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      勢多(996.5m)

十勝平野から見る勢多山はあまり特徴がない

1/25000地形図勢多山」

尾根上は背の低い笹薮漕ぎ
尾根上は背の低い笹薮漕ぎ
麓を伸びる林道入口に車を停める
林道はすぐに倒木帯となる

勢多山は東大雪南部の1000mを少しきる山で、十勝平野へ大きく裾野を広げる地味な感じの里山である。同じ並びには東西ヌプカウシヌプリや牧場が山麓を覆うナイタイ山など目だった山が多く、地味な山容や標高が低いことなどもあって、あまり登山の対象とはされていないようである。ただし、雪が固まる春先にはスノーハイキングの山として、地元の登山者に登られることがあるようだ。勢多山の語源の“セタ”は当HPのアイヌ語地名考掲示板によると、「犬」を現すとのこと。もともとは山に付いた名ではなく、付近のセタ川の水源にある山ということと思われる。笹薮が隠れず、日の短いこの時期にはあまり好まれない選択ではあったが、積雪量が少なくても藪漕ぎ登山が可能と思われたので、時期的なものを考慮して、この山を目指してみることにする。

八谷氏との待合わせ場所であるナイタイ牧場へ到着してみると、積雪量は予想していたよりもかなり少なく、とてもツアーといった雰囲気ではない。林道でさえも普通乗用車で走行可能といった状態である。予定していた女夫山から勢多山への縦走はあきらめ、勢多山一山に変更とする。とはいえ最初からの笹薮突入は避けたいため、山麓を山に向かって伸びている林道をスキーで登り、標高と距離を少しでも稼ぐことにする。積雪量がなくても林道であればスキーが使えるし、何といっても下りが楽だ。しかし、進んで行くうちにそれもここでは通用しないことが判る。何時のものかは判らないが、針葉樹の倒木が連続して現れ、スキーを外してもスキーが邪魔になるし、履いても乗り越せず、さらに巻くには笹薮漕ぎとなるため、一つ一つ乗り越えたり潜ったりで辛抱強く乗り切る。

コンタ600mの林道終点付近まで同様の倒木帯が続くが、時間的な厳しさを考え、スキーをデポしてツボ足にて頂上を目指すことにする。まずは林道を離れ、軽い藪漕ぎで尾根上まで上がる。笹は短く、スキーを履くよりはツボ足の方がよっぽどましだ。コンタ800mの稜線上に出ると勢多山本峰がやっと姿を現す。勢多山の斜面の笹原はまだ青々としていて、かなり雪は少なそうだ。距離的には遠そうだが、大きな登りはなく、短時間で距離は稼げそうである。途中、広い尾根上からは薄っすら雪が積もった真っ白な十勝平野の広がりが見える。尾根上の右側から巻き気味に進むが、笹に雪が被った状態では、ツボ足によるトラバースは横滑りして歩きづらい。途中、笹薮の尾根を一つ乗り越すと意外に早く本峰へのコルに到着する。正午のサイレンが聞こえ、下山時間を考えると我々の持ち時間はあまりないようである。登り30分を目安に頂上に向かって最後の登りとなる。

勢多山頂上にて
尾根上は背の低い笹薮漕ぎ 頂上からは十勝平野が広がる

頂上へは東側の肩を巻き気味に進み、小高くなった高みへ一登りして意外に短時間で到着する。勢多山頂上には標識が見られ、目立たない山ではあるが愛好家には登られている様子である。冬型が強まっているためか周囲の山々には雪雲が掛かり、影響が少ない東側のみの展望である。頂上から俯瞰すると、当初予定していた女夫山への稜線はかなり下っているようで、仮に積雪量が十分であり、スキーを使っていたとしてもけっこう時間を要しそうである。この時期の12時と13時、この辺はかなり微妙な時間感覚の変化を感じる時間帯でもある。どんなに苦戦しようとも13時前後の頂上到着であれば気持ちに余裕が出てくるし、逆に簡単な山であっても12時近くになって頂上への到達見通しが立たなければ、かなり焦りを感じるものである。今回の到着は12時30分、直ぐに余裕へと気持ちが変化する。

下りはスキーのデポ地点まで一気に下降する。ツボ足であっても下りはやはり速い。わずか1時間10分でデポ地点到着である。ここからはスキーを着けるメンバーもいるが、倒木帯を考えるとツボ足の方が有利だろうと考え、スキーを手に持って下山した。結果的にはシールを付けたままでもスキーに分があったようで、登山口着は私が最後であった。(2006.12.24)

【参考コースタイム】 地形図上の林道起点P 8:40 → 林道終点付近・スキーデポ地点 9:50 → 勢多山頂上 12:30 、〃発 12:40 →  林道終点付近・スキーデポ地点 13:50 → 地形図上の林道起点P 14:40

  【メンバー】hachiya夫妻、saijyoチロロ2、チロロ3(旧姓;naga)

 

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