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   札天山(591.6m)・・・はた万次郎氏の作品にも登場した山

下川町・一の橋から望む札天山

1/25000地形図 一の橋

オシュンクシュナイ沢沿いの一本道を入ってすぐに車を置く
オシュンクシュナイ沢の流れ・・・少し地味かな ?
札天山の頂上が見えた!

 つい最近、山の盟友の1人であるmocoさんから「うっしーとの日々」(はた万次郎著)を読んだことがありますか?とのメールをもらった。犬と自然をこよなく愛する人に愛読者が多いらしい。サブローとココの良き親を自負している自分としては全く知らなかったのがしゃくだった。うっしーとは白と黒のブチ犬で、牛のようだからうっしーとのこと。配色は確かに我が家のサブローに似ている。著者・はた万次郎氏は下川町を基点に全国的に活躍されているらしい。

向こうに流れがあるはず・・・  Ogino氏とEIZI氏

 恒例行事となっている藪山の会だが、私の準備が悪かったこともあって、過去最低の5人という状況に陥ってしまった。開催場所の選定をEIZI@名寄さんにお願いしたまま、当方はさぼって何もしていなかったのが災いしたようだ。チロロ3さんの参加で、かろうじて6名となったが、やはり最小規模での開催であることに変わりはない。焚火会場は名寄川の奥あたりを想定していたが、参加人数等を考えてピアシリ山のピアシリ山荘「樹氷」にしようとのこと。焚火はできないが薪は燃やし放題という。

 山の選定についても当初は名峰「札滑岳」の予定だったが、ここは狩猟期間ということで立入規制。翌日の登山への参加はOgino氏とEIZI@名寄氏、そして私と、恒例行事としては何とも寂しい参加者数である。結局、参加メンバー全員が札滑岳への登頂経験があり、であればと、規模は小さくなるが誰もが登っていない札天山へ行こうとの話しとなる。

 札天山について、下川町の一の橋地区の里山で、ローカルもローカル、ガイドブックやWeb上にすら登場しない超低人気の山だと思っていた。だが、驚いたことにはた万次郎氏の著書「北海道青空日記」にも出ている・・・とmocoさんからメールをもらった。そのマンガによれば、登山道のない籔山で、夏は藪で登れないから冬に山スキーで登る山とのこと。はた万次郎氏も二度目の挑戦で登頂したらしい。札幌では存在すら知られていないこの山だが、実は全国的なマンガにも登場するほどの凄い山だったのにはびっくりだった。

遠くポロヌプリ岳と拳骨山が見える
三等三角点「甲辰山」と金麦
三等三角点「甲辰山」と金麦
普通は741mピークまで籔漕ぎするよな〜 まっ、しかたないか・・・ Ogino氏

 Google earthを見ると、この山の西側には頂上付近まで明瞭な林道が写っていた。とりあえず印刷して持ってきたが、Ogino氏に軽く却下された。EIZI氏は当然のことのように東面の地図しか持って来ていないとのこと。楽して登ろうと考えていた最近の私としては、えっ!・・・何で? と思ったが、藪山の王道として、本来は「濃い藪? ・・・いいねぇ〜!」と突っ込み、実は悪戦苦闘の末に頂上を落としても「楽しかった、楽しかった・・・\(^ ^;)/やったね!!」の世界。籔山派の一員としては恥ずべき提案だった。大げさな言い方をすれば、籔ヤとしてのあるべき姿を見失っていたのかもしれない。とりあえず、この日のルートはなぜかEIZI氏と参加しないチロロ3さんが出発間際に決めていた。まあ、これもOKだろう。

 一の橋の外れ、オシュンクシュナイ沢沿いの怪しい一本道から車を乗り入れる。だが、直ぐにかなり怪しい状態となり、100mも進まぬところに車を置いて歩きとする。送電線を通過する前に倒木、さらに少し進んだところで道路は崩壊していた。農地への取水設備のための道路のようだが、車を早々に置いたのは正解だった。細々と続く道路跡を行くと最初の270m二股となる。右股へ入ると札天山へのルートとしては1番地形が険しそうな北東の沢、我々は1つ奥の緩い沢を目指す。水量はもともとないので、こんなものと斜面の凹地形に取り付くが、やはりただの斜面ですぐに引き返す。次の凹斜面には水がチョロチョロとあったので、今度こそはと取り付いてはみたが、やはりすぐに笹薮漕ぎとなってしまった。

 Ogino氏は沈着冷静、籔を漕いで流れのある沢形へと向かう。だが、私はこんな沢に流れなどあるはずがないと再び元いた地点へと戻る。Ogino氏は確かにあの沢だと譲らないが、EIZI氏は濡れたくないと尾根へと取り付く。確かにOgino氏の地形と地図との照合は的確で、何となくそんな気もしてくる。作業道があるとEIZI氏。結局、その作業道跡を進んで行くことになる。作業道跡はかなり古く籔だらけ。籔の密度が増してくるとOgino氏が先頭となりぐいぐいパーティを引っ張って行く。ひょっとしたら道路を歩いていた時よりも速いかもしれない。いや、速い。Ogino氏の見解が正しいことは明らかだが、沢へ下るのも損なので、そのまま進むことになる。

 当初予定していた沢形を下る籔だか作業道だかさっぱり判らない状態となるが、やっぱり単なる籔が正解だろう。であればと、EIZI氏が先頭となって尾根上へと移動。こちらの方が籔は薄い。少し進むと、目指す札天山の明瞭な尾根筋が前方に見えてくる。それに取り付けばひと登りで登頂と思ったが、道北組に言わせれば二登りとのこと。GPSの地形図を見ていた私としては希望的にアバウトにそれを見ていたが、現実は二登り、しかも急斜面の細い尾根筋の登りである。だが、いろいろ籔山へ登ってきたが、この札天山は“当たり”の山だった。山に登っている雰囲気が味わえるのは何よりで、タケノコ採りのタケノコが三角点に替わっただけの山行ばかりやっているとアルピニズムなど死語に近い状態となってしまう。一歩一歩登り詰める感動、これこそが本物の山登りだ。

 最後は平らな笹薮を漕いで登頂となる。もちろんここでも「金麦写真」を1枚。遠く、ポロヌプリ岳や拳骨山が見える。Ogino氏は2kmほど先の741mピークが気になる様子。私がいなければ、それとなく向かったに違いないが、私の今の体力としてはここで十分だった。来春、職場を離れて自由な時間が出来たら、再び籔ヤの心を取り戻すためのトレーニングが必要と実感する。それにしても今回のメンバー、道北組と私のみというのは初めてで、7年前の辺恵山の時も同じだったがチロロ2さんが入っていた。

 最後のひと登りについて、ちなみに、はた万次郎氏も同じ尾根筋からのチャレンジだったようだ。だが、冬期であればあのひと登りはツボであっても厳しかったのだろう。後日、最後のひと登りを思い出しながらマンガを見たが、まさかこんな超ローカルなロケーションがマンガになっていたとは驚きである。(2015.10.18)

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参考コースタイム】オシュンクシュナイ沢 P 8:20 → 札天山頂上 10:25 、〃発 10:50 オシュンクシュナイ沢 P 12:00  (登り2時間5分、下り 1時間10分)    

メンバーsaijyo   

はた万次郎氏「北海道青空日記」より (mocoさん提供)

     

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