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   札足辺山(276.6m)

 

     

無名沼から見た札足辺山

1/25000地形図 「三 渓」

サッタルベの森・入口看板            墓地の奥が入口となっている

札足辺山・無名沼  (Ikkoさん提供)

札足辺山(さったるべやま)と言え「それは何だ?」と言われそうだが、簡単には意味が判らないのが北海道の山。そう考えればいかにも北海道らしいイメージを感じさせる山名である。もちろん、アイヌ語地名かと、その由来を調べてみた。ところが、この山の本来の名はレタラオペトコシヌプリ(レタラ=白い、オ=尻を、ペツ=川、カ=岸、ウシ=につけている、ヌプリ=山)で「山すその川岸が高い岡のようになって続いていて、そこが崩れて白っぽく見えた」がその語源らしい。(苫前町史) であれば、サッタルベとはいったい何だろう? やはり簡単には判らない。今後の課題ということで、いずれ調べてみたいと思っている。

頂上は近い
札足辺山頂上に到着

  この山では森林管理署と苫前町の教育委員会とが協力して「森の楽校 サッタルベ遊々の森」という森林教室が開催されているらしく、地元では大変親しまれている里山のようである。もちろん子供たちが札足辺山のピークを目指すわけではないが、森林に親しみを持ち、その理解を深めさせることを目的に、標高170m付近の沼までの約1kmの事業用道路を自然について学習しながら登るらしい。三渓地区・東川の墓地が入山口である。墓地を過ぎたところに「森の楽校 サッタルベ遊々の森」の看板が立てられている。札足辺山頂上を目指す場合、ここから沼までは単なる道路歩きで、我々が登山の対象として考えた場合は沼付近がスタート地点である。もちろん、道路から頂上までの間には登山道などは無く、全くの籔漕ぎ登山となる。

沼への林道は急傾斜であるが路面自体はしっかりとしている。札足辺山の無名沼周辺は既に晩秋の装い、人里離れたこの秘沼では誰に邪魔されることなく水鳥が遊んでいた。地形図には沼の北側から頂上へと続く歩道が載っている。地形図上の歩道は林道となっていたり廃道となっていたりで、当てにはならないというのは周知のところ。ただし、いずれかの時代には何らかの道となっていたのは確かで、全くゼロではない。事業用の道路から薄そうなところを選んで籔の中へと突入。距離的には500〜600m程度なので、そんなにプレッシャーは感じない。

右手に沼を見ながら鞍部へと下る。ここからが本格的な登りである。いつもの籔漕ぎに変わりはないが、気付くと何となく地面が道路のようにも思えてくる。期待しつつ進んで行くが、やはり道路跡っぽい。地形図の点線とは微妙にずれてはいるがこの程度なら許容範囲と言える。地形図上の道路跡に間違いないと確信する。こうなればこれを見落とさずに進むのみ。途中からは稜線上に上がり、頂上へと向かっている。稜線上ともなれば、同じ籔漕ぎでも明るさがあって気分的にも違う。ところどころでは踏跡も現れ、徐々に頂上が近づいている雰囲気となる。見れば古い作業道跡も稜線の脇に続いているようだ。そうこうしているうちに頂上方向へと向かう作業道に飛び出した。この作業道は頂上の近くで下りとなったため、一番近そうなところから頂上へと籔をひと漕ぎ。ほどなく札足辺山の頂上到着となる。

頂上展望はあまりよくないが、木々の間から狭い平野部の奥に奥三毛別山の特徴ある姿が見えた。また、その奥には小平蘂岳や釜尻山などの山塊も見えてはいるが、山座同定ができるほどこの山域には詳しくはない。錐立山の特徴ある姿は確認できたが、夏に登った古丹別山ともなるとまるで判らないのが残念なところ。いずれにしても、たかだか200m程度の低山にしては高度感があり、登った満足感を感じさせてくれるピークである。頂上用の金麦を忘れてしまい、アクエリアスを飲んでいると、季節外れの蛾が1匹まとわり付いて来た。こんな時期ともなれば、彼らのエサとなるものなど何もないのだろう。mocoさんが、三角点の端にスポーツドリンクを垂らしてやると、その蛾は口吻を伸ばしてしばらく止まっていた。白い季節はもうすぐそこまで来ている。

牧草地の向こうには奥三毛別山が望める  (Ikkoさん提供) 頂上から見る錐立山  奥は小平蘂山や釜尻山 (Ikkoさん提供)
三角点に垂らしたスポーツドリンクに口吻を伸ばしていた

  下りは作業道を下ってみることにした。もちろん事業用道路へとつながっていることを期待しての選択である。登りでは気付かなかったが、ヒグマのわりと新しい糞が1ヶ所と古いのが1ヶ所。おそらく同じ個体のものと思われる。少なくても1頭はこの山に住みついているようだ。作業道は明瞭でぐんぐん標高を下げて行くが、徐々に荒れた感じとなる。幾つかの分岐が現れたが、どこも行き止まり。調べたところではどこにもつながってはいなかった。結局、沢形を下り、途中から上り返してぬかるみの中、往路で通った鞍部へと出る。

  地元では親しまれている札足辺山だが、頂上へとつながる道はなかった。というよりは人口減少が続く地方の町では、そこまでつながる程のエネルギーがないということだろう。自然回帰という意味では地球規模で考えれば良いことかもしれない。だが、地方創生が叫ばれる昨今にあって、都会から遠く離れた地方にとってはそれが枯渇に近い状態のようにも感じられた。

参考コースタイム】  札足辺山・無名沼 12:10  札足辺山頂上 12:55、〃 発 13:25 → 札足辺山・無名沼 13:50 (登山時間 登り 45分、下り 25分)

メンバー】山遊人さん、mocoさん、Ikkoさん、saijyo、チロロ3(旧姓naga)

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