろう。

今回は予測したよりも順調に下降することができ、標高850m付近で造材路跡に飛出し、そこから往路の沢へ戻る。ここから水の枯れた直登の沢出合いまでは僅かであった。

「一人歩きの北海道100名山」春別岳へ

 【参考コースタイム】 二ノ沢林道入口 7:25 → 東面の直登沢出合 7:51 → 910m二股 9:06 → 春別岳頂上 11:59、〃発 12:39 → コンタ1050m尾根分岐付近 14:33 → 東面の直登沢出合 15:00 → 二ノ沢林道入口 15:20

メンバーsakag氏、saijyoチロロ2、チロロ3(旧姓naga)

<最初へ戻る